2019 AUTOBACS SUPER GT

ROUND 1 岡山国際サーキット

 

開催地:岡山国際サーキット(岡山県)/3.703km

4月13日(予選)天候:はれ コースコンディション:ドライ 観客数:11,000人

4月14日(決勝)天候:雨 コースコンディション:ウェット 観客数:17,400人

ニューマシンでの初陣は悪天候とトラブルに泣かされ

完走扱いにはならず…


今年もスーパーGTシリーズは岡山国際サーキットで幕を開け、全8戦での初戦が「OKAYAMA GT 300km RACE」として開催された。今年もaprは引き続き2台体制で挑むが、マシンをTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)にスイッチ。規定の変更と合わせ、駆動方式をミッドシップからFRに改め、さらにTRD開発の5.4ℓのV8エンジン、2UR-Gを新たに搭載することとなった。

カラーリングをイエローベースに改め、大幅に印象を一新した「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」をドライブするのは、引き続き永井宏明選手と織戸学選手。タイヤもヨコハマが継続して使用され、マシンこそ新たになったものの、それ以外は不動の体制で挑むこととなる。なおハイブリッドシステムは非装着。大排気量のビッグトルクエンジンを搭載したことから、モーターアシストの力を借りずとも、十分に勝負権ありとの判断による。

 今回の舞台である岡山国際サーキットは、中低速コーナーで多くが占められるテクニカルレイアウトで知られ、エンジンパフォーマンスよりコーナリング性能を重視する傾向にある。大幅に一新されたマシンは、空力を徹底的に追及されているだけに、相性は決して悪くなさそうだ。

公式練習 4月13日(土)8:50〜10:25

昨年より1週間遅れでの開催ながら、昨年はほぼ散っていた桜もコースサイドに満開で、天気には恵まれて春めいた雰囲気をただよわせていたものの、肝心な温度は低め。気温10度、路面温度14度がレースウィーク走り初めとなる、公開練習開始直後の温度だった。

 最初に「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」に乗り込んだのは織戸選手。持ち込みのセット確認を行い、続いて予選モードでの走行に。早い段階で手応えを得る、1分27秒059をマークしたことから、やがて決勝レースに向けたセットアップへと切り替えるとともに、永井選手の走行も開始されることとなる。その永井選手のベストタイムは1分29秒099。セッション後半は再び織戸選手がドライブすることに。この公式練習の順位は21番手、トラブルに見舞われることなく、多くの周回を重ねられたのが、何よりもの収穫だった。

公式予選Q1 4月13日(土)14:45〜14:55

予選Q1は岡山国際サーキットでは初めて2グループに分けられ、「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は最初のAグループでの走行となった。そのQ1担当は織戸選手。気温は16度、路面温度は25度と、公式練習よりは上がったこともあり、さらなるタイムアップに期待が込められた。

 入念にタイヤを温めたところで、いよいよ織戸選手はアタックを開始。まずは1分27秒383をマークし、続けて1分26秒598にまで短縮を果たす。さらなる伸びを期待されたラストアタックだったものの、1分26秒576とわずかなタイムアップに留まり、17番手でQ1突破ならず。Q2で待つ永井選手にバトンを託すことはかなわなかった。とはいえQ1突破のラインまでコンマ3秒を切っており、いかに昨今のGT300でレベルの高い争いが繰り広げられているか、改めて証明されることともなっていた。

永井 宏明選手

ほんの少し合わせきれなかった部分もありますが、この新車が出来上がってから全体的な流れは良い方向なので明日に期待です。雨の予報なので、現地応援のファンの皆様は防寒対策してきてください。


織戸 学選手

0.3秒でQ1敗退となり、少し速さが足りなかった。開幕戦に至るまで、全員の総力で常に全力で進めてきただけに残念でなりませんが、足りなかった要因は分析できています。明日は、その部分を修正し、晴れても雨でも永井選手とチームと応援くださる皆様と一緒に上位目指して走ります。


