2016 AUTOBACS SUPER GT ROUND1
開催地:岡山国際サーキット(岡山県)/3.701km
4月9日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:9,600人
4月10日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:19,000人
永井宏明と佐々木孝太、新コンビで挑んだ開幕戦。14位で完走。
国内レースとしてはダントツの人気を誇る、スーパーGTシリーズ。その開幕戦が、今年も岡山国際サーキットで開催された。2012年からハイブリッドシステムを搭載する、トヨタプリウスGTを走らせてきたaprは、さらなる飛躍を遂げるべくZVW50型の新型プリウスを2台投入することになった。31号車は従来どおり、嵯峨宏紀選手と中山雄一選手がドライブし、30号車はSUPER GTルーキーの永井宏明選手、そして昨年も31号車の第3ドライバーとして、またアドバイザーとして常にチームに帯同していた佐々木孝太選手がドライブする。2台はカラーリングを統一し、トヨタ車であることを強調。その一方でタイヤは異なり、30号車はヨコハマを装着する。
永井選手はレースキャリアこそ決して長くはないが濃厚でもあり、デビューイヤーの2012年にポルシェカレラカップジャパンのジェントルマンクラスでチャンピオンを獲得。翌13年から移行したオーバーオールクラスでも豊富な入賞経験を持つとともに、昨年からはスーパー耐久のST-Xクラスにも挑み、ポールポジションを獲得する活躍を見せる。そのスーパー耐久で佐々木選手と組んでおり、またPCCJでもコーチとして師事してきたこともあり、コンビネーションにはまったく問題はない。
2本のストレートを13のコーナーでつなぐテクニカルコースの岡山国際サーキットと、プリウスGTの相性は抜群。一昨年は31号車がポールポジションを獲得、昨年は優勝を飾っている。開幕の舞台としては、これ以上ないサーキットと言えるだろう。
公式練習 4月9日(土)9:00〜10:35
富士・岡山で行われた公式テストで「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」は順調にテストメニューをこなし、大きな期待を抱いてサーキット入りすることとなった。例年どおり、走り始めは土曜日早朝の公式練習。1時間20分のGT500との混走を経て、ラスト10分はGT300単独の走行となる。計測開始と同時にピットを離れなかったのは、ライバル車両が周回を重ねることによって路面にタイヤのラバーが乗ってコンディションが整うからだ。
最初にドライブしたのは佐々木選手で、ピットに入るたびセットを調整。時にはショート、時にはロングもかけてクルマを仕上げつつ、ベストタイムとして1分27秒290を記録する。そして、間もなく1時間を切ろうというタイミングで永井選手にチェンジ。GT500/300全車揃った場ということもあり、慎重な走りを心掛けつつも、マシンの習熟をしっかり行って30秒473を記録し、再び佐々木選手が乗り込んで、最終確認を行なった後、10番手でチェッカーを受けることとなった。
公式予選 Q1 14:50〜15:05
予選のQ1担当は佐々木選手。本来であれば、ポールポジション獲得記録の更新を狙い、Q2に挑むべきなのだろうが、そこはまず手堅くといったところ。計測開始と同時に「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」はコースイン。2周に渡ってウォームアップを行ってからアタックを開始。まずは1分26秒976をマークし、さらに26秒735にまで短縮を果たす。まだ計測時間は残されていたものの、それで十分と判断。4番手で難なくQ2進出を果たし、ルーキーの永井選手にバトンを託すこととなった。
公式予選 Q2 15:35〜15:47
予選を初めて走るどころか、決勝のグリッドを決めるQ2だけに、永井選手にも少なからずプレッシャーはあったに違いない。佐々木選手同様、計測開始と同時にピットを離れ、2周をウォームアップに充てる。最初のアタックで1分28秒681をマークすると、次の周には28秒151へと短縮。その流れで、三度アタックをかけて28秒035を叩き出すこととなった。結果こそ13番手であるものの、Q2をミスなく走れたことは永井選手にとって貴重な経験となり、自信にもつながっていくはずだ。今後の躍進にも期待がかかる予選ともなった。
永井宏明選手
「初めての予選は参加するだけって形で終わってしまいましたが、レースに向けて経験が積めたということで、ちょっとホッとしています。まだ右も左も分からない状況で走っている感じなので、決勝では落ち着いて走りたと思います。これから徐々に……という感じですね。」
佐々木孝太選手
「新しいクルマになってから、ちょっと慌ただしい状態で開幕戦を迎えたんですが、何とかQ1で僕もタイムが出せて、Q2につなげられたので、そういう意味では十分かなと。Q2を永井選手が走ることができて、もうひとつニュータイヤで走らせてあげられたので、僕らとしては上出来だと思います、今回は。永井選手には少しでも走る機会を増やしてあげたいと思っているので、いい形で予選を終えられたのではないでしょうか。」
