No.31 TOYOTA PRIUS apr GT
2017 AUTOBACS SUPER GT ROUND 2
FUJI INTERNATIONAL SPEED WAY
FUJI GT 500km RACE
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
5月3日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:34,100人
5月4日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:58,000人
得意のはずの富士で強いられた大苦戦。我慢の走りでしっかり完走果たす
全8戦で争われるスーパーGTシリーズの第2戦、「FUJI GT 500km RACE」が富士スピードウェイで開催された。今年もaprは2台のトヨタ プリウスZVW51を走らせ、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」を嵯峨宏紀選手と久保凛太郎選手に託すこととなった。
嵯峨選手の新たなパートナーとなる久保選手は、岡山国際サーキットで行われた開幕戦において、予選では自身初となるQ2を担当。赤旗中断の不運もあったが、タイヤのピークをうまく使い切れず、9番手に留まってしまう。しかしながら、決勝ではスタートも託されると、前を行くライバルをとらえ続けて6番手にまで浮上。評価を一気に高めることとなった。
だが、嵯峨選手への交代と併せ、タイヤを4本すべて交換するも、ライバルの多くが無交換、あるいは2本交換に留めたこともあり、その間に背負ったロスは予想以上に大きく……。さらにブレーキへの負担が大きくなってしまったこともあり、終盤には無理もできず10位でフィニッシュ。とはいえ、貴重な1ポイントを獲得することとなった。
今回の舞台は岡山国際サーキットとは好対照な高速コースながら、セクター3には高速コーナーが、そしてセクター3には低速コーナーがそれぞれ連続するため、近年のJAF-GTは旋回性能の向上によって、ストレートパフォーマンスに勝るFIA-GT3に対し、トータルのラップタイムでは引けを取らなくなってきている。それは「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」にとっても例外ではなく、好結果の期待がかかる。また、500kmレースということもあり、ドライバー交代を伴う2回のピットストップが義務づけられているので、普段のレース以上に戦略が重視される。
公式練習 5月3日(水・祝)9:00〜10:35
第2戦はゴールデンウィークに合わせての開催とあって、水曜日から走行開始という変則スケジュールとなっていた。搬入日となった2日には一時、豪雨や雹に見舞われたものの、公式練習は爽やかな天候の中、完全なドライコンディションからのスタートに。
最初に「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」に乗り込んだのは嵯峨選手だった。開始からまもなくは予選想定のセットアップを行い、1分38秒台を連発した後、このセッションの最速タイムとなる1分38秒508をマークする。続いて決勝想定のセットアップに切り替えられてからは、ロングもかけて嵯峨選手はコンスタントにタイムを刻んでいた。
50分経過したところから、久保選手がドライブ。途中で赤旗中断があったものの、それ以外はピットに戻らず精力的に周回を重ねていった。その間に記録した久保選手の自己ベストは、1分39秒295。久保選手はその後に行われたサーキットサファリでも走行し、一気にマイレージを稼ぐことともなっていた。
公式予選 Q1 5月3日(水・祝)14:40〜15:15
公式練習に続いて行われた公式練習も天候に恵まれて、まさに絶好のアタック日和に。大観衆の見守る中での走行は、自ずとテンションが上がるもの。今回もQ1は嵯峨選手が担当する。気温は18度、路面温度は30度と、5月上旬にしては高めではあったものの、嵯峨選手はアウトラップにもう2周をウォームアップに充て、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」のコンディションを整えていく。 そしてアタックモードに入ると、嵯峨選手は1分38秒115を記録し、次の周に38秒092へと短縮を果たす。いったんクールダウンを行なって再度行ったアタックでは、1分37秒703まで縮まることに成功したのだが……。今回のQ1突破のボーダーラインにコンマ3秒届かず。20番手に留まり、Q2に控える久保選手にバトンを託すことはできなかった。
その結果、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は10列目、20番グリッドから決勝レースに挑むこととなった。
嵯峨宏紀選手
前回の岡山で少し危惧はしていて、こうなることは半分想像していましたが、う〜ん。昨年は予選でトップ10にいられたのに、今年の我々にはストレートでの速さが欠けていて……。予想以上に性能調整のリストリクターの絞り込みが効いているのか、まわりが速くなって、うちが遅くなった分、相対的に大きな差がついてしまいました。特にミスしたわけでなく、マシントラブルが起きたわけではないんですが……。昨年までとは状況が違うので、この状況の中でやれることをやっていくしかありません
久保凛太郎選手
