2016 AUTOBACS SUPER GT ROUND 6

 

開催地:鈴鹿サーキット(三重県)/5.807km

 

827日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:26,500

828日(決勝)天候:晴れ一時雨 コースコンディション:ドライ 観客数:34,000

 

地元「鈴鹿1000km」は悔しい結果に・・・・。

スーパーGTシリーズ第6戦が、伝統の一戦「INTERNATIONAL SUZUKA 1000km」として、夏休み最後の週末に鈴鹿サーキットで開催された。「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」をドライブする、永井宏明選手と佐々木孝太選手はともに三重県出身。つまり鈴鹿サーキットは生粋のホームコースとあって、今回のレースにかける思いは、他のどのサーキットでのレース以上に強い。ここまでのレースすべてを完走し、第2戦では9位入賞を果たしているだけに、より好結果を目指していたのは言うまでもない。

前回のレースからデジタル解析を行ったマシンは、劇的な進化を遂げ、予選ではQ2進出にも成功。決勝では入賞ならずも、課題として残されたヨコハマタイヤとのマッチングが進んでいけば、確実に結果は残るはず。記録にも、そして記憶にも残る一戦となることが大いに期待された。

公式練習 827日(土)9:2010:55

SUGO、富士と短期間でレースが続いてきたことから、「真夏の3連戦」と呼ばれ、その初戦となるSUGOでこそ、拍子抜けするぐらい暑さには苦しめられずに済んだが、富士と同じぐらいか、それ以上に土曜日の鈴鹿は、強烈な暑さに見舞われた。そのため普段のレースの3倍以上の1000km、時間にすると6時間近くに及ぶ灼熱の戦いは、もはや避けられないものと誰もが覚悟した。

最初の走行となる公式練習は、永井選手からのスタートとなった。しかし、事前に組んできたメニューは早々に崩れることとなる。コースオープンと同時にピットを離れていった「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」は、すぐにピットに戻ってくる。チェックだけ行い、再びコースインするはずが、なかなかピットを離れることができない。トラブル発生、オイルリークがあったためだ。修復には長い時間を要し、ようやくエンジンに再び火が入ったのは、スタートからほぼ1時間を経過した頃。

遅れを取り戻すべく、そこからは永井選手が激走に激走を重ねていった。マイレージを稼いでもらう必要もあったため、ラスト10分間のGT300単独の時間帯も永井選手は走行。終盤には22352をベストタイムに、2秒台を連発するまでとなっていた。

続けて行われたサーキットサファリから、ようやく佐々木選手が走り始め、バスと混走の中で自身の習熟とセットアップを進めていく。決して十分な走り込みができず、どうしても不安を残すこととなってしまう。

公式予選 Q1 14:3014:45

公式練習は早朝に行われてなお、十分に暑かったが、日が完全に登った頃に行われた公式予選が始まる頃にはより一層暑く、気温は33度、そして路面温度は44度にまで高まっていた。今回もQ1を担当するのは佐々木選手。コンディションの向上を期待し、すぐには「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」を開始と同時に走らせるのではなく、一呼吸置いてからに。

タイヤにしっかり熱を入れ、さらに内圧も最適な状態とするため、佐々木選手はアウトラップに加え、2周をウォームアップに充ててから、アタックを開始した。そしてマークされたタイムは、15968312番手に。やや不満の残るタイムではあるが、公式練習を走れず、サファリだけの走行だったことを思えば、さすが最多ポールのドライバーだ。なによりQ1を突破し、Q2に控える永井選手に繋ぐことができた。

しかしQ1の終了から間もなく、残念な通告が。佐々木選手の走行中に走路妨害があったとして、ベストラップ抹消のペナルティが下されてしまったのだ。セカンドベストタイムはウォームアップ中に出されていたため29739に過ぎず、Q1突破どころか、27番手にまで沈んでしまうこととなった。そして、この時点で予選は終了となってしまう……。

永井宏明選手

「朝の公式練習では、うまいこといかなかったんですけど、予選では少しセットが進んだような感じだったので、乗ってみたかったんですけど、仕方ないですね。明日はいいラップが刻めるように頑張ります。今回は3スティントも走れるので、それで経験を積んで実力もつけられたらいいな、と思います。明日は天候がどうなるかわかりませんが、頑張って走ります。地元ということで応援してくれる人もたくさん来ますし、その人たちのために走れたらと。100人以上は必ず来るんじゃないでしょうか?」

佐々木孝太選手

「ちょっとハイブリッドの確認もあったんですが、避けたつもりが、避けた方向にメルセデスの平中(克幸)選手が来ちゃって、それが走路妨害という形で……。僕の判断ミスでした。朝もエンジンにトラブルが出て、僕はサファリしか走らなかったんで、なんとか気合で行ったんですけど。ただ、その中でもクルマはちょっとずつ良くなっているので、明日の長いレースは淡々と行って、少しでも上の順位でゴールできるよう、頑張ります。」

金曽裕人監督

「パフォーマンスとしては、Q2に行ける実力があっただけに、すごくもったいない。だから、チームもドライバーもきっちり反省すればいい。明日はその逆境から立ち直るしかないですね。でも、非常に残念。やはり地元だから、なんとか永井選手をQ2に行かせてあげたいという気持ちが届かなかったのは、チームとしてつらいですね。けっこう後ろの方からのスタートになってしまったが、あきらめずに粘り強いレースをやって、きっちりポイントを取ろうと思っています。」

