2016 AUTOBACS SUPER GT ROUND1
開催地:岡山国際サーキット(岡山県)/3.701km
4月9日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:9,600人
4月10日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:19,000人
新型プリウスGTで挑んだ開幕戦、入賞に一歩届かず。
2016年のスーパーGTシリーズが、今年も岡山国際サーキットで幕を開けることとなった。国内レース随一の人気を誇り、常にハイレベルなバトルが繰り広げられるシリーズのGT300クラスに、aprは今年からZVW50型の新型プリウスを2台投入。31号車は昨年に引き続き、嵯峨宏紀選手と中山雄一選手に託すこととなった。タイヤも引き続きブリヂストンが使用される。
新型プリウスGTの最大の特徴は、鍛えに鍛え上げられたハイブリッドシステムを含むパワーユニットはそのままに、シャシーバランスの向上、そして大胆な軽量化が図られていることだ。ここ岡山国際サーキット、そして富士スピードウェイで行われた公式テストではポテンシャルアップが確認されており、また順調にメニューもこなされてきた。とはいえ、今年はFIA-GT3の多くが新車に改められ、それぞれ戦闘力は未知数。もちろん、相手にとって不足はない。
マシンは改められたが、一昨年はポールポジションを、昨年は優勝を飾っている岡山国際サーキットは、嵯峨選手と中山選手にとって得意とするコースのひとつだ。2本のストレートを13のコーナーでつなぐテクニカルレイアウトを、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」が颯爽と駆け抜けることが大いに期待された。
公式練習 4月9日(土)9:00〜10:35
走り始めとなるのは、土曜日早朝の公式練習。GT300クラス全車が揃い、全力で走るのは今年初めての機会であり、まずはそれぞれのポテンシャルがどのレベルにあるのか、見極められることとなった。最初に「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」のシートにおさまったのは嵯峨選手。開始からしばらくはピットで待機し、コンディションが整ったのを見計らってコースに飛び込んでいく。ショート/ロングランを共に行い、ピットに戻るたびセットを変更。予定どおりのメニューがこなされていく。
そして1分27秒340を記録した嵯峨選手は、約40分経過したところで中山選手に交代。27秒463を記録して、公式練習を終了することになった。クラス11番手ではあったものの、ドライバーのふたりが同レベルで走れるのは、何よりもの強み。続く予選、そして決勝に向けて、確かな手応えをつかむこととなった。
公式予選 Q1 14:50〜15:05
公式練習時はサーキット上空を雲が覆っていたが、予選が始まる頃には強い日差しも降り注ぐようになる。予選Q1を担当したのは中山選手。ピットレーンオープンと同時に「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」を始動させ、まずは2周をウォームアップに充てる。コンディションが整ったのを確認して、いよいよアタックを開始。まずは1分26秒991をマークして、そのままタイムを縮めていくことが期待されたものの、2周連続でクリアラップが取れず、やむなくピットに戻ることとなったが、5番手につけて難なくQ1を突破。インフォーメイションをしっかり嵯峨選手に伝え、さらなるポジションアップの期待を込めることとなった。
公式予選 Q2 15:35〜15:47
嵯峨選手もまた、Q2開始とともにコースイン。ウォームアップに2週を充ててからアタックを開始した。いきなり1分26秒336をマークした嵯峨選手は、1周のクールダウンを挟んで再度アタック。短縮こそ果たせなかったが、26秒925を記録する。本来ならば、8番手だったのだが、ベストタイムを記録した周は4輪脱輪があり、ペナルティとしてそのタイムが削除となってしまう。幸か不幸かアタックを二度行っていたことで、最悪の事態は免れた格好だ。これにより、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は、決勝に11番手、6列目のグリッドから挑むこととなった。
嵯峨宏紀選手
「テストの感触では、ここまで順位が低いとは思っていなかったのですが、その一方で一発の速さは足りないと感じてはいたので、順当な順位かもしれません。ただ、ロングランに関する手応えは今までになく好印象なので、そう悲観しなくてもいいのかな、と思っています。ただ、JAF-GTの特性上、コーナーが速くても抜きにくいので、同レースの組み立てをやっていこうか、少し悩んでいます」
中山雄一選手
「思った以上に新しいFIA-GT3車両が速く、シーズンオフに相当まわりを見て走っていたんでしょうね。そこに追従できなかったのは、新車ならではの問題点や、今年からのレギュレーションに対するセットを合わせ切れなかったのかな、とも思うので、とにかく明日はフリー走行も決勝もしっかり走り切って、少しでも多くのデータを得て、次の富士の予選ではもう少し結果を出せるようにしたいです。」
金曽裕人監督
