2015 AUTOBACS SUPER GT ROUND 4
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
8月8日(予選)天候:曇り
コースコンディション:ドライ 観客数:20,400人
8月9日(決勝)天候:晴れ
コースコンディション:ドライ 観客数:36,400人
惜しくも入賞を逃すが、遂行した作戦に悔い無し!
スーパーGTの第4戦が、今季二度目と舞台となる富士スピードウェイで8月8〜9日に開催された。ここまで「NetMove
GT-R」は入賞圏内を狙える惜しいレースの連続。4戦中2戦がマシントラブルに見舞われ、前戦のタイのレースでは初めてのリタイヤとなってしまった。今回の課題は、マシンを労り確実にレースを組み立て完走し入賞すること。どうあれマシンにもドライバーにも厳しい真夏の富士決戦、サバイバル戦になるのは必至ながら、小泉選手と岩崎選手が1ポイントでも多く稼いでくれることが期待された。
公式練習 8月8日(土)8:50〜10:25
夏休み真っ最中の開催とあって、土曜日から2万人を超す観客が集まり、公式練習から熱い視線が注がれた。最初に「NetMove
GT-R」に乗り込んだのは小泉選手。アウトラップにて冷えたNEWタイヤであったこともありヘアピンでハーフスピン。大事には至らずチェックの為ピットに入った後、TESTメニューを開始。その後、足回りを中心にセットアップ。アウトインを繰り返し本格的な走行が行われる。まずは1分41秒台で周回を重ね、40秒610を最初のベストタイムとし、岩崎選手に交代。
岩崎選手は タイヤが硬すぎること、グリップがもっと欲しいとのコメントであったが、作戦上TEAMは承知の上であった。その後、小泉選手に交代し、さらにセットアップを進めコンスタントに41秒台を刻むマシンに仕上がり、決勝での作戦も見えてきた。セットアップを繰り返す中でのベストタイムは40秒610と20番手。午後の予選、マシンも軽くなりNEWタイヤでのアタックに期待がかかるが、作戦的には一発タイムは狙っておらず決勝にすべて照準を合わせていたのであった。
公式予選 Q1 8月8日(土)14:15〜14:38
予選Q1は小泉選手が担当。公式練習同様、厳しい暑さの中での走行開始となったが、計測開始から5分、コース脇にストップした車両があったことから赤旗となる。「NetMove
GT-R」はアタック開始直後であったので非常にタイミングの悪い状況となった。8分間の中断の後、残り10分間の計測で予選は再開。小泉選手が本格的なアタックを開始する。タイヤのグリップと温まりのバランスが出た計測4LAP目に、1分39秒742を記すも、23番手でQ2進出を果たすことは出来なかった。このタイムについてもTEAMは想定内の展開であった。
決勝日・フリー走行 8月9日(日)9:35〜10:05
快晴の中、午後の決勝に向けて午前のフリー走行が行われ、「NetMove GT-R」を小泉選手が最初にドライブ。かなり走りこんだUSEDタイヤでベストタイムは1分41秒860。ラスト12分を岩崎選手が担当。周回は7周に留まるも、1分41秒462まで達し、上々の手応えをつかんだ。タイヤライフ的にも十分な耐久力が確認でき、あとは作戦を実行する決勝スタートを待つだけとなった。
決勝レース(66周)15:00~
決勝のスタート進行の開始とともに行われる、8分間のウォームアップ走行時、小泉選手からブレーキに違和感があるとのコメント。この後、グリッドオープンまでは非常に短時間であり至急対処が必要な状況。すぐさまメカニックが原因を探したところ右前のブレーキラインからフルードの滲みを発見。最高速サーキットでもありブレーキに違和感があることは致命的である。ラインを締めれば問題はないのかもしれないが、TEAMはグリッドオープンに間に合わなくても、PITスタートになっても安全第一で交換することを決断。交換作業により、PITスタート最後尾スタートが確定となったが秘策を信じその時を待つ。今回もフォーメイションラップの前に、静岡県警の白バイ、パトカーの先導によるパレードランが行われ、鳴らされたサイレンがいつになく緊張感を高めさせることともなった。
