No.30 TOYOTA PRIUS apr GT
2017 AUTOBACS SUPER GT ROUND 6
46th INTERNATIONAL SUZUKA 1000KM
開催地:鈴鹿サーキット(三重県)/5.807km
8月26日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ
観客数:27,500人
8月27日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ
観客数:45,000人
今季初入賞目指して力走するも、駆動系のトラブルでまたも力尽きる…
鈴鹿サーキットを舞台に、スーパーGTシリーズの第6戦、「46th INTERNATIONAL SUZUKA 1000km」が8月26〜27日に開催された。全8戦での開催が予定されるシリーズに、今年もaprは2台のトヨタ プリウスZVW51を走らせ、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」を昨年に引き続き、永井宏明選手と佐々木孝太選手に託すこととなった。
第4戦・SUGOから元気を取り戻したマシンに、これなら苦戦が続いた序盤戦の憂さを晴らせると、ドライバー2人も意気揚々と挑んでいた。そして、前回の富士では予選9番手を獲得。佐々木選手が難なくQ1突破を果たし、成長著しい永井選手がQ2を託されて得た結果に、チームは大いに湧いた。だが……。
第4戦の予選、決勝で相次いだハイブリッドのシステムエラーが、第5戦の決勝になって再発。機能しない重量物が、ただ足かせになるだけの状態にもかかわらず、執念で最後まで走り続けて完走し、20位という結果を得ることとなった。
そこで決断が下されることに。トラブルの探求に時間がかかること、そして対策部品が間に合わないことから、GTAとの協議の結果、タイでの第7戦のみ取り外すこととなっていた、ハイブリッドシステムを断腸の思いで今回から、そして最終戦にも外して挑むことになったのだ。
ここ鈴鹿は永井選手にとって、そして佐々木選手にとってもホームコース。しかも伝統の一戦、鈴鹿1000kmとしても最後の開催とあって、是が非でも確固たる結果を残さねばならない。もう悔しい思いはしたくない、今度こそ笑って終わろう。そのためにチームとしても最善の準備を整えていた。
公式練習 8月26日(土)9:20〜10:55
ハイブリッドシステムを外して走行するのは昨年のタイのみならず、シーズンオフのテストでも試されていたため、今年初めてではないものの、とはいえ久しく行われていなかった状態とあって、公式練習ではまず確認走行から始められることとなった。
早朝まで降り続いた雨が残っていたため、最初はウェットタイヤを装着して佐々木選手は走行。この週末、もう雨は降らないことがほぼ確実だったため、本来であればコンディションの回復を待ってから、本格的な走行に移るところだが、今回ばかりはデータを蓄積した上で、改めてセットアップを一から進めなくてはならない。やがて路面はドライタイヤを装着できるようになるが、短い周回でのピットインを何度も重ねて、入念にマシンは仕立てられていった。
1時間を経過してまもなく、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」はようやく2分1秒749を記すように。そしてGT300単独の走行帯からは永井選手がドライブ。2分2秒250を自己ベストに、4周をコンスタントに走り続けた。
その後に行われたサーキットサファリも永井選手から走り始め、1周の計測の後、佐々木選手に代わって最終チェックが行われることに。最後の計測では2分1秒386が記されることとなった。
公式予選 Q1 8月26日(土)14:35〜14:50
今回もQ1は佐々木選手が担当。気温は31度と、想定していたとおりではあったものの、路面温度に関しては37度とやや低め。しかしながら、そのあたりは考慮してタイヤはチョイスしており、大きな問題とはならないはずだった。
実際、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」に乗り込んだ佐々木選手は、5.8kmのロングコースということもあって普段なら入念に、アウトラップ以外にも数周を充てるウォームアップを1周で済ませ、さっそくアタックを開始。ワンラップをほぼ完璧に決めて、1分59秒336をマークすると、早々にピットに戻ってくることとなった。
その時点では4番手であったが、終了間際に短縮するドライバーもいたことから7番手にまで後退するも、もちろんQ1突破には難なく成功。Q2を担当する永井選手にバトンをつなぐととともに、走行終了後にはしっかりアドバイスを授けることも忘れなかった。
公式予選 Q2 8月26日(土)15:20〜15:32
前回に続いてQ2に挑むことになった永井選手は、計測開始と同時にピットを離れていく。佐々木選手同様、ウォームアップはアウトラップともう1周だけで、さっそくアタックを開始。
まずは2分0秒726と、このレースウィークの自己ベストを軽々と更新したばかりか、なおも周回を重ねて初めて2分を切る、1分59秒853をマークする。路面温度がQ1よりもさらに2度ほど下がり、よりタイヤにはマッチした状態になっていたとはいえ、またしても佐々木選手のタイムに僅差で迫ることに成功する。もちろん、そのことを誰より喜んでいたのが佐々木選手だった。
ポジションは14番手ではあったが、大幅にセットを改め、まだ完全ではない状態である。しかも、レースは1000kmにも及ぶ長丁場。作戦や展開次第では、十分チャンスのあるポジションだ。「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」が、どこまで順位を上げてきてくれるのか、大いに期待が高まることとなった。
永井宏明選手
「ハイブリッドを下ろして、今回からチャレンジということになりましたが、なんとかクルマ的には走りやすくできました。正直、少しパワー不足は感じますが、うまく走れたと思います。孝太くんが頑張ってQ1を通ってくれましたので、今回も僕はQ2を走ることができました。決めきれなかった部分もあるので、ちょっと課題は残してしまいましたが、レースペースは良さそうな気がするので、決勝にもつながると思います。」
