2014 AUTOBACS SUPER GT ROUND8
開催地:ツインリンクもてぎ(栃木県)/4.801km
11月15日(予選)天候:晴れ
コースコンディション:ドライ 観客数:15,500人
11月16日(決勝)天候:晴れ
コースコンディション:ドライ 観客数:32,000人
最終戦で予選2番手、決勝もタイヤ無交換作戦が完璧に決まって2位入賞!
2014年のスーパーGTも早いもので、もう最終戦を迎えることに。着実に冬の到来を感じさせるようになったツインリンクもてぎが例年どおりシーズンを締める一戦の舞台である。今回のレースは通常より50km短い250kmで、積み重ねてきたウエイトハンデをすべて下ろすことができる。また、ストップ&ゴーが繰り返されるレイアウトは、車両ごと得手、不得手がはっきり分かれることでも知られている。過去2年間はトラブルによって苦戦を強いられたものの、本来、「OGT Panasonic PRIUS」とは相性は悪くないはず。今年のみならず、プリウスを投じてからの集大成のレースとなることが期待された。
公式テスト 11月14日(金)13:00〜16:15
通常は最終戦の前に行われるGT合同テストが、前戦のタイからの移動に時間を要したこともあって行えなかったことから、今回はレースウィークの金曜日に、3時間15分の公式テストの時間が設けられることとなった。この長丁場を「OGT Panasonic PRIUS」は余すことなく使用し、徹底的にセットアップを進めていく。
最初にドライブしたのは新田選手。1周のチェック走行を行い、約20分経過したところから本格的に走り込んでいく。数回にわたるピットストップを挟んだとはいえ、2時間30分、44周を走って新田選手は1分50秒300をベストタイムに。予選モードを試したトップとは約1秒差で、タイヤが2セットしか使えないことを考慮すれば、十分勝負権ありと言えよう。
赤旗中断を挟み、残りの走行時間は嵯峨宏紀選手が担当した。すでに日は傾いていて、路面温度は20度を切るまでとなり、もはやタイヤが正常に機能しないほどの寒さになっていたものの、コンスタントに51秒台で走行、51秒166を自己ベストとしてセッションを締めくくることとなった。
公式練習 11月15日(土)9:00〜10:50
土曜日の午前9時から公式練習がスタート。「OGT Panasonic PRIUS」を駆る新田選手は計測開始とともにピットを離れ、入念にタイヤを温めた後、早くも予選モードに突入。1分48秒518をマークしてトップに躍り出る。このタイムは後に「♯11 GAINER DIXCEL
SLS」に上回られるも、他には逆転を許さなかったこともあり、GT300の2番手タイムに。その後は決勝レースを見据えたセットに切り替え、約1時間走り続けたところで嵯峨選手に交代する。
順調なセットアップを示すかのように、嵯峨選手もほとんどの周回を50秒台で走り、49秒853を自己ベストに。ラスト10分のGT300専有のセッションでも50秒080を記して、決勝レースに向けても確かな手応えをつかむこととなった。
公式予選 Q1 13:30〜13:45
今回のQ1担当は嵯峨選手。走行前にブレーキトラブルが発覚し、急きょローターを交換することに。15分という短い時間の中、ブレーキに焼きを入れつつ、タイヤを酷使せず・・・・という過酷なミッションが科せられたものの、嵯峨選手は慎重な対応でクリアした。気温14度、路面温度は21度とタイヤに優しいコンディションであったこと、そしてブレーキを他のサーキット以上に使うレイアウトであることも、救いの要素に。
この間にブレーキの焼き入れが完了するか、ピットでスタッフは息を飲む緊張の瞬間が続くも、なんとか4周で完了。5周目に49秒575を記録した嵯峨選手は、ラストアタックで49秒175をマーク。10番手ではあったが、「OGT Panasonic PRIUS」を問題なくQ2に送り込むことに成功する。
公式予選 Q2 14:10〜14:22
公式練習からの好調ぶりを改めてアピールすべく、Q2担当の新田選手は早々とアタックを開始。まずは49秒863を記録した後、勢いに乗って47秒977をマークして2番手に浮上する。確かな手応えをつかんでいたこともあり、さらに激しくコースを攻め立てていったのだが・・・・。
激走する新田選手の目に、飛び込んできたのはイエローフラッグ!V字コーナーの手前でクラッシュした車両があったためだ。そのため、アクセルを緩めざるを得ず、48秒375を記録するのがやっと。次の周もやはりフラッグが振られていたため、48秒106を記すに留まってしまう。
しかしながら、決勝レースは「OGT Panasonic PRIUS」はフロントロー、2番手グリッドからスタートすることになり、今シーズンまだ獲得していない「優勝」の2文字が、かなり現実味を帯びることとなった。
新田守男選手
「Q2最初のアタックラップは悪くなかったですね。でも、本当は2周続けていくつもりだったのに、次の周にクラッシュしたマシンがあって、イエローフラッグが振られていたのでアクセルを緩めざるを得なくて。踏んでいったら、もっといいタイムが出せたかもしれないけど、逆にペナルティの対象になってしまったかもしれないんでね。何とも言えないところですけど、ポールポジションの可能性はあったかもしれないんで、残念ではあるけど、決勝を見据えればフロントローですからね。決勝のペースも悪くないと思うので、いいレースができるんじゃないかと思います。」
嵯峨宏紀選手
