2020 AUTOBACS SUPER GT
ROUND 2 たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
8月8日(予選)天候:曇り コースコンディション:ドライ 無観客
8月9日(決勝)天候:曇り コースコンディション:ドライ 無観客
本来持つ、高いパフォーマンスは証明できた。あとはトラブルにさえ見舞われなければ・・・
開幕戦に引き続き、富士スピードウェイを舞台に第2戦、「たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE」が開催された。今年もaprは引き続きTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)の2台体制で挑み、「#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」をコンビ2年目となる、嵯峨宏紀選手と中山友貴選手に託す。タイヤは引き続きブリヂストンを使用する。
今年は関係者の移動中の新型コロナウイルス感染リスクを最小限とすることを第一の対策とするため、スケジュール、開催地とも大幅に変更。全8戦は従来どおりながら、富士スピードウェイで4戦、鈴鹿サーキットとツインリンクもてぎで2戦ずつの開催に改められている。したがって、富士でのレースを有利に戦えることは、シリーズも有利に戦えることということにもなる。
前回のレースは駆動系のトラブルを抱えたものの、諦めず修復して完走を果たした結果、多くのデータを積み重ねることができ、またさかのぼれば予選で5番手につけていた。昨年はマシンをミッドシップからFRに改め、予想以上の苦戦を強いられたが、2年目となるこのオフに徹底的に見直して改良を進めた結果、大幅な進化が確認できたこともあり、今回が“真”の開幕戦となることが期待された。
公式練習 8月8日(土)9:45〜11:25
前回は変則スケジュールとして、土曜日には公式練習だけが行われたが、今回は通常どおりのスケジュールに戻された。天候に恵まれたこともあり、予定どおり9時45分から公式練習がスタート。最初に「#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」に乗り込んだのは、今回は嵯峨選手で、計測開始とともにピットを離れ、確認を行った後すぐピットに戻ってくる。これはいつもどおり。
最初のセット変更を行った後、計測ラップを3周した嵯峨選手は1分38秒933をマークしてピットイン。早くも中山選手と交代することとなる。すかさず1分38秒698をマークした中山選手だったものの、周回を重ねることなく次の周にはピットに戻ってくる。途中、赤旗中断もあったが、ピットでのステイは、実に約40分間にも及んだ。
ただし、これはトラブルではなく、「このクルマは走る実験室だから、いろいろやりたいこともあって、ただコロナの影響でテストがなかなかできないので、レースウィークにやるっていうのがあったんです。それによって今後の車社会にも貢献にもなることをやっていました。ただ、時間を食い過ぎてしまいましたけどね」と金曽裕人監督。
その後は引き続き中山選手がドライブして、セットアップやタイヤチョイスが進められていき、GT300単独のセッションでは再び嵯峨選手が乗り込むことに。決勝に向けた確認を済ませたところでセッションは終了。結果としては21番手ながら、状況も掴んでおり、予選に向けての仕上がりは悪くなさそうだ。
公式予選Q1 8月8日(土)14:30〜14:40
午後からの予選も、オンタイムで行われた。強い陽射しも注がれた公式練習に対し、空は一面薄い雲で覆われるようになったが、気温は28度、路面温度は39度と、ほとんど変わらず。
予選Q1は2グループに分けられ、「#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」はAグループでの走行となった。
今回も中山選手がQ1を担当。コースオープンと同時にピットを離れていく。ウォームアップも入念に、計測3周目からアタックを開始し、まずは1分37秒446をマーク。
さらにタイムを縮めるべく、もう1周アタックを行い、1分37秒848。
Aグループ予選を3番手につけて好調さをアピール。嵯峨選手が待つ、Q2進出を果たすこととなった。
公式予選Q2 8月8日(土)15:23〜15:33
Q2担当は嵯峨選手。入念にウォームアップが行われていくが、どうにもペースが遅い。中山選手が1分43秒台で準備を整えていたのに、それが1分48秒台、50秒台なのだ。それでも予定どおり計測3周目からアタックを始めるものの、なんと1コーナーでオーバーラン!
原因はABSのトラブルだった。これでタイヤにフラットスポットを作ってしまうが、それでも嵯峨選手は諦めず。時間いっぱい使って、できる限りのベストを尽くし、最後の計測で1分38秒219を記録したのは、
まさに意地の賜物。
結果的にはQ2進出なったチームの最下位となる16番手となったものの、高いポテンシャルを備えることはQ1で明らかになっている。しっかりトラブル対策されれば、決勝での巻き返しも不可能ではないはずだ。
嵯峨 宏紀選手
ABSのトラブルでした……。アタックする前のストレートでABSのアラームが点灯し、もしかしたらディスプレイの故障かもと思ってアタックしてみたんですが、やはりダメで。タイヤも2本ダメになってしまいました。
幸い、Q1タイヤがスタートタイヤになったので助かりました。ついていないですね。明日はこつこつ走って
なんとかポイント獲りたいです。流れを、取り戻したいです!
