2016 AUTOBACS SUPER GT ROUND 2
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
5月3日(予選)天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:35,700人
5月4日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:50,100人
永井宏明/佐々木孝太組が、参戦2戦目にして入賞を果たす。
スーパーGTシリーズの第2戦が富士スピードウェイを舞台に、ゴールデンウィーク恒例の500kmレースとして開催された。2012年からハイブリッドシステムを搭載するトヨタプリウスGT を走らせてきたaprは、さらなる飛躍を遂げるべく新型ZVW50プリウスを2台投入することとなった。30号車を走らせるのは、永井宏明選手と佐々木孝太選手。タイヤはヨコハマタイヤを装着する。
岡山国際サーキットで行われた開幕戦では、佐々木選手がQ1を難なく突破し、ルーキーの永井選手はいきなりQ2にも挑むことになった。だが、初めての体験にも臆することなく走り、7列目のグリッドを獲得。決勝でもミスなく走り続けて14位で完走を果たし、新コンビとしてはまずまずのスタートを切っていた。
テクニカルレイアウトの岡山と、今回の富士はまったく特性が異なり、国内最長のストレートを持つハイスピードレイアウトだ。どちらかといえば、岡山では旋回性能の高さが目立った一方で、性能調整によるリストリクターの絞り、さらにサイド吸気に改められた影響で、ストレートでは厳しい戦いを強いられることも明らかになった。富士ではいかにセクター2、セクター3を攻められるかが、大いに鍵を握ることとなるだろう。
公式練習 5月3日(火・祝)9:00〜10:35
普段ならば、走り始めは土曜日の……となるが、今回はゴールデンウィーク。火曜日早朝から公式練習が行われたが、そのことに違和感がないのは毎年恒例であるからなのだろう。ともあれ、9時から始まった公式練習は、穏やかなコンディションの中、開始された。
ところが「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」は一向にピットを離れない。ハイブリッドシステムの調整に手間取り、佐々木選手がようやく走り始めたのは、ほぼ30分を経過したところ。遅れを取り戻すべく力走を重ね、まずは1分39秒205をマーク。いったんピットに戻ってセットを改め、1時間が経とうという頃、再びコースに戻るも、その直後に赤旗が。
再開後は永井選手が走行。4周目に1分40秒193を筆頭とする40秒台を連発した後、いったんピットに戻ってセットを変更。そこから先はチェッカーまで走り続けることに。終了間際に再び赤旗が出て、そのまま終了となったが、マイレージ不足は否めず、続く予選に一抹の不安を残した。
公式予選 Q1 14:30〜14:45
今回も予選のQ1は佐々木選手が担当。路面状態の安定を待ち、まずはピットで3分ほど待機した後、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」はコースイン。2周のウォームアップを行ってから、佐々木選手はアタックを開始する。まずは1分37秒541をマークし、一旦クールダウンした後、再度アタックをかける。そのラップは1分38秒089に甘んじたものの、まだタイヤに余力が残されていることから、チェッカーまで佐々木選手は攻め立てることに。だが1分37秒890を記すに留まり、タイムアップならず。公式練習から1秒以上も短縮したものの、周囲の上がり幅はより大きかった。17番手に甘んじたことから、Q2進出は許されずに終わる。決勝は8列目からのスタートに。
永井宏明選手
「セットアップを詰め切れず、それでも予選では練習よりだいぶ改善されたんですけど、まわりのタイムアップについていけないところもあったようです。僕は予選に出られなかったんですが、レースに向けてもう一段、調整をしてくれるということなので、決勝でいい走りができるように、みんなで頑張りたいと思っています。」
佐々木孝太選手
「公式練習がトラブルからのスタートで、セットアップの確認が出来ないまま、ぶっつけでQ1に挑まざるを得ず、いいところを探していったつもりだったんですが、あれが限界でした。何とか永井選手に繋げたかったんですが、さすがに……。37秒台に入れられれば上等だなと自分では思っていて、そこは出せたんですけど、まわりがそれ以上に速かったかな、という感じでしたね。その分、決勝で淡々と巻き返します。」
金曽裕人監督
「いろんなことが起きて30分ぐらいロスしてしまい、その間にセットアップができなかったので、すべて後手にまわってしまいました。クルマのバランスも完璧じゃなかったですし、タイヤとのマッチングも出ていない状態でQ1を走らせることになったのが非常に残念です。出遅れが予選結果にはっきり表れてしまいましたが、クルマの全体的なバランスは整い始めましたし、まだ決勝まで走れる機会が2回ありますので、それまでにしっかりと詰めていきたいと思います。決勝では淡々と、じわじわ上がっていくレースをやりたいです。明日は雨の予報が出ていますが、できれば晴れのレースがいいんですけどね。」
決勝日・フリー走行 5月4日(水・祝)8:30〜9:00
