2014 AUTOBACS SUPER GT ROUND2
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
5月3日(予選)天候:晴れ
コースコンディション:ドライ 観客数:32,200人
5月4日(決勝)天候:晴れ
コースコンディション:ドライ 観客数:52,200人
荒れたレースの中で10位1ポイントの獲得。今後のレースに期待を持てる内容に。
ゴールデンウィーク真っ只中の5月3日・4日に富士スピードウェイで開催されたSUPER GT第2戦「FUJI GT 500km RACE」
ゴールデンウィークともあって、予選日は32,200人、決勝日には57,200人の来場者があり、2日間で89,400人と昨年の観客動員数を大幅に上回り超満員となった。シリーズ戦の中で鈴鹿1000㎞に続く、距離の長い今回のレースでは、入念なチーム戦略が上位進出への鍵になる。#30 IWASAKI apr GT-Rは岩崎選手と影山選手の二人で、この耐久レースに臨むことになった。
第2戦を開催する富士スピードウェイのコース特性は、全長4,563mでハイスピードなレースが繰り広げられる約1.5kmのメインストレートに加えて、高度なテクニカルコーナーが配置されたハイスピード&テクニカルコースで、コース幅も広く各所で熱いバトルが繰り広げられえるインターナショナルサーキットである。
【5月3日練習走行】9:00~11:00
3月23・24日に行われた富士スピードウェイの合同テストでセットアップをしたマシンに、今回のレースに合わせてヨコハマタイヤが用意してきたタイヤとのマッチングとセッティングの確認をするため、まずは影山選手がマシンに乗り込みチェックを行った。影山は5回のin-outを繰り返しマシンの微調整を行い、27周を走行して岩崎選手に交代した。岩崎選手は、影山選手の仕上げたマシンを確認すべく、周回を重ね午後から行われるノックアウト予選に向けて、まずは13番手以内に入れるセッティングへと仕上げていった。
【5月3日ノックアウト予選Q1・Q2】14:00~14:15・14:40~14:52
14時から行われた公式予選Q1は、影山選手が13番手以内に残るべくタイムアタックに臨んだ。影山選手は入念にタイヤを温め、クリアラップを探して4周目にアタック。1‘39.194を出し、12番手でQ2進出を決めた。
14時40分から行われたQ2は岩崎選手が更なる上位を目指し、慎重にコース状況を見極め、4周目にアタックを行った。その結果1‘38.204で一時、暫定トップに躍り出るが、他車のアタックのタイミングと被り順位は後退していった。岩崎選手は1周のクールダウンを行い再びアタックを行うが、1’38.532と1回目のアタックを上回ることができなかったが、結果4番手でセカンドロウを手に入れた。この日、マシンのバイブレーションと異音があったが、原因究明がすぐにでき、翌日に備えメカニックが万全の体制を整えた。
【5月4日フリー走行】8:30~9:00(サーキットサファリ9:10~9:25)
朝から快晴に恵まれた富士スピードウェイは大観衆を迎え、絶好の観戦日和のなか開催された。前日、入念なミーティングを行い500㎞の決勝レースに向けて、2ピットでレースを進めることになった。フリー走行ではスタートを務める岩崎選手が先にマシンのフィーリングを確認し、影山選手へと交代。交代してまもなくピットに戻り、微調整を行いその後は30分間のセッションを終えるまで走行を続けセッションを終えた。続いて行われたファンサービスの一環である、サーキットサファリの15分も活用して影山選手が決勝レースに向けて最終チェックを行い万全を期した。
【決勝】14:00~(110Laps)
定刻通りスタート進行は行われ、14時にフォーメーションラップが開始となった。1周のフォーメーションを終え、岩崎選手の駆る#30 IWASAKI apr GT-Rは完璧なスタートでコントロールラインを過ぎて行った。前を走るのは、#61 BRZと#55 CR-ZのJAF-GT勢2台とポールスタートの#3 GT-R。特にストレートでJAF-GTよりもパワーの勝るGT-Rは、ここで勝負を仕掛けるのが一番である。
岩崎選手はまず、#55 CR-Zをかわし3番手に浮上。翌周には#61 BRZをかわしあっさりと2番手に上がった。しかし、3ラップ目の1コーナーのブレーキングポイントで、#88が#9の突然の進路変更により行き場を阻まれ、それを回避するためにコースアウトしガードレールに激突する大クラッシュを起こしたため、セーフティカーが導入された。コースの半分にまで破損したパーツが散らばったため、5周に渡りスローペースでレースが進行していった。これにより岩崎選手が築いたマージンを失うことになった。
8周目にリスタートが切られ、再びマージンを築くためハイペースで周回を重ねていくが、13周目によりペースの速い#31 PRIUSにかわされ3番手にポジションダウンすると、続いて#2 McLaren、#7 BMWにも先行され、必死に守るも一気に5番手までポジションを落とすことになった。岩崎選手は上位陣に離されまいとペースを変えずに走っていた矢先の17周目に、GT500 #46 GT-Rの左フロントから炎上し、コカコーラコーナーにマシンを止めた。
