2014 AUTOBACS SUPER GT ROUND4 スポーツランドSUGO

 

開催地:スポーツランドSUGO(宮城県)/3.704km

719日(公式練習)天候:雨

コースコンディション:ウェット 観客数:9,000

720日(予選/決勝)天候:曇り時々雨

コースコンディション:ドライ一時ウェット 観客数:28,000

 

 

SUGOに巣くう、魔物に翻弄され続けた週末・・・・。

 

8戦で争われるスーパーGTは早くも第4戦を迎え、シリーズ中盤戦に突入。その舞台となるスポーツランドSUGOは、アップダウンに富み、またアクセルを踏んで回るコーナーの多い、典型的な高速テクニカルコースである。それでいて、コース幅やランオフエリアは広いとは言い難く、アクシデントが発生することもしばし。それゆえ、魔物の巣くうコースとさえ言われている。その上、東北地方はまだ梅雨が明けておらず、天候がめまぐるしく変わる可能性も。

荒れ模様のレースとなるのは半ば必至だが、だからこそ「OGT Panasonic PRIUS」は速さをアピールすることも重要だが、しっかりと状況を見極めて走り続けることが求められた。ここまでの3戦は不運な状況が重なり、納得のいく結果が残されていない。ただし、冒頭でも述べたとおりシリーズはまだ中盤戦に差し掛かったばかりとあって、十分に巻き返しは可能。新田守男選手と嵯峨宏紀選手が、これまでの憂さを一気に晴らすことが期待された。

公式練習 719日(土)9:0010:50

 

梅雨がまだ明けていないこともあって、土曜日のスポーツランドSUGOは早朝からどんよりした空模様。未明の雨によってコースは濡れており、時おり霧雨も降るような状態だった。9時からスタートの公式練習でも状態には変化はなく、そればかりかセッションが進むにつれ、降り出した雨は勢いを増していった。

その公式練習で「OGT Panasonic PRIUS」のステアリングを最初に託されたのは、嵯峨選手だった。コースオープンと同時に走行を開始し、1周のチェックの後、ピットに戻ってくるが、なかなかコース復帰することができない。というのも、シフトチェンジがスムーズに動かないトラブルに見舞われていたからだ。応急処置をして、30分経過が間もなくというところで走り始めるも、赤旗でセッションが中断。再開後に2周のみ走行、1分33593を記録して嵯峨選手はピットに戻ってくる。

ここで新田選手に交代し、4周連続して走行。32748を記すも、マシンセッティングはまだ納得のいく状態ではない。もはや雨は本降りになっているだけにタイムが出るような状況ではなかったが、周回を重ねることが望まれた。残り40分を切ったところで再び赤旗が出されて中断。再開されても「OGT Panasonic PRIUS」がピットを離れなかったのは、雨量も増えセッティングできる条件では無いと判断し、ミッションの修復をしっかり行うためだった。

公式予選 720日(日)9:059:30

 

土曜日に行われるはずだった予選は、濃霧による視界不良によって一時見合わせとなり、回復を待ったものの好転の見込みがないこともあって、土曜日の早朝、905分から25分間の計測で改めて行われることとなった。

日曜日になっても晴れ間は一切見えず、予選は雨に見舞われる中でスタートを切る。通常とは異なり、ドライバーはひとりだけ走行すればいいことになり、「OGT Panasonic PRIUS」のアタック担当は嵯峨選手。いつ強く雨が降るか分からないため、即座にアタックをかけて33秒台にすぐ入れた嵯峨選手は3周目に32784を記録し、その2周後にピットイン。再度コースに挑んだ時には、むしろ雨足は弱まっていたことから、それまでのレインタイヤをインターミディエイトに改めていた。

狙いは的中し、再アタック2周目には31秒台に叩き込み、タイムを刻み続けていく。3周後には30900を記録した勢いで、次の周には29231をマーク。1周のクールダウンの後、28845にまでタイムを詰め15番手、その後ラストアタックで更なる上位を狙ったが無情にもガス欠症状となりアタックはできず。シングルポジションは確実だったでけに残念だが、まずまずの成果を残すことになった。

新田守男選手

「予選は走っていませんが、宏紀からのインフォメーションでは、昨日の大きなトラブルは解消されたようですね。決勝に向けて、もうちょっと前の方の順位を獲ってもらいたかったけど、ここまでの状況を思えば、まぁ。とにかく荒れるレースになると思うので、僕らはきちんとしたクルマの状態で、レースをきちんと戦えれば、いいポジションには行けると思います。」