「朝のフリー走行は2番手ということで順調だったんですが、実はその後、ブレーキにトラブルが出てしまい、急きょローターを新品に換えて、焼き入れを予選で入れなければいけないという、非常に厳しい状態になってしまったんです。15分間でブレーキに当たりを付けつつ、タイヤも温めつつという、すごく難しい状態でした。最後まで完璧な状態ではなかったので、ビクビクしながら走っていたんですけど(笑)、なんとか残れてバトンを繋ぐことができ、新田さんがすごいアタックをしてくれて2番手になれて、本当によかった。今回は2位を目指してもしょうがないので、優勝だけ狙っていきたいと思っています。」
金曽裕人監督
「マシンパフォーマンスに対し、今期優勝がないので最終戦は優勝以外考えておりません。確かにポールポジションも十分に狙える状態でした、しかしイエローフラッグによって予選2番手となったしまいましたが、上々の結果だと思います。守るものが何もない我々は、今期の集大成として、攻めた作戦でチーム全員で目いっぱいチャレンジしたいと思います。」
決勝日・フリー走行 11月16日(日)9:15〜9:45
決勝日早朝のフリー走行は、普段通り30分の計測で行われ、新田選手、嵯峨選手ともにロングランをかけることとなった。最初に「OGT Panasonic
PRIUS」に乗り込んだ新田選手の番になって、途中で赤旗中断もあったものの、メニューは順調に進められていく。ベストタイムは50秒400。
残り時間7分から嵯峨選手が走行し、間もなく50秒030をマーク。嵯峨選手はその後のサーキットサファリでも走行し、バスがコースを離れた後半になって50秒742を記録する。ともにコンスタントにタイムを刻んでいたこともあって、決勝レースに一切の不安なく挑めることとなった。
また、何より士気を高めたのは、満員の観客席。実に32,000人もの観客を飲み込んでいた。特に今回はオーバルコースのピットレーンに仮設スタンドが設けられており、ピットにも興奮の様子が伝わってきたほど。これはもう、恥ずかしいレースは許されない。
決勝レース(53周)13:00〜
日没も早まっていること、そしてレース後にはシリーズチャンピオン表彰やグランドフィナーレなどイベントが設けられていることもあり、サーキットサファリの終了から2時間足らずの短いインターバルで、さっそく決勝レースのスタート進行が開始された。スタートを担当する新田選手は、8分のウォームアップでイン〜アウトだけ行い、チェックを完了。あとは「OGT Panasonic PRIUS」をグリッドに並べて、スタートを待つだけとなった。
サーキット上空には青空が広がり、どうやら雨の心配はまったくなさそうだ。栃木県警の白バイ、パトカーの先導によるパレードランを経て、1周のフォーメイションラップが。そして、グリーンシグナルの点灯とともに、今季ラストの戦いが開始される。1コーナーにポジションキープで飛び込んでいった新田選手ながら、4コーナーで「♯4 グッドスマイル初音ミクZ4」に抜かれ、3番手に後退。
しかしながら、少しも離れることなく新田選手は続いていき、何度も再逆転を狙うも、その都度ガードを固められて前に出ることができない。その間にもトップは逃げる一方とあって、17周目に早くもピットイン。そしてタイヤを換えずに嵯峨選手をコースに送り出す。
わずか24秒。手を焼いた「♯4 グッドスマイル初音ミクZ4」は4輪交換となったため、「OGT Panasonic
PRIUS」は再逆転を果たし、全車がドライバー交代を済ませると、2番手を走行することとなる。前後ともに間隔が空き、集中力を欠きかねない状況においても、タイムをしっかりまとめて嵯峨選手は走行し続ける。そして、49周目に待望のチェッカーが。
最終戦で今季最上位タイとなる2位を獲得。優勝こそできなかったとはいえ、満足の内容でシーズンを終えることに。また、ドライバー、チームランキングともに7位という結果で終えることとなった。
新田守男選手
「優勝できなかったのは残念ですけど、今回のパフォーマンスだと、2位が目一杯だったかな。と思います。前の4号車が予想よりペースが悪かったから、その分11号車に離されちゃったけど、だからと言って11号車の前に出られたかというと、なかなか難しかったので。無交換という意味では、決してクルマもタイヤも悪いパフォーマンスではなかったと思いますね。いい状態で走れたんじゃないかなと思います。ちょっとダンロップはそれ以上にいいパフォーマンスを見せていましたから。ただ、無交換であのパフォーマンスを僕らも出せたというのは、今後のためにもずいぶんいいデータ取りにもなったんじゃないかなと思います。また来年、きっちりとやっていきたいですね。」
嵯峨宏紀選手
「悔しい2位ではありますが、やれる作戦は全部やった中での2位だったので、しょうがないかなと思います。ダンロップタイヤを履いている11号車があまりにも速かったので、タイヤ無交換という作戦も採ったんですけど、力及ばずという感じで・・・・。1年間を通して勝てなかったので、ちょっと悔しいなという思いを残しつつシーズンオフに入りますが、来季に向けてさらなるブラッシュアップをこれからしていきます。この1年を振り返ってみると、取りこぼしが多かったのは事実で、逆に絶えず、確実にポイント獲れる位置にいる、という戦い方をしたからこそ、4号車はチャンピオン獲れたと思うので、そういうところは素直に見習って来季に繋げたいと思います。」
金曽裕人監督
「1年間応援くださった皆様に有終の美を見せられず非常に悔しいです。今期大幅にマシン改良を加えシリーズチャンピオンを狙いましたが、マシントラブルもなくハイブリッドも快調であったのに 前半戦の取りこぼしがこの様な結果となってしまった。すべてのバランスが取れてこそシリーズチャンピオン候補になれるはず。来期我々は、そのバランスを取るべくこのオフシーズンに足りない部分を補います。そして応援くださる皆様に、来期こそ最高の喜びをお届けいたしますので今後ともよろしくお願いいたします。」