No.31 TOYOTA PRIUS apr GT
2018 AUTOBACS SUPER GT ROUND 8
MOTEGI GT 250km RACE
GRAND FINAL
開催地:ツインリンクもてぎ(栃木県)/4.801km
11月10日(予選)天候:曇り
コースコンディション:ドライ
観客数:21,000人
11月11日(決勝)天候:晴れ
コースコンディション:ドライ
観客数:37,000人
やれることはすべてやった、今季ラストレース
決勝は2位でフィニッシュ、ランキングでは3位を獲得!
全8戦で争われるスーパーGTシリーズの最終戦、「MOTEGI GT 250km RACE GRAND FINAL」がツインリンクもてぎで開催された。今年もaprは2台のトヨタ プリウスZVW51を走らせ、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」を、新たにコンビを組むことになった、嵯峨宏紀選手と平手晃平選手に託すこととなった。
前回のオートポリスでは、アタック中の赤旗で完全にタイミングを逸し、Q2進出ならなかったばかりか、ほぼ最後尾にまで沈んでしまった上に、決勝では温度が急上昇。そこでコンディションにマッチしたタイヤに改めて、ピットスタートからのレース開始となったが、この積極策が功を奏し、また激しい追い上げとも相まって10位入賞を果たし、貴重な1ポイントを積み重ねることとなった。ランキングはひとつ下げて3位に、トップとの差は14ポイントにまで広がってしまったが、可能性が残されている限り、諦めるようなチーム、そしてドライバーではない。
またレギュレーションの変更により、現在の「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」とRV8Kエンジンにとっては、これがラストレースになる。果たして有終の美を飾れるか? 今回はほぼ全車がノーハンデとなって、普段より50km短い250kmで争われるだけに、最後まで全力疾走が、何よりもの目標となった。
公式練習 11月10日(土) 8:50〜10:25
始まりの頃は前日に降った雨が路面を濡らしていた公式練習だが、時間の経過とともに乾いていって、間もなくドライタイヤを装着できるまでに。合わせて陽も射し始め、当初は気温17度、路面温度は19度とかなり低めだったものの、最後はそれぞれ21度、29度にまで上がっていた。
最初に「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」に乗り込んだのは平手選手。いつものようにチェックだけ行って、すぐにピットに戻り、15分ほど経過したところで再びピットを離れるが、2周だけの走行に留め、その後に嵯峨選手と代わったものの、やはりチェックだけ行って、すぐにピットに戻ってくる。そして、路面状態の完全な回復を待って、ピットで待機することとなった。
再び走り始めたのは、開始から1時間以上経ってから。再び平手選手が走行し、4周の計測のラストには1分47秒983をマークして予選シミュレーションを完了させる。その後、ピットに戻り、今度は決勝シミュレーションを行うことに。最後の専有走行も通して平手選手が最後まで走り続けて、終了間際に1分48秒066を記録する。
嵯峨選手の本格的な走行は、この後に行われたサーキットサファリから。途中1回だけピットに戻り、バスがコースを離れた終盤に1分49秒750を記録して、本戦に向けた最終確認を終えることとなった。
公式予選Q1 11月10日(土)14:00〜14:15
今回もQ1担当は嵯峨選手。路面は完全に乾いていたものの、気温は22度、路面温度は26度と、やや低めの中、硬めのタイヤを装着してアタックすることとなった嵯峨選手は、コースオープンと同時に走行を開始し、しっかりとウォームアップを行ってからアタックを開始した。
まずは1分48秒104を記録した後、1分47秒655にまで短縮するが、その時点ではQ1突破のボーダーラインをわずかに上回っただけ。そこでいったんクールダウンを行なって、最後の一発に賭けた時点で「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は、ぎりぎり14番手。しかし、渾身の走りも1分47秒777でタイムアップはならなかった一方で、上回る者も現れず。ピットに緊張感が満ちていただけに、Q1突破が確定した瞬間は、見守っていた平手選手に安堵の様子がうかがえた。
公式予選Q2 11月10日(土)14:45〜14:55
Q2を担当した平手選手が装着したのは、嵯峨選手より柔らかいタイヤだったこともあり、しっかりウォームアップというより、徐々にペースを上げていってタイヤの状態がピークに達した時に、ベストタイムが出せるように……という構えでのアタックとなった。2分1秒台から1分57秒台、そして計測3周目に1分48秒846を記した後、狙いどおり1分46秒671をマークする。
その結果、8番手となり、最もマークすべきポイントリーダーを2ポジション上回ることに成功。しかし、僅差で争うチャンピオン候補のうち、3台の先行を許していることもあって、決して予断は許されないものの、十分に希望をつなぐ予選となったのは間違いない。
嵯峨宏紀選手
天候に左右され、かなり攻めたが、あれ以上は出ないくらいタイヤのグリップが低かったです。多分、我々だけかも?ハードタイヤをチョイスしたのは、、、。最終戦は、悔いなき判断と攻める姿勢とのスローガンですが、いきなり攻めすぎでした。でも14番手で留まり、ほっとしてます。明日は暑くなってこのタイヤが正解だったことを見せつけたいです。最低でも2位!