スタートを担当した小泉選手は、GT300がスタートを切り、その最後尾が過ぎてからPITよりスタートし鋭い加速を見せる。コース上の28台のマシンは、小泉選手が1コーナーに差し掛かるころにはコカ・コーラコーナーを通過し大きく出遅れることとなった。しかしPITスタートにより最後尾スタートとなった小泉選手だったが、冷えたタイヤで1周目から怒涛の追い上げを見せる。「NetMove
GT-R」は、周回を重ねるごとにポジションをアップさせ、インフィールドでもストレートでも隙あらばオーバーテイク!硬めのタイヤは耐久力も良く予想通りコンスタントにパフォーマンスを発揮し41秒台を連発。気付けば、最後尾29番手から30周を過ぎる頃にはにはなんと8番手と大きくポジションを上げた。ペースもよくそのまま40周以上を小泉選手で引っ張る作戦であったが、その後、前車の厳しいブロックの為にオーバーテイクが難しい状況となる。TEAMは、そのペースを保ち更に上位を狙いたいことから32周目にピットインし岩崎選手に交代。
そこで今回の秘策、TEAMはタイヤ無交換作戦を実行する。この作戦は予選段階から考えていたことで、ライバルよりも敢えて硬いタイヤをチョイスし、ピット作業でアドバンテージを稼ぐことを試み、労せずポジションアップを狙っていたのだ。このペースでいけば間違いなくシングルポジションは間違いない。その期待とともに岩崎選手をコースに送り出す。だが、岩崎選手に交代後、いまいちペースが上がらず43秒台の均衡状態となる。45周目を過ぎたあたりからラップタイムは1分45秒台に落ちこみ、明らかにペースを上げようにも上げられなくなっているよう。やがて、48秒台にも……。12番手にまで順位を落とした50周目、レース残り10周あたりで岩崎選手から「タイヤが厳しい」との無線が入る。
TEAMはPITに入れてタイヤ交換するか、それとも残り少ない周回の中、我慢のレースをさせシングルポジションを狙うかという悩ましい作戦変更に迫られる。しかし再度「リアタイヤが厳しくコースに留まるのが難しい!バイブレーションも出てきた!!」とドライバーからの悲痛な無線により、安全を優先し52周目に緊急ピットイン。敏速にリアタイヤのみを交換。これによりシングルフィニッシュは厳しくなったが岩崎選手は最後までプッシュし続け41秒台を数回出すも、結局17位まで順位を落としてのチェッカーとなった。一時は8番手までポジションアップをしていただけに非常に悔しい結果となったが、安全を優先した結果である。だが、得るものも多いレースとなった。次回からシリーズは終盤戦に突入し、山場となる鈴鹿1000km。さらに厳しい暑さをも相手にしなくてはならないが、次回も2人で力を合わせて激走を見せてくれることを期待したい。
小泉洋史選手
前戦タイに続き、スタートを任せて頂きました。昨日の予選から決勝に向けてのセットアップを施し、朝のフリー走行に臨み、更に決勝前の8分間のウォームアップ走行時にセットを変更し確認に入りました。そこで、ブレーキが奥まではいってしまう症状が出たため、決勝のスタートはTEAM判断でグリットからではなく、整備を施してのピットスタートとなりました。クラス29台中23番手スタートが29番手スタートに・・・。気持ちを切り替え、スタート直後はピットスタートであれば単独で走れるという楽な気持ちでスタートしたところ、数周もしない間に最後尾に追いつきました。全体の中で自分のペースが良いのか悪いのか分かりませんでしたが、確実に1台また1台とパスしていく事ができ、車に速さがある事を実感していました。途中ペースは良いと無線が入り、このまま予定通り最長の44LAPを走る覚悟をしていた所、前車に引っ掛かり2LAP後に8番手でドライバー交代。タイヤ無交換作戦だったため、後半はタイヤが厳しくなり再ピットがあったので、結果は17番手フィニッシュ。シングルも狙えただけに残念な結果でした。予選順位やピットスタートを考えると上出来な結果かも知れませんが、ドライバー交代時にタイヤ交換をすべきかも?と伝えられなかった事は反省です。