中山 友貴選手
公式練習で別の試験を行っていたのでタイムはあまり良くなく、少し不安な気持ちはありましたが、Q2にバトンをつなぎたかったので、自分の中でいいイメージを作って予選に臨みました。いざ予選を走ってみると、クルマのフィーリングは良く、タイヤのウォームアップもしっかりできたので、それなりにいいタイムをマークできて良かったんですが、Q2で嵯峨選手が乗っている時に、ABSシステムのトラブルがあって残念な結果になってしまいました。でも、クルマの速さとして表れている部分は非常に大きいので、明日のレースは最後まで諦めずに走ろうと思っています。
金曽 裕人監督
嵯峨選手が走っている時に、一番大事なセンサーにエラーが発生しABSがカットされて、アタックが出来ませんでした。Q1で中山選手が好タイムを出していただけに、非常に残念。応援下さる皆様と、ドライバーに申し訳なく、深夜になると思いますが、これから工場に帰って対策を打ってくる予定です。
クルマのパフォーマンスは確実に上がっているので、16番手からですけど、しっかり追い上げてくれるはず。
ポイント獲得をご期待ください!
決勝レース(66周) 8月9日(日)13:00〜
開幕戦に続いて無観客試合とあって、人ひとりいないグランドスタンドはまだ慣れず、大観衆の声援や視線がどれだけ士気を高めてくれるか、改めて感じ取った次第である。
さて天候だが、土曜日に続いて薄い雲が広がっていて温度は高め。それでも、スタート時の気温は30度、路面温度は40度と、全セッションほぼ一定ではあった。
20分間のウォームアップはスタート担当の中山選手から走り始め、1分38秒台をコンスタントにマーク。予選で生じたABSのトラブルも解消され、1分38秒607を記すまでに。その直後に「#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」はピットに戻り、ドライバー交代の練習も兼ねて嵯峨選手にバトンタッチ。嵯峨選手は1分40秒002を自己ベストとした。ちなみに、このウォームアップでの順位は7番手と仕上がりは上々。一発だけのタイムではないことから、決勝にも期待を抱かせた。
レースはクリアスタートが切られ、中山選手はオープニングラップのうちに1台をパス。順調な滑り出しのように思われたが、実はこの時、既にトラブルに見舞われていた。シフト系のトラブルに見舞われていたのだ。2周目にもう1台をかわすも、もはや本来のペースで周回し続けるのは困難な状態となっていた。
ライバルの猛攻に堪えながら、25周を走り抜いたところで「#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」はピットに戻り、嵯峨選手にバトンタッチ。やはり厳しい状況の中、残り周回をこなしていく。前にはRC F GT3がおり、絶えず射程圏内ではあったが、同じ形式のエンジンを積みながらBoPの違いでリストリクター径が異なるため、ストレートで引き離されるの繰り返し。
それでも60周の走破に成功、13位でフィニッシュ。最後まで走り続けられたことで、得られたデータは前回以上にあり、これが第3戦以降に必ず活かされるはず。わずか2週間後、8月22、23日の鈴鹿サーキットで「三度目の正直」を期待したい。
嵯峨 宏紀選手
中山選手が乗ってすぐトラブルが発生して、無線聞いていただけでも厳しそうな状況が伝わってきました。
とはいえレース中に直している時間もないので、その状況の中で自分もだましだまし走り続けるしかありませんでした。予選とは違うトラブルが起きてしまったので、本当に運が悪いというか、流れが悪いというか……。
しかし、まだまだ2戦目が終わっただけなので、あきらめることなく、次の鈴鹿に向けて切り替えていきたいと思います。
中山 友貴選手
オープニングラップのコカコーラコーナーで、もうシフトダウンがうまくできなくて、そこから状況は徐々に悪化していきました。走りながらできることはやっていたんですが、ペースを上げようとすると、そのトラブルが出てしまうので……本来ならもっと速く走れたと思うのですが、厳しい展開になってしまいました。それでも次のレースに向けて反省すべき材料も揃ったし、次の鈴鹿はおそらくクルマもいいと思いますし、自分も得意なサーキットなので、何とかいい結果を残したいと思います。
金曽 裕人監督
シフト系にトラブルが生じ、シフトダウンがままならない状況になって、レース早々に本来の減速ができなくなった。これから原因を詳細に至るまで検証します。それさえなければペースよくポイント圏内は行けるはずだったので、残念です。クルマそのもののパフォーマンスはどんどん高まっているし、タイヤも非常にいい、ドライバーも頑張っているのに、マシントラブルで予選も決勝も 僕らが足を引っ張ってしまいました。もっともっと情熱と愛情を注ぎ、必ず次の鈴鹿までに改善します。まわりがウエイトで重くなっているからこそ、次が最大のチャンスだと思っています。