2019 AUTOBACS SUPER GT

Round 8 MOTEGI GT 250km RACE

 

開催地:ツインリンクもてぎ(栃木県)4.801km

11月2日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:20,500人

11月3日(決勝)天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:35,500人

産みの苦しみを最後まで味わったものの、来シーズンの飛躍を誓う!

 スーパーGTシリーズも、ついに今季最後の戦いを迎えることに。シリーズ第8戦はツインリンクもてぎで「MOTEGI GT 250km RACE」として開催された。今年もaprは引き続き2台体制で挑むが、マシンをTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)にスイッチ。規定の変更と合わせ、駆動方式をミッドシップからFRに改め、さらに5.4ℓのV8エンジン、2UR-Gを新たに搭載することとなった。「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」をドライブするのは、引き続き永井宏明選手と織戸学選手。タイヤもヨコハマが継続して使用される。

 前回のスポーツランドSUGOにおいて、Q2進出を果たして18番手から決勝をスタートするも、気まぐれな天候に翻弄されてしまった。スタート直前には小降りだったことからドライタイヤを装着してスタートしたが、間もなく雨足が強くなって予定外のタイヤ交換を強いられてしまったのだ。またセーフティカーとの位置関係も悪く、追い上げもままならず25位という結果に終わっていた。しかし、ここ2戦のレース内容は確実に向上しているため、今季最後の戦いに寄せる期待は高まる一方。

 今回のツインリンクもてぎは、ストップ&ゴーが続くレイアウトで、しかもレースは通常より50km短い250kmで争われる。タイヤよりもブレーキに厳しいサーキットであるだけに、レース距離とも合わせて戦術の妙も大いに問われることとなるだろう。

公式練習 11月2日(土)8:50〜10:25

 このところ天気に翻弄され続けてきたスーパーGTではあったが、今回ばかりはその心配はなさそうだ。公式練習、予選の行われる土曜日は秋晴れに恵まれ、11月とは思えぬ陽気になっていた。日曜日も週間予報では弱い雨に見舞われるとされていたものの、快方に向かっている様子。本領発揮のまたとない機会と言えた。

 今回、最初に「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」に乗り込んだのは、永井選手だった。公式練習の開始と同時にピットを離れ、普段ならばすぐピットに戻り、最初のチェックを行ってから周回を重ねていくのだが、今回はさらにもう一度イン〜アウトを加えることに。これは、より入念にセットアップを進めていこうという意識の表れでもあった。逆にその後はロングを行い、永井選手の習熟に充てる。

 約30分間経過したところで、織戸選手の走行が開始。まずは予選セットを試して、1分48秒471をマークする。続いて決勝に向けたセットアップが進められ、残り30分間ほどとなったところで、再び永井選手がマシンに乗り込むことに。その間は短い周回でピットに戻ってセットを改めながら、より扱いやすい状態へと煮詰められていく。気温は14度から18度に、路面温度は20度から27度に、開始から終了までの間、高まっていたこともあって、永井選手のベストタイムは序盤に記した1分50秒429だった。

その後、行われたサーキットサファリでは、織戸選手が最後までノンストップで走行。最終チェックも無事完了して、あとは予選を待つだけとなった。

公式予選Q1 11月2日(土)14:00〜14:15

前回に引き続き、突破の期待が込められた予選のQ1。気温は19度、路面温度は25度と公式練習とほとんど変わらず、まさに絶好のアタックコンディションとなっていた。今回もQ1を担当するのは織戸選手。トラフィックを避けるため、計測開始からやや間を置いて、「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」はコースを離れることとなった。

 アウトラップに2周を加えて、入念にウォームアップを行なった後、織戸選手はアタックを開始。1分48秒018と、公式練習を上回るタイムをマークするも、まだまだ納得のいかない様子の織戸選手は2周をクールダウンに充てて、再度アタックをかける。しかし、記されたのは1分48秒142とあって、チェッカーを待つことなくピットに戻ることとなった。23番手から、決勝ではどこまで順位を上げてくれるか、大いに注目された。

永井 宏明選手

初めて走る状況では、時間がなく予選までにマシンセットを合わせ切れませんでした。新車開発中の我々には走行時間があまりにもなく今年はどのサーキットも手探り状態。その中のベストを尽くした結果なので、明日は一つでも上を目指し全員で最終戦を戦いますので、応援のほどよろしくお願いいたします。


織戸 学選手

手ごたえはあるのですが、根本的に足りない部分もあり、ここはドライビングでリカバリーできませんでした。持込セットからは良くなっていますが、ヨコハマタイヤのパフォーマンスをもっと活かせる事が出来ればQ1突破はできるはず。決勝までに、まだまだチームとともにマシンのセットアップに取り組み、最終戦を気持ちよく戦いたいと思います。