金曽 裕人監督

もう少しでした。路面状況とセットアップがちょっとずれていました。それ以外は織戸選手も かなり攻めてくれたので、今はこの辺りがマシンの実力と判断しています。自分たちの足りない部分、マシンの足りない部分を冷静に判断し、明日も一歩前進させます。

決勝レース(82周) 4月14日(日)14:30〜

予選が行われた土曜日は、最後までドライコンディションが保たれていたが、日曜日になって天候は一転。それも昼前から降り始めた雨は徐々に勢いを増していく。ウォームアップで、このレースウィーク初めてウェットタイヤを装着して走り、併せてタイヤ選定も行われることに。

 スタートを担当する織戸選手から走行を開始し、2周の計測で1分45秒201をマーク。続いて永井選手が乗り込み、そのまま最後まで走行することに。若干ではあったが、雨足が弱まったこともあり、徐々にタイムを上げていくことができたのは、少なからぬ収穫となっていた。この後のスタート進行中にいったん雨はやむのだが、路面は濡れたままであり、なおかつ降らないというのはあり得ないというのが、チームの判断。肝心なスタートを間近に控えて、再び雨が降ってきたこともあり、ギャンブルは避けてウェットタイヤでのスタートとした。

レース開始はセーフティカースタートで。だが、「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は、始まって1周でピットに戻ってくる。原因はABSのトラブル。織戸選手をもってしても、コントロールが厳しい状態になっていたためだ。メカニックによる懸命の修復が行われる中、コースでは多重クラッシュなどアクシデントが続発する。刻一刻と時間が経過していく中、SC先導でスローペースとなったばかりか、13周目には赤旗も。50分間ほどの中断もあったことから、復帰できれば規定周回を満たせるかもしれない。

そんな思いが通じ、レース開始から2時間近くを要したものの、トップが19周目に到達したところで「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は復帰がかなうことに! もはやライバルの脱落無くしてポジションアップは果たせぬ遅れだったが、完走に向けて必死に周回を重ねていく織戸選手。だが、それから間もなくGT500でトップを争う車両に接触があり、1台がコースアウトしたことからSCランがまた実施される。そればかりかGT300の車両にモスSでのスピンがあり、天候回復の見込みがないことから31周目に再び赤旗が出され、やがてレース終了の発表が……。

 11周の走行に留まった「#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT」は、残念ながら完走扱いにはならず。だが、復帰なった場所は上位陣の合間、決して引けを取らぬペースで走り続けていただけに悔いが残る。

 次回のレースはゴールデンウィーク真只中の5月3〜4日、富士スピードウェイで開催される。今回の無念を一気に晴らすレースとなることを期待したい。

永井 宏明選手

ドライバー交代も無くレースを戦えなかったが、このコンディションを見て中止は良い判断だったと思います。寒い中、観戦に来てくださったファンの皆様に申し訳ないです。次の富士は晴れて、ファンの皆様が楽しんで頂ける様に天候にも期待です。


織戸 学選手

みんなが、とても楽しみにしていた開幕戦。天候により過去に例が無い終わり方をしてしまったが、主催者側、エントラント側での良い判断だったと思う。多くのクラッシュが出てしまったのも事実。30号車も多くのストーリーがありました。決勝のスタートが切れなかったのも、もしかしたら何か意味があったのかも知れない。本当に暖かい応援ありがとうございました。次は富士です、めいっぱい皆様にもレースを楽しんで頂けるように準備いたしますので、応援よろしくお願いいたします。


金曽 裕人監督

突然、ブレーキシステムが漏電で機能しなくなってしまったのが、スタート直後にピットに戻した原因です。新しい部品に対して、防水対策がされていなかった事が要因。想定が甘かったと反省しています。最後まで走ることができたら、素敵な結果がついてきたかもしれませんが、織戸選手でさえ「この雨量は、リスクいっぱい!」って無線で伝えてきたほどの状況。残念ですが仕方ありません。ただ、少ない周回の中でしたが、クルマのバランスの良さは確認できたので、次の富士で少しでも巻き返せるように努力惜しまずです。