平手晃平選手
Q1は、寿命が縮みました。嵯峨選手が何とかQ2に繋げてくれたのですが、今年はどれだけ頑張って攻めても、予選はこのあたりが限界でした。でも、決勝の強さと作戦の巧妙さは1番のチームですので、8番手からスタートですが、全力を尽くし1番で帰ってきます。そして、GT300でのチャンピオンを応援くださる皆様へ、プレゼントしたいです。
金曽裕人監督
決して悪くない結果ですよ。予選の今季ベストは7番ですし。今年のBoPではどうしても一発の速さは出せなくて、ドライバーの頑張りで決勝は上がってきているので。強いて言うなら、宏紀の14番手はちょっと予定外。寒くてタイヤが風邪引いてしまいました。晃平は違ったタイヤを履いていたので、だいたいあんな感じでした。本当は晃平が履いたタイヤで決勝はスタートしたいけど、どうも逆らしいから、もっと暑くなってくれれば! 今年はブリヂストンのパフォーマンスにかなり助けられているので、とにかく決勝ではベストを尽くして、最低でもブリヂストン勢の1,2,3位が取れたら最高ですね。
決勝レース(53周) 11月11日(日)13:50〜
今回はシリーズ最終戦ということもあって、日曜日のツインリンクもてぎはコース全周が観客で埋め尽くされ、その熱気にドライバーのみならず、チーム全体の士気が上がっていたのは言うまでもない。
決勝レース前のウォームアップは、スタートを担当する平手選手からの走行開始に。5周の計測ラップのうち、ちょうど折り返しでマークした1分48秒687がベストタイムで、これは最終的にセッションの5番手に相当した。後半は嵯峨選手が走行し、1分50秒070を自己ベストとしていた。
さて、決勝レースのスタートを間近にした段階での気温は19度と、少々低めではあったが、路面温度に関しては30度と、予選を上回ることに。これならば装着していたタイヤにも、十分マッチしそうだ。少なくても気象条件は敵にはなっていない。
フォーメイションラップからのスタートをそつなく決めた平手選手は、まずはポジションキープからの発進ではあったが、ヘアピンの接触で順位を落とした車両があったことから、まずはひとつ順位を上げて7番手でオープニングラップを終了。そして3番手以下が縦一列でずらり連なる状態の中、するりと前を行く車両をかわして、2周目の終了までに「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は6番手に上がることとなった。
しかし、問題はそこからだった。前にいるのは同じくチャンピオン候補の「#65 AMG」。前に出られれば離せるスピードは備えていたものの、強烈なブロックで平手選手は行く手を阻まれ続けていた。ようやく前に出たのは19周目の1コーナー。その直後に「#65 AMG」はピットに舵を切る。
視界が開けてからの平手選手のペースは他を圧し、一気に前を行く車両に近づき、まずは23周目の130Rで「#65 BRZ」をパス。続いて「#11 AMG」にも迫ったものの、これは24周目にピットに入られてコース上での逆転は果たせず。だが、そのほかのライバルも早めのドライバー交代を行っていたこともあり、これで「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」はトップにも浮上! その後も2番手の車両を引き離し続けて、32周目に嵯峨選手と交代し約束通り1番でピットイン。
タイヤ無交換でロスを最小限にして、コースに送り出された「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は2番手ながら、戻った場所はなんということか、またしても「#65 AMG」の真後ろ! ポイントリーダーだった「#55 M6」は遥か後方にいることから、チャンピオン獲得には「#65 AMG」を抜いてトップに立たねばならない。交代直後の差は5秒ほどだったが、これが少しずつ広がっていたのは、嵯峨選手がタイヤのピックアップに苦しんでいたため。それでも10周ほどすると、完全にとれたわけではないにせよ、状態はかなり回復していたのは明らかペースを取り戻して、次第に差を詰めていく。