嵯峨宏紀選手

「いつもと違う形でアタックは僕が担当しました。最初のうちは雨の量も多かったので、レインタイヤで行ったんですが、この後インターミディエイトの路面になると思い、早めに交換しました。狙いは的中したんですが、思いのほかフロントタイヤの温度が上がらず、ずっとアンダーステアの症状が出て、タイムが上がり切らなかったというのが本音ですね。決勝に向けて、あとは挽回するだけです。昨日からあんまり走れていないので、この順位は御の字だと思います。」

金曽裕人監督

「最後の周が一番コンディションも良く、嵯峨選手も気持ち良くアタックしていただけにガス欠症状は痛恨の極み。もっと上位は見えていたのに残念である。この天候が続くなら間違いなくレースは荒れると思う。我々は守りに入らずチャレンジ精神で攻めたレースを展開致しますのでご期待ください。」

決勝レース(81周)14:00

今回のスタートは予選同様に、嵯峨選手が担当。天候が不安定であるにもかかわらず、年に一度の東北地方でのレースということもあって、グランドスタンドは超満員。サーキット全体では28,000人もの観客をおさめていた。スタート直前の気温は22度、路面温度は27度。これで雨さえ降ってこなければ、心地よいぐらいなのだが……。スタート進行が開始された時には、とりあえず雨は止んでいたこともあり、8分間のウォームアップで「OGT Panasonic PRIUS」はインターミディエイトで走り出したものの、すぐにスリックタイヤに交換。グリッドには全車スリックタイヤを装着して並んでいた。

だが、フォーメイションラップが始まって間もなく雨が降り始める。またGT500の隊列が整っていないこともあって、エクストラフォーメイションラップとして2周が追加されることに。その間にチームの判断で「OGT Panasonic PRIUS」はインターミディエイトへの交換を行う。これでほぼ最後尾へと退いたものの、正式にレースが開始されると、嵯峨選手はわずか1周で13番手にまでジャンプアップ。GT500も絡む困難な状況の中、そのポジションを保ち続ける。

しかし、間もなく雨はやんで、徐々に路面が乾いてきたことから、そのまま走り続けるのは不可能と、断腸の思いで「OGT Panasonic PRIUS」をピットに戻し、スリックタイヤに交換。そのため、ほぼ最後尾まで下がってしまう。それでも諦めずに走っていた嵯峨選手ながら、モニターにはレインボーコーナーの脇でストップしている映像が! ハーフスピンであったが、運悪くぬかるんだグラベルにはまり自力脱出ができずオフィシャルの手助けによりコース復帰。この復帰に数周を費やしたことから入賞の可能性も残されていなかったが、データを稼ぐためレースを続行。その後インターミディエイトタイヤへの交換時に違反があり、10秒間のペナルティストップを行い、33周走って新田選手と交代する。

交代後もベストタイムを毎周更新し「OGT Panasonic PRIUS」の好調さを見せる新田選手ではあったが、やがてブレーキにトラブルが生じ、1コーナーでコースアウト。復帰は果たしたが、そのまま周回するのは困難と判断し、無念のリタイアを喫することとなった。次回のレースはわずか3週間後、8月9〜10日に富士スピードウェイで開催される。「OGT Panasonic PRIUS」との相性抜群のコースで、ライバルたちに一太刀浴びせることを誓う。

新田守男選手

「いろいろありました…。最後はブレーキのトラブルでした。最初のタイヤ交換は仕方ないでしょう、雨が降ってくると判断したものの、すぐ止んでしまいましたから。あの時点で勝負が見えてしまいましたが、最後まで走ってデータを取りたかったんですけどね。本番のレースに限ってトラブルが続いているので、安定した状態で走れるようにしないといけないですね。パフォーマンスは悪くないと感じているので、次の富士はしっかり改善して、トラブルの出ないマシンを作るのが重要だと思います。」

嵯峨宏紀選手

「最初のタイヤ交換はスタート前にパラパラっと来たので、それを僕が伝えてチームの判断で交換しました。予選の順位を考えると勝ちに行くなら、そういう判断をしなくてはいけなかったんですが、その後ちょい濡れになってからは、どうしてもABSがついているクルマを刺し切れず、なかなか前を切り崩していけなかったばかりか、乾いてきてからはタイムの落ち込みが大きくて、途中でドライタイヤに換えざるを得ませんでした。その時点で勝負権はなくなり、残念としか言いようがないです。次は得意の富士なので流れを変えたいです。」

金曽裕人監督

「攻めた結果が裏目に出たレースでした。そのなかでも全力で挑んでくれたドライバーに感謝しています。この不甲斐ない結果ながらも応援くださる企業様、ファンの皆様に感謝しております。今期マシンに速さはあるもののメカニカル、オペレーション双方のトラブルから、満足にレースが出来ていないことは事実であり大きな問題。チームは短期集中で抜本的な改善に取り組み、後半戦は「全戦全勝をスローガンに挑みます。這い上がる強さがこのチームです 見ていてください!」