2016 AUTOBACS SUPER GT ROUND 5

 

開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km

86日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:18,400

87日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:33,500人

 

 

上位入賞が見えるもトラブル発生。それでもしっかり完走果たす。

スーパーGTシリーズの第5戦が、富士スピードウェイで開催された。開幕からの2戦は、嵯峨宏紀選手と中山雄一選手の駆る「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」にとって苦戦が続き、完走を果たすのみのレース結果となってしまったが、その後行われたテストでマシンを磨き上げていった結果、前回のSUGOでは予選2番手を獲得。そして、決勝ではタイヤ無交換策を採ったチームに先行を許すも、終盤の激しい追い上げによって、見事優勝を飾ることとなった。新型プリウスでの初優勝とあって、ピットは歓喜の渦に包まれることに。

それからわずか2週間、短いインターバルで迎えたレースの舞台は、今季二度目の富士。次戦/鈴鹿1000km3週間後に行われるため、「真夏の3連戦」と呼ばれる戦いの第二幕に、ウエイトハンデ40kg背負って挑む戦いが大いに注目された。

公式練習 86日(土)8:5010:25

搬入が行われた金曜日も猛暑に見舞われたが、土曜日になってもその状況は変わらず。早朝にはうだるような暑さの中、レースウィークの走り出しとなる公式練習が行われた。今回、最初に「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」をドライブしたのは中山選手。計測開始と同時にピットを離れていく。早々にコース脇にマシンを止めた車両があったため、赤旗が出されるも6分ほどで再開。まだタイヤに熱を入れる前だったこともあり、大きな問題なく仕切り直されることとなる。2周をウォームアップに充てた後、さっそく中山選手は139秒台に突入、次の周には38954をマークして、その時点での3番手につける。その後はピットに戻るたびセットが詰められていき、中山選手のラストラップは387844番手につけることとなった。 

ちょうど1時間を経過した頃、GT500車両がコース脇で止まったため、二回目の赤旗が出される。再開後から嵯峨選手がドライブし、ロングランをかけていくこととなる。その間は140秒前半から39秒後半のタイムを刻み、決勝想定のセットも順調に仕上がっていることが明らかに。一度ピットに戻った後は、ラストのGT300単独セッションまで嵯峨選手は走り続けた。そして、終了間際に再び中山選手が3周のみ走行。トラブルフリーで、公式練習を終えることとなった。なお、このセッションでの順位は5番手で、嵯峨選手のベストタイムは139391

公式予選 Q1 86日(土)14:2514:46

今回はQ1を嵯峨選手が担当。1425分からのスタートとあって、太陽は真上にまで上がって強烈に路面を照らすことに。気温は32度、路面温度に至っては50度と、間違いなく今期最も厳しいコンディションとなっていた。そんな中、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は計測開始と同時にコースイン。決勝レースも同様の状態となることが予想されただけに、ハードタイヤをチョイス。確実に内圧を適正状態とするため、アウトラップに加えて3周をウォームアップに充てることに。そして、アタックをかけて、まずは138310をマークし、その時点での3番手につけることとなる。

本来ならば、もう1周アタックする予定だったものの、ストレートを駆け抜けて行って間もなく赤旗が。やはりトラブルでコース脇に止まった車両があったためだ。早めのコースインが、こんな形で功を奏することとなる。6分間の中断を経て、残り4分ほどの計測で再開され、嵯峨選手もピットを離れたものの、すぐにピットに戻ってくることに。その後、一台の逆転を許したこともあり、5番手に順位を落とすこととなるも、もちろんQ1トップには難なく成功する。

公式予選 Q2 86日(土)15:1615:28

Q1の中断分、ちょうど6分遅れでQ2がスタート。やはり中山選手もすぐにピットを離れていく。嵯峨選手からのインフォメーションをしっかり受け止めた中山選手も、入念にウォームアップを行ってからのアタックに。138172と、その時点での5番手につけ、引き続きアタックしていくものの、38202でタイムアップならず。その後、一台の逆転を許しはした。

2戦は3番手だったものの、この時はウエイトを積んでいなかったこともあり、40kgを積んでの走行とあっては、まずまずの結果と言えるだろう。「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は決勝レースに6番手、3列目から挑むことが決定した。

嵯峨宏紀選手

「タイヤの内圧が思った以上に上がらず、ウォームアップにじっくり時間をかけてはいたんですが、それでも特にフロントは十分ではありませんでした。ただ、ここはストレートスピードの勝るFIA-GT3に有利なコースなので、正直僕らはそんなに上にいけるとは思っていなかったし、その意味では中山選手が頑張ってくれたので、思ったよりも上のグリッドからスタートできますが、だからといってガツガツ優勝を狙うというのではなく、ウエイトのこともありますから、少しでも上の順位を狙うという、手堅く確実な走りを、決勝では心掛けます。」

中山雄一選手

Q1の結果を受けて内圧を上げていき、その内圧的には来ていたんですけど、アタックの周にはちょっとフロントが温まりきっていなかったという感じでした。ただ、もっと上がるかというと、トップを狙える感じではなかったですし、まぁ40kgのウエイトもありますから、順当な結果なのではないでしょうか。決勝は手堅く確実にいけば、前回のようなレースもできると思います。ただ、SUGOJAF-GTが得意なコースでしたが、富士ではそこまでうまくはいかないかもしれません。それでも自分が焦らないように、精いっぱいのレースをしていきたいと思います。」