一時は11秒もあった差は2秒、、、そこで無情にもチェッカーが振られることに……。2位でのフィニッシュの結果、ランキングはドライバー、チームともに3位となった。冒頭でも触れたとおり、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」とRV8Kエンジンのラストレースを優勝で飾れなかったのは残念だが、ベストを尽くせた結果、チーム全員が晴れやかな表情でシリーズの幕を閉じることとなった。
嵯峨宏紀選手
僕らの中で、採り得る戦略の中ではベストを尽くすことができましたが、わずかに足りなかったという……。もうちょっと予選の一発が作れる状況であれば違ったと思いますが、いかんせん今年は予選7番手が最上位。それによって年間を通じて厳しい戦いを強いられて、今回もう少し前からスタートできていたら、65号車に抑え続けられることはなかったでしょうし、前にさえいれば離していけたから、マージンも作れたでしょうし。結局タラレバになっちゃうんですが、そういう部分で我々は足りなかったというのがあって、チャンピオンを獲ろうと思ったら、何か欠けている部分があると、やっぱり獲れないですよね、それだけだと思います。
ラストランというか、感慨深い部分ではエンジンが、RV8Kがこれで最後ということで、甲高いエキゾーストノートも聞き納めになるので、この後TGRFで乗ることになると思いますが、そこで本当の最後になるので『お疲れ様』と言いたいし、このDNAは来年、作っているすごい車に受け継がれると思いますし、今年の悔しい思いを新車に乗って一からやり直します。出直してきます!
平手晃平選手
これだけ温度が上がれば、タイヤもマッチしてくるコンディションになっていたので、優勝を狙ってレースを進めていたんですが、思っていたより65号車に引っかかっている時間が長くて、なかなか抜けなくて。ブロックラインの取り方は半端なくうまかったです(苦笑)。そこが結果的にチャンピオンになれなかった理由だと思います。今日のレースだけで言うと。それ以前に僕達は、獲れるレースを落としたこともあり、65号車は毎回ポイントを重ねてきたので、獲るべくして獲ったチャンピオンだと思います。だから、そういうところを僕達も強化していけば、絶対チャンピオンが獲れる強いチームなので、来年は、もっともっと全力を尽くして皆様に、恩返しをしたいと思います。
金曽裕人監督
温度に関して言えば、晃平の時はマッチしていて、宏紀の時は温度が下がってピックアップがついてしまいました。完全にとれるまでではなかったけれども、楽になってからのペースは良かった。本来は温度に合うタイヤを4本とも換えて、というのが正解だったのかもしれませんが、それをやっていたら間違いなく2位は無かった。だから選択肢はありませんでした。でも、全力は尽くして全員でやり切ったので、負けても悔いはありません。65号車の皆様には、心から祝福しております。
そうはいっても僕らとしては、唯一無二のPRIUSハイブリッドレーシングカーに最後にチャンピオン獲らせて終わりたかったんですが、そんなにうまくいかなかった。だから来年も、レースを続けようと誓うんですよ。今シーズン、我々の履くブリヂストンタイヤがシリーズの1-2-3獲れたということは歴史的にも、すごいことだと思いますし、本当に感謝しています。そして、シーズン通して応援下さったスポンサー企業の皆様、ファンの皆様に心から感謝いたします。来年は新しいマシンで挑むことになります、2019オートサロンのRAYSホイール様のブースで発表となりますので、ご期待ください。