今回、僕は予選を走れなかったんですが、公式練習ではいろんなトライをしてみました。マシンのセットアップも順調に進めていけたし、フィーリングは良いのですが、タイムにはつながっていません。ちょっと富士を今のプリウスは苦手としているようで、決勝も厳しそうです。レースはグリッドがグリッドなので、多分鍵となるのはピット、後セーフティカーとタイヤのマネージメント。とにかくやれることは全部やって、ポイントを取りに行くのが第一かなと思います
金曽裕人監督
岡山はショートサーキットだから、そこまで顕著な差は出ていなかったんですが、今日すべてのデータを見た中でいうと、今年になってプリウスはリストリクターが小さくなって、さらに15kg積むようになって、特にリストリクターの影響が大きくなっている。富士の最長ストレートだけで、他のGT3勢と比べたら約1秒遅いんです。これが現状なのでどうしようか、改めて悩んでいます。ストレートを考え、かなりロードラッグで持って来たので、これ以上減らせないし……。決勝に向けて、必死に知恵を絞っている最中です。あとは戦術を駆使するしかありませんね
決勝レース(110周) 5月4日(木・祝)14:10〜
ゴールデンウィーク真っ最中というだけでなく、連日天候に恵まれて行楽日和となっていたため、決勝当日の富士スピードウェイは超満員。2日間合わせ、92,100人もの大観衆が詰め寄せ、改めてスーパーGTの高い人気を確認させることとなった。午前中には一切走行がなく、スタート進行の開始と同時にウォームアップが行われる。ここでは決勝レースのスタートを担当する嵯峨選手が最初に「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」のステアリングを握ることに。20分間を最大限に活用、嵯峨選手はその間に1分39秒195をマークする。終盤には久保選手も乗り込んで最終チェックを完了。 青空が広がる最高のコンディションの中、500kmレースがいよいよスタート。嵯峨選手はオープニングラップでひとつ順位を落とすも、3周目には再び20番手に。しばらくはポジョンキープながら、11周目には先行車両2台の後退と、1台をパスしたこともあって17番手に浮上する。その後、しばし「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」と連なって周回を重ねていた。
そして23周目には最初のドライバー交代を行うことに。「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」に久保選手が乗り込み、タイヤは無交換でコースに送り出されることとなった。バトルモードにこそ入らなかったものの、先行する車両に遅れを取ることなく続いていった結果、全車が最初のピットを済ませると、久保選手は6番手に浮上していた。そして60周目に嵯峨選手にバトンタッチ。その際に、スタート時とはスペックの異なるタイヤを投入して、最小限の目標である入賞への期待が込められたのだが……。
再び全車がピットを終えた時の「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は11番手、その前の66周目には1台をかわしており、溜飲を下げていたにもかかわらず。せめてもう1台と、必死に前を行く車両を追いかけていた嵯峨選手ではあったが、ゴール間際にはペースを保つことさえ許されず、94周目には1台にかわされていた。結局、最終的な順位はトップから1周遅れでの12位という、無念の展開となった。
嵯峨宏紀選手
「残念でしたけど、やれることはやったし、今の我々の戦力を露呈した結果になったかな、と。想像していた厳しい状況が見て取れました。最後のスティントで、違うタイヤを入れて、少しでも状況回復を狙ったんですが、かえって悪循環になってしまった部分はあるにせよ、それがなかったとしてもどれだけのペースで走れていたか分からないし、いずれにせよ苦しいレースでした。オートポリスでも苦戦すると思いますが、言ったところで状況が改善されるわけでもないので、なんとか1点でも多く取れる展開を続けていくつもりです」
久保凛太郎選手
「クルマ的にスピードが足らない事から厳しいのは分かっていたので、決勝で普通にタイヤ交換を2回やっていたら、まったく上に上がれないだろうということで、ポイントゲットを目標とした上で、タイヤ無交換を1回行こう、最後の気温が下がった時にペースが上がるようなタイヤで行こうと、そう作戦を立てたんですが。最初のタイヤはものすごく良くて、僕も無交換でもペースは良く、タイヤも壊さずに、いい走りができたと思います。どうしても、この富士では厳しいのが分かっていたし、分かっていた上で途中までうまくいっていたので、次のオートポリスはテクニカルコースなので、富士よりもいいレースをしたいです」
金曽裕人監督
「作戦も全部決まり、『よし行こう、これで行ける!』というぐらい、ブリヂストンのタイヤがものすごいパフォーマンスを発揮してくれたんですが、そもそもJAF勢すべてにおいて、富士は壊滅的。その中で10位を獲るのが、1位を獲るのに等しいぐらい、難しいレースになってしまったのは事実なので、どう知恵を使えばいいのか、そこを考える余裕すらない、本当につらいレースでした。せめてJAF勢の中で一番でいたかったですが、それができなかったのが残念です。次のオートポリスは震災の影響から2年ぶりなので、速くても遅くても、九州のファンの皆様がSUPER GTを喜んでいただけるレースをいたします」