決勝日・ウォームアップ走行  828日(日)11:0811:28

灼熱の戦いを覚悟した決勝レースだったが、日曜日は早朝からあいにくの雨模様。一転して、雨の中でのレースを覚悟することになった。今回はスケジュールの関係で、午前のフリー走行が行われず、代わりにスタート進行の開始と同時に行われる8分間のウォームアップが、20分間に延長されることとなった。その頃、すでに雨は止んでいたが、路面はまだ濡れたまま。全車がウェットタイヤで走る中、最初に「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」のステアリングを握った佐々木選手は2周の計測ラップを走り、215262を記すこととなった。

その後、いったんピットに戻り、永井選手にバトンタッチ。ドライバー交代の練習も行い、このレースウィーク初めてのウェットコンディションの確認も。チェッカーが振られるまでの短い時間ではあったが、有効に活用されることとなった。

決勝レース(173周)12:30

今回のスタート担当は佐々木選手。それは早々に決まったものの、問題はタイヤだ。すでに雨は止んでいて、路面も徐々に乾きつつあったからである。やがて、すっかり乾いてしまうのは間違いないものの、どこまでという思いと、この不安定な天候の中、また雨が降ってきてもおかしくないという思いが、それぞれのチームに交錯する。だが結局、ほぼ全車がドライタイヤを選択、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」もその中に。

思いの外、路面の渇きは早く佐々木選手は予選の失敗を取り返すべく随所でオーバーテークを繰り返す。レースが落ち着きを取り戻した時には、佐々木選手は15番手に浮上していた。そこからピットイン車両によっての順位アップもあり27周めのピットイン時にはなんと12番手まで浮上。

27周目から56周目は永井選手が難なく走行した様に見えたが、実はエアコンが不調となり、更にはドリンクシステムまでもトラブルが発生し酷い脱水状態。それでも、地元開催でなんとかポイント獲得のために永井選手はプッシュし続け再び佐々木選手に交代。第3スティントではアクシデントも発生する。レースのほぼ折り返しの頃、2コーナーでクラッシュがあり、車両回収のためセーフティカーランが83周目から行われるが絶妙のタイミングで「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」はSCラン前にピットインし永井選手に交代。ポイント獲得も見えてきた。ところがまたもドリンクシステムが動いていなく、SCランが4周で済み、ピットレーンオープンと同時にその修復に余分なピットインを行い再びコースへと送り出した。

このSCチャンスをドリンクシステムによって台無しとなった。ポイント獲得が厳しくなったことからこの後は、淡々と周回を重ねていくしかなかった「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」。そんな状況においても、永井選手がドライビングに様々なことをトライ出来ていたのは、少なからぬ収穫といえよう。そして、109周目からは佐々木選手が自身の最終スティントを担当することに。

だが、次に戻って来たのは120周目と、明らかに早い。駆動系にトラブルを抱えたのが原因だった。諦めざるをえないのか、しかしこの時点でスタートから4時間半。ゴールまで1時間以上が残されている。すぐに修復にかかるメカニックたち、時間は刻々と過ぎ去っていき、間に合わないかと思われたものの、チェッカーまでのカウントダウンが始まった頃、ピットを離れることに成功!

わずか2周の走行だったものの、永井選手はチェッカーを受けて24位に。122周で規定周回もクリアし完走ポイントは獲得した。最後まで苦しかった「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」にとっての鈴鹿1000kmではあったが、気持ちはもう次のタイ、チャーンサーキットでの第7戦に移された。絶対にリベンジを果たしてみせると!

永井宏明選手

「最後まで流れが戻ることなく、終わってしまったので悔しいレースでしたが、これも経験かな、と思って受け止めます。次のタイのレースまで、もう一回みんなで仕切り直して、準備していきたいと思います。ただ、いろいろクルマの走らせ方とか、やっぱり長丁場なので変化させながら走ってみたんですけど、そういうところはうまくできたと思います。次回以降に、うまく結びつけたいですね。」

佐々木孝太選手

「今回は練習走行からトラブって、ほとんど走れなかったばかりか、予選でペナルティを受けたりして、チームには申し訳ないことをした、と反省しています。どっちにしても決勝で戦える、ポイントを取れるペースで走れていなかったんで、なんとかまず、そこまで到達しないといけないし、課題はちょっと多かったですね。GTはやっぱり練習走行から流れに乗らないと、なかなか結果に繋げられないので、やっぱり出だしからちゃんとした位置からスタートできるように、今後はしていきたいと思います。」

金曽裕人監督

「昨日の走行開始早々から流れが悪く、エンジンからオイル漏れが発覚し修復に1時間。マッチするタイヤがやっと用意できたのにセットができなかったり、ドライバーが乗れなかったりと散々な状態でした。更に予選での走路妨害や、決勝ではドライバーの生命線でもあるドリンクシステムが壊れたり、最後の極めつけは駆動系のトラブルが発生……。地元開催レースで結果が出せなかった。流れに乗れなかっただけでは済まされない。個々がPROの責任持った仕事をしていればこんな流れにはならない。全体の進んでいる方向は間違いじゃない。それだけに、あとは流れをつかめば、必ずその先が見えてくるはず! 流れをつかむ作業というのは、強く反省し謙虚な気持ちでやり直す事、まずは僕が率先して反省します。応援くださった皆様すみませんでした。来年の鈴鹿1000kmは必ずリベンジ致します。」