2014 AUTOBACS SUPER GT ROUND2

 

開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km

53日(予選)天候:晴れ

コースコンディション:ドライ 観客数:32,200

54日(決勝)天候:晴れ

コースコンディション:ドライ 観客数:52,200

 

GW超満員の富士で、一時はトップを快走! 6位入賞を果たす。

 

 

8戦で争われるスーパーGTの第2戦が、ゴールデンウィーク真っ最中の富士スピードウェイで開催された。春の500kmレースといえば、もう1年も経つのに未だ記憶に新しい、プリウスがハイブリッドGTマシンとしてスーパーGTで初めて勝利した、記録にも残る一戦でもある。国内最長のストレートをモーターのアシストも利して全開で、セクター2の高速コーナーを、そしてセクター3の中低速コーナーをシャシーバランスに優れることから、フットワーク良く駆け抜けていった。

 

オフの間に大改造が施された「OGT Panasonic PRIUS」は、その効果が絶大だったことを証明するかのように、新田守男選手と嵯峨宏紀選手の激走によって、岡山国際サーキットでの開幕戦ではポールポジションを獲得。決勝レースではスタートでライバルの先行は許したが、トップ争いを繰り広げた。残念ながらトラブルにより、序盤のうちにリタイアを喫したものの、高いパフォーマンスを披露することはできた。相性のいいコースで、巻き返しを誓ったのは言うまでもない。

 

公式練習 53日(土)9:0010:50

ゴールデンウィーク後半のスタートとなった土曜日は、天候が不安定だった開幕戦とは対照的に、穏やかなコンディションとなっていた。公式練習開始時の気温は20度と、もはや上着は必要ないほど。路面温度も30度と、走行には最適な条件が整っていた。今回も最初に「OGT Panasonic PRIUS」をドライブしたのは新田選手。

 

普段以上にセットアップには時間が費やされ、完璧にマシンを仕上げようとするのが見てとれた。開始から1時間を経過して間もなく、新田選手は139788をマークするが、その時点でライバルの多くは38秒台に突入。途中にスピンもあったほどで、納得がいかないのは明らか、その後もあえてロングをかけず調整を繰り返す。

1時間30分経過したところで、ようやく嵯峨選手にバトンタッチ。1周の確認走行の後、ラストのGT300単独セッションで40787を出すに留まり、やや不安要素を残すことともなった。

 

公式予選 Q1 14:0014:15

午後になって日が昇ったこともあり、温度はさらに上昇。気温は23度、路面温度は33度にまで達していた。どうやら、見た目の爽やかさとは裏腹に、路面状態とも合わせ、難しいコンディションになっているようだ。それが証拠に予選がスタートして5分経過しても、タイムを計測しているのは5台のみ。「OGT Panasonic PRIUS」を駆る新田選手も、ゆっくりとピットを離れていく。

 

アウトラップを含め、3周をチェックとウォームアップに充てて、いよいよアタック開始。叩き出された139260は、束の間であったがトップタイム。どうやら公式練習以上の手応えが得られているようだ。次の周には38260をマークし、さらに短縮こそならなかったものの、ラストアタックでは38800を記録する。最後まで諦めなかったのが、良かったと言うべきだろう。というのも、ベストラップを記録した周には4輪脱輪があったと判定され、削除されてしまったからだ。6番手からひとつポジションを落とした7番手でQ1突破を果たした。

 

公式予選 Q2 14:4014:52

Q2までの25分間にもセットアップが進められ、「OGT Panasonic PRIUS」はより進化の一途をたどっていく。嵯峨選手も新田選手同様、3周目からアタックを開始し、いきなり38775を記録したからだ。さらに攻めていく嵯峨選手は3840838492と好タイムを連発した後、ピットに戻ってくる。

 

その結果、「OGT Panasonic PRIUS」は7番手、4列目のグリッドから決勝レースに挑むことに。出だしは今ひとつだったものの、着実に速さを増していく状況に、スタッフ一同ホッと胸をなで下ろしていた。何より今回は二度のピットストップが義務づけられる、500kmの長丁場。それほど予選結果は重視されないにせよ、進んでいる方向が的確だったからだ。