金曽裕人監督

「ストレートの長い富士ですから、予選はこんなところではないでしょうか。今回は手堅いレースを心掛けます。大切なことはきっちり最後までチェッカーを受けること、トラブルなくレースを終わらせることなので、そこを重点的に考えてます。あれだけのハンデウエイトを積んでいて、このタイム、この順位は、ふたりともいいパフォーマンスを発揮して、ベストなドライビングを披露してくれたと思います。決勝でも自分たちのベストは尽くすつもりなので、よろしくお願いします。」

決勝日・フリー走行 87日(日)9:009:30

そろそろ涼しくなってくれても……という願いもむなしく、日曜日も早朝から晴れ模様。もっとも、いかに過ごしやすくなろうとも極端に温度が下がってしまうと、タイヤの温度レンジから外れてしまうため、戦略的にはむしろ良かったと言うべきか。やはり猛暑の中からフリー走行は開始された。最初に「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」のステアリングを握った嵯峨選手は、コースオープンと同時に走行を開始。計測2周目から、さっそく決勝モードの走行を行い、コンスタントにタイムを刻いつつ、その最中に140373をマークする。

5分ほど経過したところで、ピットに戻って中山選手にバトンタッチ。

中山選手はスピードの再確認を行い、最初は決勝ペースで走行したが、ラストの2周は13935639255と好タイムを連発。最終チェックが無事完了したこともあり、チェッカーを待たずにフリー走行を終了することとなった。

決勝レース(66周)14:35

例年よりも少なめとは言うが、それでも観客席には3万人を悠に超すファンが詰めかけ、スーパーGTの高い人気を感じさせた。開幕したばかりのリオ・オリンピックの影響ではないかと語る関係者もいたが、もし実際に少ないのだとすれば、本当の理由は猛暑だったのではないだろうか。 

スタート進行の開始と同時に行われる、8分間のウォームアップを「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は1周も走らず、一瞬トラブル発生かと肝を冷やしはしたが、それはタイヤ温存のためと胸をなでおろすことに。前回に続いてスタートを担当する嵯峨選手は、グリッドにマシンを並べていた。このところ恒例となりつつある白バイ、パトカーによるパレードランは静岡県警が実施。

そして、1周のフォーメーションラップを経て、グリーンシグナルの点灯と同時にレースが開始される。まずはポジションキープの嵯峨選手であったが、3周目の1コーナーで一台を抜いて、まずは5番手に浮上、さらに7周目のストレートで4番手に躍り出る。それからしばらくは前後ともに間隔を広げて単独走行に。予定通り手堅くレースを進めていた。

そんな中、17周目からセーフティカーランが行われる。1コーナーでの接触ののち、ボンネットを2コーナーで飛ばした車両があったためだ。これが23周目まで行われ、中団を走る車両の多くが勝負をかけて、早々とドライバー交代を行うも、もちろん「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」はコースに留まることに。そして、予定どおり26周目にピットに戻って、中山選手と交代する。

ところが「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は、なかなかピットを離れない!電気系トラブルに見舞われてしまったためだ。ガレージに収められ、懸命に作業するメカニックたち。刻々と時間は経過していくが、なんとか息を吹き返すことに。ただし、その時、トップはすでに16周も先を行っていた。中山選手にとっては、淡々と周回を重ねるだけのレースとなってしまったが、それでも何かトラブルを抱えたり、アクシデントに遭遇したりしてチェッカーを受けられなかったら、元も子もない。そんな我慢の走りが効いて、無事規定周回数内での完走に成功。25位という結果以上の達成感も得られることとなった。

 次回のレースは、伝統の鈴鹿1000km。これまでは第3ドライバーを加えて挑むことが多かったものの、今年は嵯峨選手と中山選手、レギュラーのみでの参戦となる。過酷で、かつドラマチックな展開となるレースはまた、大量得点も可能なレースでもある。ここを獲らずに、どこで獲る。そのぐらい強い思いで挑むこととなる。

嵯峨宏紀選手

「決勝レースではストレートを重視してウィングをかなり寝かせてみたんですが、それがうまくいって前の2台を処理することができたんですが、SCラン後のドライバーチェンジする時に、トラブルが出てしまって……。しばらくピットアウトできなくなってしまったんですが、それまでの展開からすれば上位を狙えそうだったので、ちょっと残念です。ただ、幸いにもポイントが今回また割れたこともあり、まだチャンスがあると思うので、引き続き諦めずタイトル目指して頑張っていきます。次のレースは、大量得点が可能な鈴鹿1000kmですから、ここで行くしかない。そのぐらい強い覚悟で臨むつもりです。」

中山雄一選手

「トラブルがあったので、僕のスティントは完走するだけだったので、クルマをいたわりながら、バランスを確認しながら、ちゃんとゴールしたという感じで。一応、完走扱いになったようです……。」

金曽裕人監督

「非常に残念。タイヤもドライバーもいい仕事したんですけど、電気系トラブルに見舞われてピットストップ後、スタートできませんでした。すぐにスタートできていれば、上位入賞は間違いなかっただけに、このレースを落としたのは痛いですね。でも、いろいろ開発を兼ねたクルマなので、致し方ないところもあるし、それがあるからクルマは磨かれて強くなるというもの。新しい発見のために物事が起こったと思えば納得もできます。勝ち負けだけではない部分で、今後のクルマ社会の発展のために貢献できることがあれば、それはそれで良かったと思います。」