金曽裕人監督
「大混戦のGT300にて、2台の新型プリウスGTがQ1を突破できた事は非常に嬉しいです。GT初参戦の永井選手も予選アタックを体験できましたし、佐々木選手もスタッフも素晴らしい仕事をした。関係した皆さまは安堵されたかと思いますが、明日が勝負本番。中位集団から高ポイントを狙いに全員で挑みます。」
決勝日・フリー走行 4月10日(日)9:00〜9:35
決勝当日は青空にこそ恵まれなかったものの、春めいた穏やかな天気となっていた。例年であれば、この時期にはまだ上着が欠かせなかったが、今年は必要なかったといえば雰囲気も伝わるのではないだろうか。フリー走行は計測開始と同時にコースイン「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」は佐々木選手がドライブし、ピットアウト〜インを行ってチェックを行なった後、永井選手に交代。ピットを離れる直前に赤旗が出されるも、離れてからではリズムが乱れただろうから、運も味方についたということか。
永井選手は決勝を想定したセットで1分31秒台を連発し、続いて30秒403を記録したところで、またも赤旗が。5分延長が告げられ、再開後は佐々木選手がまた乗り込むことに。最終チェックとして29秒439をマークしたところで、チェッカーが振られることとなった。
決勝レース(82周)14:40〜
3年連続でウェットコンディションからの決勝スタートとなっていた岡山での開幕戦ながら、今年は1週間日程を遅らせたのが効いたようで、レースウィークに入ってからは一度も雨に祟られることはなかった。そうやって天候にも恵まれたのも影響したのか、サーキットをほぼ全周で囲んだ観客の総数は、昨年より2000人増の19000人。今さらながらに、スーパーGTの高い人気を感じずにはいられなかった。そんな熱い視線を感じる中で「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」は決勝グリッドに並べられた。
開幕戦のスタート担当は佐々木選手。昨年はスポットで2戦に出場したのみだが、鈴鹿1000kmでも担当しており、そうブランクは感じていないはずだ。実際ポジションキープからまずはレースを開始、先行車両に遅れを取ることなく続いていく。というより前後の車両とラップタイムでは引けを取らないものの、特にFIA-GT3勢のストレートスピードが速く、抜くに抜けない状態でもあった。コーナーでは優るとも、ツイスティなレイアウトは佐々木選手のオーバーテイクを頑なに拒んでいた。
それでもライバルが早めのドライバー交代を行う中、佐々木選手は順位を上げ続けて36周目からは暫定ではあるものの、トップを走行する。そして43周目に永井選手と交代。全車がドライバー交代を済ませると12番手とはなっていたが、これだけの連続周回をコンスタントにこなせたのは、今後に対する好材料ともいえるだろう。
永井選手は60周目にひとつ順位を落とすが、走りに大きなミスは見られない。初めての決勝にも落ち着きを感じられたほどだ。最終ラップにもう一台の逆転を許したもののやむを得まい。しっかりと「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」をゴールまで導き、14位でフィニッシュ。今後に繋がる手応えをつかむこととなった。次回のレースは、ゴールデンウィークの富士スピードウェイが舞台となる。
永井宏明選手
「すごく疲れました、最後はヘロヘロです。S耐よりペースは速いですし、GT500を見ながら集中力を維持しつつ、ペースを落とさないで走るのが初体験なので、かなり精神的にも疲れました。それでも最後まで走り切れましたし、何とか最初の最低限の目標である完走は果たせました。距離も乗れたので、次に向けて走りを改善して、疲れちゃったのでからだも鍛えて、もう少しいいレースができるように準備していきます。」
佐々木孝太選手
「僕らはとりあえず初参戦みたいな感じですから、チーム的に。初めての永井選手にチェッカーを受けてもらって、経験を積んでもらったので最初の目的は達成できました。あわよくばポイント獲得……と思っていたんですが、今回はちょっと遠かったですね。昨年の岡山から比べると2ランク、後半戦から比べても1ランク、リストリクタ―が絞られているので抜けなかったんです、他のクルマを。このままの状況で戦うからには、もっと戦い方を考えないといけないでしょう。特に次の富士はもっと厳しい戦いになりそうなので、何か考える必要がありそうです。」
金曽裕人監督
「ポイント圏内での勝負は出来ていたが、まだまだマシンもチームも粗削りな側面があり、惜しくも入賞を逃しました。だが、チームで得られたこともたくさん有りましたし、新型GT3車両と戦うにはマシンパワーが足りないことがはっきりと分かりました。ドライバーを筆頭に前向きで、負けず嫌いな人達の集団であるこのチームは毎戦、毎戦、進化致します。必ず皆さまと心から喜べる日が来ますので、ご期待下さい。」