2014 AUTOBACS SUPER GT ROUND7
開催地: チャン・インターナショナルサーキット(タイ・ブリラム)/4.554km
10月4日(予選)天候:晴れ
コースコンディション:ドライ 観客数:42,597人
10月5日(決勝)天候:晴れ
コースコンディション:ドライ 観客数:75,168人
スーパーGTがタイに進出! 連続表彰台の期待も、惜しまれる序盤のアクシデント・・・・
全8戦で争われるスーパーGT、第7戦の舞台は今年初めて海を渡ったサーキット。昨年までは海外ラウンドとしてマレーシア、セパンサーキットで行われてきたが、今年からタイのブリラムにある新コース、チャン・インターナショナルサーキットに改められることとなった。グランドスタンド前のストレートは短いものの、1コーナーをクリアしてからはヘアピンで2本のストレートが繋がれ、そこから先はテクニカルセッションが続く。FIAのグレード1規格を取得していることもあり、路面も極めてフラットで、エスケープゾーンも広いことから、大いに攻めがいのあるコースであることは走り前から大いに予想されたもの。
新田守男選手と嵯峨宏紀選手がドライブする「OGT Panasonic PRIUS」は、前回の鈴鹿1000kmで2位入賞を果たして表彰台を獲得し、しばらく続いた苦境から脱出。再びチームのムードは上昇しつつある。そんな状況であるからこそ、データのない初コースでの戦いは勢いがつく。ウエイトハンデも今回は半減されることもあり、引き続きの活躍に期待がかかった。
フリー走行 10月3日(金)15:00〜17:00
普段は土曜日の午前からの走行となるスーパーGTだが、今回は初コースでの初レースということもあって、金曜日の午後からも2時間に渡るフリー走行が設けられていた。その前にほとんどのドライバーが歩いてコースを一周しており、レイアウト図を見ただけの印象とは異なることが明らかに。コーナーの入口〜中間〜出口のコース幅が異なっていたり、路面の目が予想以上に細かかったり・・・・。実際に目と足で稼いだ情報を頼りにイメージを膨らませ、フリー走行に挑むこととなった。
最初に「OGT Panasonic PRIUS」のステアリングを握ったのは、新田選手。ピットが1コーナー寄りだったこともあって、一番でコースに入ってアウト〜インの後、マシンに微調整を行って再びコースへ。慎重に少しずつペースを上げて感触をつかんでいく。このセッションでの収穫は、トラブルに見舞われることなく、多くのデータが確保できたこと。また、まず新田選手が1分38秒686を記した後、続いてドライブした嵯峨選手もまた周回ごとタイムを上げて、36秒982までタイムアップ。
セッション開始時の気温34℃、路面温度55℃から、終了時には31℃、45℃にまで下がっていたこともあり、再び乗り込んだ新田選手は35秒877まで刻んで、セッションの締めとしていた。
公式練習 10月4日(土)10:00〜11:50
土曜日午前には、いつものように公式練習がスタート。このセッションもまた、順調に周回が重ねられていった。途中2回の赤旗中断はあったものの、開始から1時間25分も「OGT Panasonic PRIUS」を新田選手は走らせ、締めには35秒537をマークする。
そこから先はGT300の単独セッションまで、嵯峨選手がノンストップで走らせることとなった。燃費やタイヤの摩耗などをチェックするロングランだけに、あえて速さを追い求めてはいなかった嵯峨選手ながら、コースの習熟とともにタイムも上がり、やがて35秒890を記すように。最後は36秒台の前半で走り続けて、方向性を確認。有意義な公式練習とすることとなった。
公式予選 Q1 15:00〜15:15
今回のQ1担当は新田選手。気温は33度、路面温度51度は10月だというのに、前回の鈴鹿の時以上。もっとも、ここは東南アジアの国、想定の温度域ではある。また、これまでの走行によって温度は高めであっても、路面の細かさからタイヤをよりよい状態とするには、すぐにアタックしない方がいいのはリサーチ済。新田選手は徐々にタイムを上げて、最初は47秒台、次は40秒台、そして37秒台へと速度を高めていったところで、いよいよアタックを開始。まずは35秒870を記し、なおも攻め込んでいく。35秒560にまで達しても手綱を緩めず、最後は35秒092にまで到達。3番手につけてQ2進出を果たし、「OGT Panasonic PRIUS」を嵯峨選手に託すこととなった。
公式予選 Q2 15:40〜15:42
Q2開始時点での温度は、Q1とまったく変わらず。しかし、新田選手からのインフォメーションにより、タイヤのピークは想定より早く訪れ、しかも長く続くことを伝えられていた嵯峨選手は39秒台に入れた後、さっそくアタックを開始する。35秒833、35秒568を記録した後、1周クールダウンを挟んでなおもコースを攻め立てる。その結果、最終ラップの更新こそ果たせなかったものの、35秒187をマークすることに。また、上位2台にペナルティが科せられたことから、「OGT Panasonic PRIUS」は4列目、8番手グリッドに導かれることとなった。
新田守男選手
「僕が担当したQ1は突破が大前提だったので、その目標は難なく達成することができました。ただ、タイヤのグリップが左右ちょっと違う感じがあり、いつまでも左のグリップが来ない感じがあったんです。でも、そのあたりをうまく修正できれば、この後の決勝には問題なく挑めるでしょう。もう少しパフォーマンスを出せると思いますので、期待していてください。」
嵯峨宏紀選手