「先ずは 開幕戦の場に2台の新型PRIUS GTがフルアタックができる環境を下さった関係各位の皆さまに感謝しております。 新型PRIUS GTのパフォーマンスはテスト段階から我々なりに確認できておりましたが、予想通り新型GT3車両はクラス違いと思えるほど非常にパフォーマンスが高く、正直驚いております。中山選手も、嵯峨選手も全力でアタックしたにも関わらず平凡な結果となりました。明日の決勝では、GT3勢にも何かしらの隙があるはずなので、中位集団からじわじわと表彰台の一角を狙えるようにチーム一丸で挑み 確実にポイントを稼ぎたいと思います。」
決勝日・フリー走行 4月10日(日)9:00〜9:35
土曜日のような強い日差しはなかったものの、決勝が行われる日曜日も天候は上々。思い返せば、3年連続で雨に見舞われていたため、その意味においてはリスクがひとつ相殺されることとなった。また、おだやかな天候も少なからず影響しているのだろう、スタンドは早朝から満員で、サーキット全周を囲んだ観客は、実に昨年より2000人増の19000人にも達していた。
フリー走行は二回の赤旗中断があったものの、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」にとっては、そうリズムを狂わされるタイミングではなかった。まず嵯峨選手からの走行となり、二回目の中断前に1分28秒812をマーク。二度目の再開後、延長された5分を中山選手が走行し、29秒080をマークしたところでチェッカーフラッグが振られることとなった。このセッションは8番手に。
決勝レース(82周)14:40〜
13時30分からスタート進行が開始され、併せて行われる8分間のウォームアップでスタート担当の嵯峨選手は1分28秒377をマーク。最終確認を済ませて、いったんピットに戻った後、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は大観衆の見守るスターティンググリッドに並べられることとなった。
今年もフォーメイションラップの前に、岡山県警によるパレードラップを実施。2台の白バイが颯爽とコースを駆け抜けていった。そして注目のスタートでは、鋭いダッシュを決めた嵯峨選手が、オープニングラップのうちに一つ順位を上げる。そのまま順位を上げ続けてくることが期待されたものの、このツイスティなコースレイアウトはオーバーテイクを容易に許してくれない。やがて6番手を争う集団の中で、レーシングスクール状態を余儀なくされることとなる。
そのため予定をやや早め、30周目にピットイン。序盤に嵯峨選手が続いていた車両の背後で中山選手も戻ったため、タイミングとしては悪くなかったのは明らかだ。しかし、迫ってくるFIA-GT3勢はストレートで「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」をいとも容易くかわしていき、全車がドライバー交代を済ませた時には11番手を走行していた。せめてあと一台を、と中山選手は懸命にコースを攻め立てるも、逆に70周目、一台の先行を許してしまう。その後も抗うことができず、12位でのフィニッシュに留まってしまった。
開幕ダッシュどころか入賞すら許されず、悔しい今年最初のレースとなってしまったが、このままで終わろうはずがない。しっかりミーティングを重ね、対策も施して第2戦に臨む。次なる舞台は、ゴールデンウィークの富士スピードウェイだ。
嵯峨宏紀選手
「決勝では僕らのペースがなかなか上がらなくて……。ただ、決して僕らがすごく遅いわけではなくて、まわりが速くなった分、相対的に遅れを取ってしまいました。タイヤにせよ、マシンにせよ、パフォーマンスにおいて、検証していく部分はたくさんあると思います、新車ですから。何はともあれ、このような状況が続いていくと、シリーズチャンピオンは難しくなっていきますし、特に次の富士では……。改善していくのが急務だと思っています。」
中山雄一選手
「コーナーでは他のGT3車両より速いのですが、同じペースで走れてもGT500に引っかかると、ブロックする気も失せるぐらい簡単に抜かれてしまうので、単純に今回遅かった理由はエンジンのパワー不足だと感じています。もちろん、車両的にも開発しなくてはいけないのですが、それ以上に去年から今年にかけての性能調整が厳し過ぎて……。ドライバーとしては最初から最後まで、フルで頑張っても精いっぱいでした。新車ということで、まだまだ詰められるところもあるでしょうから、得意のSUGOやオートポリスにうまくつなげられるよう、次の富士を大切にしたいと思います。」
金曽裕人監督
「テクニカルサーキットである岡山ではJAF GT車両が有利との前評判であり、事実昨年は我々が優勝したサーキットでもあります。 そのことから、中位集団の10番手を走行し上位進出を狙いましたが、コーナーで詰めてもオーバーテイクできるパワーを持ち合わせておらず。75周の間、嵯峨選手、中山選手をもっても 一台もGT3車両をオーバーテークすることができなかった。有り余るパワーのGT3車両に対してコーナーリング勝負しか打つ手がないPRIUS含むJAF GT勢は、終わってみれば1台だけの入賞。欧州の名だたるスーパーカーと、物作り日本のJAF勢の開幕戦における真っ向勝負は完敗でした。我々は知恵と努力に関しては、負けない。必ず、近い将来PRIUSが そのスーパーカー勢に勝つ姿をお見せいたしますので今シーズンも熱いご声援をよろしくお願いいたします。」