佐々木孝太選手
「走り始めから、いつもよりはいい状態で行けたかな、と思うのですが、最初のうち路面状態が良くなかったり、ハイブリッドを下ろした状態でのセットアップに時間も取られたりしたので、僕はQ1を問題なくクリアできましたが、もう少し煮詰められればレースをもっと楽にできるような感じがします。ハイブリッドを外してリヤまわりが軽くなったので、クルマのバランスの変なクセは少し減っているので、セクター1なんかは乗りやすくなっています。ただ、(ハイブリッドが)ないことが速さにつながってはいないというのが、本当のところですけどね。もっと出せると思うけど、永井さんがQ2で2分切りもできたし、お互い進歩はできていると思うので、決勝はなんとかトラブルフリーで行きたいですね」
金曽裕人監督
「予選に関しては、永井選手がベストタイムを出してくれて、2分を切れたのはほんと素晴らしいこと。
まだミスは何か所かあるけど修正していけば、もっと速くなる部分はあるから可能性はあるし
去年と比べると間違いなく進化し、1秒以上速くなっている。それは驚くべきことだと思っています。
決勝に向けては、トラブルというものに対して、僕らがすごく慎重にやらなくてはいけないというのがありますが、ひとつ要素を消しているので、淡々と走ることもできるし、ドライバーのパフォーマンスも高い状態にあるので、ここでポイントを獲らなかったらどうするんだ!という予定です。」
決勝レース(173周) 8月27日(日)12:30〜
夏休み最後の週末を、そして鈴鹿1000kmとして最後のレースを惜しむかのように、またしてもサーキットは超満員。ピットウォークなど、さまざまなセレモニーが終わって20分間のウォームアップが始まる頃にはグランドスタンドだけでなく、観客席のすべてが観客で埋め尽くされていた。
日差し以上に熱い視線が注がれる中、ウォームアップが開始されるも、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」にピットを離れる気配がない。燃料系のトラブルが発生し、メカニックによる修復が行われていたためだ。結局、このセッションの走行は行わず。コースイン開始のタイミングでようやくエンジンはかかり、スタート担当の佐々木選手を送り出した。
オープニンラップでふたつポジションを落としてしまった「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」ながら、長いレースを思えば悲観材料にはならず。早めのドライバー交代を行なった車両もあったことから、4周目には14番手に戻すこととなる。さらに9周目、20周目には1台ずつパス。そして、25周目に永井選手と交代する。その後、再び順位を上げていく「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」永井選手は、51周目に7番手で佐々木選手につなぐこととなった。57周目にはベストタイムとなる2分2秒745を記すなど、好調そのもの。
しかし、2回目のドライバー交代の際に、ピット作業違反があり、70周目にドライビングスルーを課せられるも、5ポジション落とすに留まり、これが致命傷にならなかったのは何より。再び淡々と周回を重ねることとなり、7番手にまで返り咲いた80周目に永井選手と交代する。
89周目から、このレース二回目となるセーフティカーランが行われるが、トップとは同一周回とあって、入賞への手応えはどんどん高まっていく。そして、ほぼ4時間を経た104周目に佐々木選手が三回目のコースイン。そろそろスパートをかけるタイミングだ。
ところが、1台をかわしたばかりの114周目、なんと「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」がヘアピンでストップしているではないか! 原因は駆動系のトラブル。安全な場所に佐々木選手は止めて、無念のリタイアとなった。
鈴鹿1000kmの名物でもある花火を見ずに、ドライバーふたりはサーキットを後にしただけに、その悔しさは想像に余りある。残る2戦はトラブルに見舞われることなく、すっきりと終われることを心から祈るばかり。そして、チームも全力でのリベンジを誓っていた。
永井宏明選手
「今回のレースについては非常に残念でした。ハイブリットを下ろし万全な体制で、ドライバー2人ともパーフェクトなレース展開でしたが、駆動系にトラブルが出てしまい・・・
地元開催レースだっただけに悔しいです。
残り2戦、全スタッフ一丸となり全力で挑みます。」
でも、今回のレースは上位に行けた感じがありましたが・・・
佐々木孝太選手
「レース中のペースは良かったんです。ドライバーふたりもほぼミスはなかったし、ドライバーとしては完璧な仕事はできたんですが、今回もトラブルに見舞われてしまったという感じですね。駆動系のトラブルが突然。まわりで競っていたクルマの順位を見れば、間違いなく上位のポイントゲットはできただろうから、またチャンスを逃してしまったのは残念です。だけど、少しでもポジティブに考えるのであれば、タイに向けてのいいデータ取りにはなったと思います。」
金曽裕人監督
「今回は、トラブルは全部解消できて、まさに『さぁ、鈴鹿は行くぞ!』と臨戦態勢の状態でした。
マシンの仕上がりも上々で、永井選手のレースラップも3秒台をコンスタントに出し、万全の状況でした。
“タラレバ”で言えば、5位以上のレースができていたはずが、ピット作業違反でのペナルティーもあり
最後は駆動系にトラブルが出てしまいリタイア。
今まで作業違反は10年以上なかったプロフェッショナルであったし駆動系トラブルもほとんどなかった。
なぜ一番力を注いでいた鈴鹿でこのような結果になったのか…
地元レースでリタイアは悔しく、非常に申し訳なく思います。我々は初心に戻り、もっと自分達を見直さなければならない、もっと強くならなければならない、もっと努力しなければならない。あと2戦ですが、精いっぱいやります。」