金曽 裕人監督

プリウスPHVにとって初めてのサーキットで、このコースはブレーキに対して特殊なので、セットを合わせ込むため、公式練習では時間を割いてきました。その甲斐あって、トントン拍子に進んではいたのですが、まだ詰められるという感触があります。このサーキットを開発途上のクルマが走るということで、いろいろ見えてきました。明日、フィードバックし決勝に向けて速さを出したいと思います。

決勝レース(53周) 11月3日(日)13:30〜

決勝レースを間近に控えて行われる、20分間のウォームアップには今回も永井選手から「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は走行を開始した。すぐにピットに戻ってきたが、これは改善すべき部分がすぐに明らかになったからに他ならない。セットを改め、永井選手は2周のみ走行。1分56秒194をマークする。その後、織戸選手と代わって計測を1周。1分58秒181を記録したところで、チェッカーが振られることとなった。

 サーキットの上空は薄い雲に覆われていたものの、これはどうやら雨を降らせるものではなさそうだ。久々にドライコンディションの中で、レースは開始されることとなった。今回のスタート担当、永井選手はポジションキープで、まずはオープニングラップを終え、次の周には「#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」の先行を許すが、ペースメーカーとしてはまたとない存在。遅れをとることなく周回を重ねていく。ペナルティで後退した車両もあったことから、9周目には22番手に浮上。そして、20周目には織戸選手にシートを委ねることとなった。

当初はタイヤ無交換も視野に入れていたが、より確実にレースを戦おうということで4本ともタイ

ヤは交換。全車がドライバー交代を終えた時には、予想外に無交換や2本のみ交換でロスを最小限にしていたチームが多かったことから、23番手に順位を落としてはいた。コンスタントに周回を重ねていた織戸選手ではあったが、後続は一切寄せつけず。42周目には1台をパスして、元の順位に戻すことにも成功する。さらにラスト2周でトラブルを抱えた車両が現れたことで、21番手へと浮上。そのまま順位を保ってチェッカーを受けることとなった。

 もちろん、この結果に満足することはできない。しかし、しっかり完走を果たせたことで多くのデータ、収穫が得られたのは事実である。シリーズはこれで終了となるが、11月23〜24日に特別戦として富士スピードウェイでスプリントカップが行われることとなっており、「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」の参戦も決定。今回見えてきた方向性を、しっかり反映してくれること、そして来たるシーズンのリベンジを大いに期待したい。

永井 宏明選手

バトルするには根本的に足りないのは何かが、ブレーキサーキットのモテギでは明確になりました。タイヤの元気な走りはじめと、スティント終盤ではマシンのキャラクターが大きく変化し、かなりコントロールするのが難しい状況でした。それなりの速さは出てきましたが、アベレージで安定したタイムを刻めなかったのが問題。一年間、新車の開発に携わり、色々な経験が出来ましたしドライビングスキルも上げることが出来ましたので、来期は問題を解決して、開幕戦から力強いレースをお見せしたいと思います。この後、特別戦もありますが、先ずは2019年たくさんの応援ありがとうございました。


織戸 学選手

毎走行時に、セット変更が無かったくらい1年を通してTRYを行い、やれる範囲はほぼ見ました。そのことから、根本的に改良が必要な部分も見えてきました。結果的には、厳しい1年になりましたが、得たものは非常に大きく自分自身もクルマ開発とは何かを再度理解ができました。素性は良いので、オフシーズンに改良と走行を重ねれば来期は大きく前進できそうな気がします。

特別戦、TGRFと年内は2回の走行機会がありますので、まずは、一歩一歩、確実に進化させますのでご期待ください。2019年応援ありがとうございました。オフシーズンに改良を重ね、2020年は皆様の前で、エキサイトなレースができるように致します。


金曽 裕人監督

タイヤ無交換も当初考えていましたが、マシンバランスが思いのほか悪く大事をとってタイヤは4本とも換えることとしました。しっかりとレースを最後まで走りきってほしいという考えによるものです。ドライバーには今回だけでなく、1年間を通じて苦しい思いも、つらい思いもさせてしまいましたが、今回もキッチリ完走してくれたことでオフシーズンのテーマがかなり見えました。クルマの全体的なパッケージやバランスを、もっともっと見直さないといけません。いろんな問題を抱えていて、まだまだ努力しなければならないことが多いことも分かりましたので、シリーズはこれにて終了ですが、この後行われる特別戦で改善できるところは、しっかり改善してみたいと思っています。まずはご期待ください。そして、来シーズンはいい意味で、皆さんをびっくりさせることをお約束します。