2014 AUTOBACS SUPER GT ROUND3 オートポリス

 

開催地:オートポリス(大分県)/4.674km

531日(予選)天候:晴れ

コースコンディション:ドライ 観客数:13,800

61日 (決勝)天候:晴れ

コースコンディション:ドライ 観客数:24,400

 

走るたび高まっていたポテンシャル。表彰台への期待も、無念のリタイア

 

スーパーGTは今年初めて海を渡り、九州のオートポリスで第3戦が開催された。従来はシリーズ後半戦に行われ、ウエイトをどのクルマもしっかり積んだ状態であったし、また悪天候に見舞われることも多かった。今年は時期が改められたことによって、展開にも変化が表れる可能性も十分あった。

さて、阿蘇山中に位置するオートポリスは高地にあり、かつ地形を活かしたアップダウンに富んだ、テクニカルレイアウトを最大の特徴とする。このオフに大改造を行った「OGT Panasonic PRIUS」にとっては、真価を試すに格好のサーキットと言えるだろう。開幕からの2戦は、不運が重なって満足のいく結果は残せていないものの、運動特性の向上は著しい。従来はむしろ苦手としてきたサーキットを得意とすることができれば、可能性は一気に広がるからだ。チャンピオンを目指す新田守男選手と嵯峨宏紀選手にとっては、もう絶対にレースの取りこぼしは許されない。まさに不退転の決意を抱いて、チームともどもサーキット入りすることとなった。

公式練習 531日(土)9:0010:50

予報が告げるレースウィークの天気は、すべて晴れ。それはいいのだが、問題は気温だった。30度を超すとされ、そこまでの夏日は想定外。当然、路面温度はそれ以上となるため、タイヤが対応しきれるか不安もあったためだ。

正直なところ、土曜日午前に行われた公式練習は高温に対応できるタイヤを温存するなど、消極的な対応をとらざるを得なかった。それでも「OGT Panasonic PRIUS」はトラブルに見舞われることなく、新田選手は順調に周回を重ね、ここ2戦はセッション終盤にようやく嵯峨選手が乗り込むのだが、途中にドライブすることもできた。

新田選手は1時間を経過して間もなく、1分47549をマークするまでとし、これをセッションのベストタイムに。後半、再び嵯峨選手がドライブし、最終チェックを行うとともに48623をマークした。

公式予選 Q1 14:0014:15

Q1スタート時点での気温は、公式練習より4度上がって28度に、そして路面温度は7度上がって38度に。予想どおり暑さとの戦いとなった。今回もQ1を担当したのは新田選手。「OGT Panasonic PRIUS」はほぼしんがりでのコースインとなり、しっかりクリアラップを取れる位置でアタックを開始することとなった。

今回もアウトラップを含め、3周をチェックとウォームアップに充てた後、新田選手はアタックを開始する。記録された47430は、その段階で10番手に相当したが、まだ納得のいくタイムではない。そこで1周、間合いを置いてラストアタックを敢行。

新田選手は46834にまで短縮を果たし、8番手にまで浮上してQ1突破を難なく果たすことに。そしてQ2担当の嵯峨選手にバトンを託すこととなった。

公式予選 Q2 14:4815:00

当初の予定では1440分から行われるはずだったQ2は、GT500のセッションで赤旗中断があったことから、8分遅れでのスタートになった。その間に気温こそ変わらぬものの、強い日差しが路面温度をさらに上げて43度にまで。さらに条件が厳しくなったのは言うまでもない。嵯峨選手は新田選手のインフォメーションを受けての走行となったが、コンディションの異なるタイヤを装着していたせいか、アジャストが十分ではなかったようだ。46788と、わずかに新田選手のタイムを上回るに留まってしまったからである。

とはいえ、同じヨコハマタイヤのユーザーたちは総じてタイムを落としている中での短縮は、十分に健闘を果たせたとも言うべきだろう。ふたつポジションを上げることができ、「OGT Panasonic PRIUS」は決勝レースに3列目、6番手のグリッドから臨むことが決定した。

新田守男選手

「アタックは2回行って、最初は内圧があわず、一度クールダウンの逆で温めにいきました。タイムも順位も今回は可もなく不可もなく・・・・、う〜ん、むしろ不可に近い方かな。何しろこの暑さですからね、こういう時はよそのタイヤの方がマッチするんで。まぁ、僕がQ1を突破できて、宏紀が行ってくれたんで良かったです。」

嵯峨宏紀選手

「今回、持ってきているタイヤの組み合わせの問題で、新田さんからのインフォメーションがうまく生かせなくて、内圧がちょっと高すぎたようです。もう少しシンクロしてピークに合わせられれば、もうコンマ23秒は縮められたと思うので、ちょっと自分としては今ひとつでした。ただ、ほぼ最下位の方だった昨年の予選から考えると、今年この位置にいられるのは車両の大幅な改良ができたことの証明にもなって、そこは大きな収穫なので、決勝に向けてこれからしっかりミーティングします。やらなければいけないことは多く、正直言ってトップは今のところ見えないけど、表彰台には行けるように、しっかり調整していきたいです。」