 

新田守男選手

「持ち込みのセットを今までとは大きく変更して、それが理想値だと思ってみたものの・・・。公式練習の段階ではQ1突破も苦しいかなと思っていたんですが、そこからアジャストしていったら、比較的いい方向に向いてくれました。ただ、その中でもリヤのバランスが良くなかったので、またアジャストして僕とは1レンジ柔らかいタイヤで嵯峨選手に行ってもらったら、結果は合格点。ただ、クルマには満足してないので、明日の朝でセットを合わせ込んで、もう一発大きな変化を入れていこうと思っています。それがいい方向に行ったなら、表彰台が見えるんじゃないでしょうか。」

 

嵯峨宏紀選手

「公式練習の後、チームの方でマシンの問題点を大幅に検証してくれて、大幅にセットを変えたのが功を奏した感じですね。午前中は足踏みしてしまいましたが、ようやく予選で最初の一歩が踏み出せているので、決勝までもう一回のフリー走行でもう少し煮詰めをやっていけば、トップも見えてくるんじゃないかと思っています。まぁ、今回のレースは長いので予選はあんまり重要ではないので、決勝に向けてどういうペース作りができるか、今からしっかり準備して臨みたいと思います。」

 

金曽裕人監督

「理想値を追求したセットで持ち込んだが、結果はドライバーが納得できるレベルを大きく外していた。その中で、Q1,Q2に進出し7番手を獲得したことに対し両名に感謝しています。外したセットではあったがTRYした数点の内容が速さに繋がることもわかり、収穫はあった。その事からも、明日までにマシンパフォーマンスは進化できそうなので決勝は表彰台が狙える状況に仕上げたいと思う。」

 

決勝日・フリー走行 54日(日)8:309:00

決勝当日も好天に恵まれ、スピードウェイの背後にそびえる富士山も、より青空に映えるようになっていた。早朝からのフリー走行は気温17度、路面温度28度と、予選に比べれば低くなっているが、レース後半はこのあたりのコンディションとなっているはずだ。また本来、ここではスピードを求める必要はないが、マシンの状態を確認するため、新田選手はピットアウトと同時にコースを攻め込んでいく。その結果、「OGT Panasonic PRIUS」が記録した138843はトップタイムとなり、最後まで破られることはなかった。

 

その後、二度ピットに戻って決勝セットをさらに詰めていき、30分の計測はすべて新田選手がドライブ。サーキットサファリから嵯峨選手が走行し、ラストの1周は計測されなかったものの、また新田選手が走るほどチェックは入念に行われた。もちろん、チーム全体が決勝に向け、確固たる手応えを得ていたのは言うまでもない。

 

決勝レース(82周)14:00

今回のスタートは久々に嵯峨選手が担当。大観衆が見守るグリッドに「OGT Panasonic PRIUS」を並べることになった。さわやかな風が吹いているせいか気温は20度と、やや低めではあるものの、日差しが強いこともあって路面温度は、レースウィーク最高となる36度にまで上昇。少なくてもレース序盤は、タイヤのマネージメントが重要になりそうだ。

 

前回からのフォーメイションラップ2周の後、いよいよシグナルがグリーンになって、レースが開始される。まず1コーナーへの飛び込みではポジションキープの嵯峨選手だったが、2周目には3台を相次いでかわして4番手に浮上。さらにもう1台にロックオンする。が、4周目に入って間もなく、ストレートエンドで激しいクラッシュがあり、セーフティカーがコースに。SCランを活用するのは想定してはいたが、この段階ではまだ早すぎる。1台もピットに戻らぬうちに8周目からバトル再開。 上位との差が一気に詰まったこともあり、これが最初の好機と嵯峨選手は139秒台へとペースを上げ、まず13周目には3番手に浮上。なおも手綱を緩めず、14周目の1コーナーでもう1台を、さらに16周目の13コーナーではもう1台を捕らえてトップに浮上する。ここまでは絶好調そのものだった。

 