「メニューはいつも通りこなせたのですが、初めてのコースということもあって自分自身、ちょっと練習時間が少なかったかなぁ、と。ニュータイヤを初めて予選で履いたこともあり、一番おいしい状況を出し切れなかったという思いが正直あります。明日のフリー走行でロングをかけてみて、また改めて確認はしますが、決してトップを狙えない位置ではないと思うので、チームとしっかりミーティングして、決勝に向けていい状況を作っていければ、と思っています。」
金曽裕人監督
「今回の目標は優勝しシリーズ争いを最終戦で行う事。それに見合うほどマシンの仕上がり具合とヨコハマタイヤのパフォーマンスは良好である。予選に関しては、もう少し微調整が出来ていたならフロントローは確実であった。明日の決勝に期待が高まります。何が何でも最高のPOINTを獲得したいので明日メカニカルトラブルが出ないように今日は徹底的にメンテナンスします。」
決勝日・フリー走行 10月5日(日)9:50〜10:20
日曜日朝の30分間のフリー走行は、ほぼ半分に割った形で新田選手、嵯峨選手の順で走行。予定通りロングランがかけられた。新田選手が36秒634を記録した後、ドライバー交代の練習も兼ね、嵯峨選手が素早くコースへと戻っていく。35秒998をマークして、順調にセットアップが進んでいるのが確認できたところでチェッカーが。
続いて行われたサーキットサファリもフルに活用して、さらなる煮詰めが行われる。引き続き嵯峨選手がドライブするが、コース上のバスが普段より速めに走っているせいか、全体的にタイムは伸び悩む。ただし、後半になってバスがコースを離れると、最終チェックを行った新田選手は35秒402を出すことに。十分に勝負権ありを改めて確認することとなった。
決勝レース(66周)15:00〜
レースウィークのどこかで雨が降るのでは・・・・。という予想に対して、決勝レースまで走行中には一度も路面は濡らされていない。もちろん、そのおかげで路面状態は着実に向上しているのだが、まだ新しい路面は短い時間であろうと、もしスコールに見舞われれば状態を大きく変化させるのは必至。ありがたくないことにスタート進行が近づいてくるにつれて、それまでより明らかに雲が上空に増えていたばかりか、やや強めの風さえ吹いてくる。日本での感覚ならば、そろそろということにもなろう。しかし、「できれば降らないで・・・・。」というスタッフの強い願いが届いたのか、結論から言うと最後まで雨に見舞われることはなかった。
今回のスタート担当は嵯峨選手。ところが、フォーメイションラップで思いがけぬトラップにはまってしまう。GT300のポールシッターは、スポット参戦の地元ドライバー。勝手を知らないことが「OGT Panasonic PRIUS」には裏目に出て、あまりに遅いペースからのスタートに対し、エンジンのパワーバンドから外れてしまったのだ。思いどおりのダッシュがかけられなかった嵯峨選手は、ごぼう抜きならぬ、ごぼう抜かれによってオープニングラップだけで16番手にまで後退。
そればかりか遅いフォーメイションラップの影響で、GT500の先頭集団とは早々と3周目に遭遇。セクター3で追突され、リヤのデュフューザーとタイヤにダメージを負ってしまう。そのまま走り続けるのは危険と判断し、嵯峨選手は5周目にピットイン。応急措置を施し、コースに復帰するも、その間に周回遅れとなってしまう。
前も後ろも離れた状態とあって、巻き返しも許されぬ状況の中、「OGT Panasonic PRIUS」は30周目にピットイン。トラブルを抱えた車両が現れるたび、順位は上がっていったとはいえ、自力での状況が許されぬ中、交代した新田選手は我慢の周回を重ねていった。手負いの状態ではあったものの、ドライバーのふたりは自己ベストとして34秒台を記しており、35秒台でコンスタントに周回してもいた。それだけに序盤のアクシデントがあまりにも惜しまれる。結局、17位完走を果たすに留まった。
残るレースは、もはや最終戦のみ。11月15〜16日のツインリンクもてぎで「終わり良ければ、すべて良し」、まさにそんなレースとしてくれることを心から望みたい。
新田守男選手
「僕が乗った時にはもう、どうにもならない状態で・・・・。ペース的にはTOPレベルでありマシンバランスは悪くなかったと思いますが、実際にバトルができていれば・・・・。残るはもう一戦だけとなって、それも決して今までプリウスとの相性がいいとは言えなかった、もてぎですからね。でも、諦めずに挑みます。最終戦で勝って、良い終わり方をしたいと思います。」
嵯峨宏紀選手
「フォーメイションラップのペースがあまりに遅過ぎて、完全にパワーバンドから外れてしまったんです。1速からアクセルを踏み込んでも、エンジンがかぶったような状況で・・・・。スタートの瞬間、もう他のクルマに飲み込まれてしまいました。せめてあと10km/hでも速かったら、そういう状況にはならなくて済んだんですけどね。そのうえセクター3のS字でGT500車両に追突され、スピンさせられてしまって。リヤのデュフューザーを潰され、それがタイヤにも接触したので交換せざるを得ない状態になりました。ちょっとやり切れない思いです。ここ何年か自分もGT500との接触はないし、気を使って走っているつもりですが、ああやって追突されてしまうと、もうどうにもなりませんね。残念です。」
金曽裕人監督
「チャンピオンへの望みを繋げるレースで、GT500の後方集団を走るマシンの追突により、全ての望みが消えた。嵯峨選手も新田選手もマシンもTEAMも完全に臨戦態勢で優勝しか見ていない大切なRACEをあっという間に不可抗力で終わらされてしまった。その後のパフォーマンスも高く、普通にRACEが出来ていたなら・・・・悔しくて強い憤りを感じています。無論これがRACEと言えばそれまでだが、マナーがあっての競技であり我々を応援くださる皆様の気持ちも考慮してTEAMもドライバーも望んでいただきたい。いまだに諦めがつかないが、早く気持ちを入れ替え最終戦で優勝し有終の美を飾りたい。」