金曽裕人監督

「まず、この想定外の気温!タイヤチョイスを非常に惑わす原因となり、結果的にSETを外してしまいました。そんな状態でも、しっかりとタイムを出して予選6番手を持って帰ってきてくれたドライバー2人には非常に感謝します。明日の決勝に向けてさらにSETを詰め、万全の状態で決勝に挑み、表彰台を狙って行きたい。」

決勝日・フリー走行 61日(日)8:309:00

早いもので、もう6月に突入。ついこの前シリーズは幕を開けたと思ったものだが、ひとたびスタートすると月日はあっという間に駆け抜けていく。土曜日同様に日曜日のオートポリスのバックには緑の大地と青空が広がり、見た目は非常にさわやかなのだが、強い日差しがその思いを削いでいく。

早朝からのフリー走行において、最初に「OGT Panasonic PRIUS」のステアリングを握ったのは嵯峨選手。予選後のミーティングでセットアップに対する正しい方向性が導かれたのを証明するかのように、このセッションは順調そのもの。実に10周もの連続周回がこなされ、その間にマークされた47429はトップタイム。これが1周だけ絞り出されたのではないことは、47秒台が他にも2周記録されていることで明らかだ。そして残り10分となったところで、新田選手がドライブ。3周を走行し、続いて行われたサーキットサファリでしっかりマイレッジを稼ぎ、決勝へ万全の状態で挑む。

決勝レース(65周)14:00

今回のスタート担当は、開幕戦以来となる新田選手。前回の富士ほどではないにせよ、2万人を遥かに超える観客を飲み込んだスタンドは、心なしか九州の人々の熱さを表すかのように、負けず劣らず興奮がみなぎっていた。それに合わせて気温も28度、路面温度は43度に達し、暑く、そして熱い戦いが繰り広げられるのは、もはや必至と言えた。

今回のフォーメーションラップは温度の高さもあって、1周のみ。しかし、「OGT Panasonic PRIUS」は隊列から遅れてしまう。ギヤが1速に入らず、オフィシャルの押し掛けによって、ようやく始動できるように。最後尾からの苦しい戦いを強いられるも、もとより予選で6番手のポテンシャルは備えている。しばらくは慎重に周回を重ねる新田選手だが、7周目からはオーバ―テイクショーをスタート。トラブルで後退した車両もあったことから18周目までに20番手にまで浮上し、21周目には早々と嵯峨選手に交代する。

タイヤ交換を右の2本だけに留め、素早くピットを離れていった嵯峨選手。それだけでも1台をかわすことに成功する。そのまま順位を上げ続けていくことが期待され、全車がピット作業を終えた時の順位が注目された。だが、その時、「OGT Panasonic PRIUS」はピットに戻って来たではないか! それが32周目のこと。ガレージに押し込まれ、リヤカウルが開けられた後、再びコースに戻ることは許されず、駆動系トラブルによる無念のリタイアを喫することとなった。

あまりにも痛い、今季2回目のリタイア。もはやチャンピオンを目指すのは現実的ではなくなってしまったかもしれないが、ならば今後はリスク承知でスピードを見せつけるまで。次回のレースは7月1920日のスポーツランドSUGOが舞台。その間に鈴鹿サーキットでの合同テストを挟むだけに、マシンをより進化させることをチームは誓っていた。

新田守男選手

「いざフォーメーションラップという時に、シフトが動かない状態になってしまい、そうなるとEVスタートもできなくてね。でも、オフィシャルに押してもらった時に、ギヤが他のところに入ってスタートできるようになったんです。その後はタイヤに少し微妙なところもあったけど、後ろから行ったからドタバタしながら何台か抜いてきたんですけど。宏紀に代わった後もまた、いろんなトラブルが出てきて、う〜ん、なんだろうねぇ。また特別いろんなものが出てきているような・・・・。ちょっとレースには、正直なっている感じじゃなかったですね、いいも悪いもって感じ。それぐらいしか言えません。」

嵯峨宏紀選手

「僕の乗っている時に起きたトラブルというのは、原因を調査中ですけど、たぶんシフターのコンプレッサーが熱を持っちゃって、容量が追いつかなくなっちゃったんだと思います。ここは特にシフト回数が多いし、想定以上に気温も上がってしまったので。今年から入れているシステム(パドルシフト)なのですが、これだけ暑い状態で走るのは初めてでしたから。朝のフリー走行が良かっただけに、ちょっと残念です。正直厳しいですね、チャンピオンを狙うつもりで今年はやってきたんですけど・・・・。勝てるレースを三つ落としてはきついですね。毎回そう言っていますけど、『次こそは頑張ります』としか、ドライバーとしては言えないのが辛いです。」

金曽裕人監督

「朝のフリー走行でトップをマークし、決勝に向けていい流れで来ていたが、その流れもAMまでだったのか、うまく噛み合わず。熱により駆動系にトラブルを抱えてしまった。予想外の気温とはいえ、これから灼熱のシーズンになることは明らかであり、更なる対策が必要不可欠。常に開発と進化を重ねていくPRIUS。次戦SUGOでは、すべてが噛み合った本来のパフォーマンスをお見せして、ぶっちぎりで優勝したいと思いますので応援よろしくお願いいたします。」