心配された雨は夜のうちに降ったものの、早朝には止んでいたばかりか、強い日差しが一気に路面を乾かして、フリー走行が始まる頃にはほぼドライコンディションに。前日の公式練習を十分に走れなかった「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」にとっては、遅れを取り戻すまたとない機会にもなった。まずは佐々木選手からの走行となり、時間を余すことなく使おうと計測開始と同時にコースイン。
6周走って、まずは1分39秒839をマークし、後半を永井選手に託すこととなる。その永井選手もコンスタントにタイムを刻み、1分40秒978をマーク。最後に1周のみ佐々木選手がチェック走行を行い、その直後にチェッカーが振られることとなった。ドライバーのふたりには笑みも。どうやら決勝セットは順調に詰められていたようだ。
決勝レース(110周)14:00〜
国内レースとしては最多の集客を誇る、ゴールデンウィークの富士500kmレースだが、今年も5万人を超す大観衆がサーキットに集まり、今さらながらにスーパーGTの人気の高さを伺わせることとなった。スタート進行の始まりと同時に行われる8分間のウォームアップには、今回もスタートを担当する佐々木選手が走行。その力強く走る様子は、まさに準備万端といったところ。いったんピットに戻った後、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」は熱い視線が注がれるグリッドに並べられた。今回はスタート前に、熊本地震の犠牲者に対する黙祷が。本来、次回のレースはオートポリスが舞台だったのだが施設の損傷もあり、また周辺環境への配慮から中止となることが正式に発表されていた。
スタートでのジャンプアップを狙った佐々木選手だったが、まわりはストレートパフォーマンスに定評のあるFIA-GT3ばかり。特にターボパワーを炸裂させたGT-R GT3には抗う術もなく、ポジションを20番手に落としてしまう。それでも9周目には1台をパス、その後もトラブルで遅れる車両が現れるたび順位を上げて、23周目には15番手に。そして、34周目に永井選手と交代する。
全車が最初のドライバー交代を済ませた時点で「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」は16番手。前後を走るのはいずれも歴戦のドライバーながら、永井選手は堂々たる走りを見せ、中盤も脱落する車両が相次いだことで64周目には、ついに13番手にまで浮上した。その矢先にGT500車両にアクシデントが発生。66周目から70周目までセーフティカーがコースに入る。昨年までの規定であれば、この間にドライバー交代を行うものの、今年からはSCランの終了までピットに入ることは許されない。ほぼ2時間を経過した71周目、ピットロードがようやく開放されて「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」が戻ってくる。JAF-GTならではの燃費の良さもあり、素早く佐々木選手はコースイン。
その時点で、すでに順位を入れ替えている車両も存在していたが、全車が最後の交代を済ませると、佐々木選手は入賞圏内の10番手にポジションアップ!さらに92周目には7番手を走行していた車両がドライビングスルーペナルティで後退。ひとつ順位を上げ、9位でフィニッシュすることとなった。デビュー2戦目にして早くも入賞を果たした永井選手は、誰よりも嬉しそうだった。
前述したとおり、オートポリスのレースが中止になったことで、次のレースは7月に開催されるスポーツランドSUGO。テクニカルレイアウトが、プリウスの大好物であるのは冒頭でも触れたとおり。2か月ほどインターバルは広がってしまったが、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」には今回の勢いを保ちつつ、さらなる躍進の期待が込められることとなった。
永井宏明選手
「長いレースで辛かったですけど、初ポイントが獲れたのでこんな嬉しいことはないですね!チームで、みんなで獲れた初ポイントなので、次に繋げられるようにしたいと思います。公式練習、予選で苦労しましたが、今日の朝は晴れていて、公式練習で遅れを取った分をなんとかギリギリ間に合わせることができたので、それがポイントに繋がったんだと思います。本当にみんなの頑張りに感謝しています。」
佐々木孝太選手
「何とか入賞できました。予選が苦しかったり、今回はいろいろトラブルが続いていたりしたのでホッとしました。でも、きっちりレースをすれば、もっと順位は上げられるっていう自信はあったので、実際にクルマをゴールへ持っていくことが出来て、永井選手も今日は本当に安定したラップで、ミスも全然なく、順位をキープして僕に渡してくれたので、この順位が獲れたのかな、と思いますね。後半、気温が下がってタイヤの内圧が合わなくなって、ちょっと苦しかったけど貴重なポイントが獲れたので、これは次に繋がると思います!」
金曽裕人監督
「30号車は、まさに粘り勝ち。昨日までは流れが悪かったけど、確実にポイントを獲りますよ。と宣言してレースをして、クルマはまだ完璧じゃない状態でも、永井選手も佐々木選手も、これだけ粘って走ってくれました。途中スピンや接触もなく。その上、そんなにペースも悪いわけじゃなかったですからね。だから、クルマをもっと良くしていけば、もっともっと上に行けそうって感じがします。次のSUGOはクルマ的に得意なサーキットなので、ぜひ期待していてください!」