消化活動を行うために、2度目のセーフティカーランとなった。20周目にリスタートが切られ、このタイミングで15周目にかわされた#7 BMWのスタート時のジャンプスタートによるペナルティが課せられ、ポジションを一つ上げたが、燃料タンクの大きいマシンや、燃費の良いマシンは、この2度目のセーフティカーのタイミングでピットインを行い、2スティント目を迎えていた。#30 IWASAKI apr GT-Rは20周から40周の間にピットインをする作戦をとっていたが、このセーフティカーのタイミングでピットインすることは、燃費の悪いGT-Rにとってはリスクの高い選択と判断し、タイヤのパフォーマンスが出せる限界まで、引っ張る作戦を選んだ。30周を過ぎたあたりで岩崎選手からリアのタイヤが厳しくなってきたという無線が入り、チームは影山選手を待機させピットインのタイミングを計った。
そして、約3分の1強を消化した38周目にピットイン。迅速なルーティンワークで影山選手へと交代し、2スティント目に突入した。このスティントでは、3スティント目で後輪2輪交換を実行する作戦を練っていたので、影山選手はタイヤを労わりながらの走行を続けた。全車が1回目のスティントを終えた時点で14番手。2度目のセーフティカーでピットインをしたマシンが上位を占めた。影山選手はGT500との混走の中、コンスタントラップを刻み、ポイント獲得を狙うべく周回を重ねていき、レースが残り約28周を迎え岩崎選手の待つピットへマシンを運んだ。
作戦通り、後輪2輪交換を行い岩崎選手がチェッカーを受けるべくコースへと向かった。レースラップを消化するにつれ、ガス欠をするマシンなどが出てきたことにより、ポジションを上げ、#30 IWASAKI apr GT-Rは10位でチェッカーを受けた。今回のレースでは、前半に起きた2度のセーフティカー導入が運命の分かれ目になったことは間違いないが、マシンパフォーマンスを存分に発揮できたレースであり、貴重なポイントを獲得したことは、岩崎・影山選手のニューコンビにとって信頼関係を一層高めたレースなったと言えよう。
【岩崎祐貴選手コメント】
3月に行った富士のテストで感触が良かったので、本戦の予選ではラバーが乗ってきており、37秒台のタイムが出せたと思いますが、自分のミスもあったことで4番手という結果になってしまいました。これは自分の未熟なところと反省しています。
決勝では、前のグリッドにいたJAF-GTよりも直線のパワーが勝っていることがわかっていたので、ストレートの状態で上位にあがれると思っていました。スタートもうまくいったので、順調に後続を引き離していけたのですが、予想外のSCが入り、せっかく築いたマージンを失ってしまったのは残念です。レースの結果としては2度目のSCでピットインしたマシンが上位に入りましたが、GT-Rで同じ作戦を行うことはリスキーなので、できるだけ周回数をひっぱり影山選手に繋ぎました。影山選手は3スティント目に後輪2輪交換作戦をすることを考慮し、タイヤを労わりながら走ってくれたお蔭で作戦は成功し、10位入賞という結果になりました。SCが入らなければ、もっと上位にいけたとは思うと悔しい気持ちもありますが、これもレースなので貴重なポイントを獲得できたことを素直に喜びたいと思います。次戦のオートポリスは標高が高いため、ターボ車に有利なサーキットなので、更に上位を目指していきたいと思います。
【影山正美選手コメント】
6年という長い期間、ハンコックタイヤを使用してきたので、今シーズンから使っているヨコハマタイヤのパフォーマンスを十分に出しきれないことに、苦戦しているというのが正直なところです。予選では、オーバーステアの状態でアタックを行っていましたが、12番手というギリギリのところでQ2に進出することができて岩崎選手にバトンを繋げ、岩崎選手が良い走りを見せてくれたので、4番手セカンドロウで決勝に進出することができました。
決勝も、スタートを担当した岩崎選手が慎重な走りで上位を保ってくれていましたが、2度のSCでマージンを失ったことは残念ですね。GT-Rは2度目のSCのタイミングでピットインしても燃料が足りなくなるリスクが高かったので無理をせず、タイヤのパフォーマンスが保てる限界まで岩崎選手に引っ張ってもらいました。今回のレースはこの2度目のSCでのピットインがレースの分かれ目になったと思うので、荒れたレースの中で10位1ポイントの獲得という結果は今後のレースにとって貴重なものとなったと思っています。
【金曽裕人監督コメント】
今回のレースウィークは、全体を通してポジティブに捉えています。マシンのパフォーマンスも良かったし、ドライバー同士が互いを高めあっていて、チームとしても良い状態に向かって行っています。2度目のセーフティカーでピットインすることも考えられましたが、最終的にどちらを選んだとしても間違いではなかったと思います。ハイリスク・ハイリターンを選ぶ考え方もあったし、そうでない考え方もあったのでこれは「運」としか言えなかったと思います。チームとしては、力をつけてきているので今後に期待をしてもらいたいと思います。