しかし、「OGT Panasonic PRIUS」がトップに立って間もなく、GT500車両に出火があり、消火のために再びセーフティカーが。ピットレーンオープンは19周目から。ここは判断が分かれるところだ。あと10周、いや5周先であったなら、間違いなくピットに呼び寄せたことだろう。9台がピットに戻ってくるが、チームはタイヤライフと燃料の問題もあり、ステイを決断。20周目にはセーフティカーがコースを離れた。24周目、2番手に交代した嵯峨選手ではあったが、そのポジションをキープし続けて36周目に新田選手とバトンタッチ。もし、この後に3回目のSCランがあれば、先のステイが正解となる。いったん17番手まで退いた新田選手ながら、そのことを信じて着実に前の車両をかわし続けていくが、50周目に暫定トップの#2マクラーレンと接触し行き場を失いコース上にストップし17秒ほどタイムロス。そして、先のSCラン中に入った車両とはピットのタイミングが異なることもあり、64周目にはトップに返り咲いたのだが・・・。

 

76周目、「OGT Panasonic PRIUS」には再び嵯峨選手が乗り込み、リヤタイヤ2本だけの交換に留めてロスを最小限に。36秒で作業は終了するも、すぐにピットを離れることはできず。実は新田選手との交代時もそうだったのだが、モーターでの発進、いわゆるEVスタートができなかった事からスタートに手間取り新田選手、嵯峨選手ともに15秒ほどをロスしてしまいコース上の接触も含めると、なんと47秒ものタイムロスを築いてしまった。コースには9番手で戻り、この時点でトップとの差は55秒。トップの40秒台に対し、39秒台での周回を重ねる嵯峨選手は徐々に詰めていく。

 

ギリギリまで交代を遅らせた2台があったことから、81周目には7番手に浮上。さらにもう1台の脱落があったことから90周目には6番手に。これ以上のポジションアップは果たされなかったものの、終わってみればトップとの差は33秒までに短縮されていた。もし、「タラレバ」が許されるなら、6位という結果以上の成果が得られていたことだろう。531日〜61日にオートポリスで行われる第3戦で、より一層の巻き返しを誓うこととなった。

 

新田守男選手

「レースペースは良かったので、いろんな意味でピットでね・・・。ずいぶん損しちゃったですね。はっきりとは分からないのですが、いつもモーターでピットからはEVスタートして出て行くんですが、それが出来たり、出来なくなったりしていたので、エンジンスタートで行ったんですが、エンジンかけてギヤを入れてもニュートラルのままで。タイミングのロスも大きかったけれど、そのロスも惜しまれます。ただ、今回こうやって完走もできましたし、前回のリタイアから、また流れも繋がったと思いますので、次のオートポリスも楽な戦いは許されないでしょうけど、頑張りますので応援してください。」

 

嵯峨宏紀選手

「レース前半は柔らかめのタイヤを選んでいたこともあって、かなり温存方向で走っていたのですが、その割に保ちそうだな、というのが見えてきて。それでプッシュしてトップに立ち様子を見ながら走っていたんです。だけど、セーフティカーが入ったタイミングが、燃料の保つ、保たないかギリギリのタイミングだったので・・・。結果的には、あそこで入ったチームが上位に来たので、残念と言えば残念です。今後はチームとしっかりミーティングして、ああいう状況も想定していかないと、1回、2回勝つことはできても、チャンピオンは獲れないな、というのを強く感じたので、そこはチーム一丸となってやっていきたいと思います。ただ、クルマの性格が変わって、今までは富士が得意だと言っていましたが、今回の感じではコーナーが速いので、次のオートポリスや今まで苦手にしていた鈴鹿やもてぎも良さそうに思えました。今回は流れとかツキがありませんでしたが、長いシーズンを考えれば、まだまだこれからです!」

 

金曽裕人監督

「決勝中のパフォーマンスは素晴らしい内容であったにも関わらず、表彰台に届かなかった事が非常に悔やまれる。敗因の1つ目は19周目の判断ミス。確かに燃料は厳しかったが、勇気を持ってピットインさせるべきであった。ハイリスク・ハイリターンは世の常であり、我々は消極的な姿勢からリスクを避けてしまった。敗因の2つ目はドライバー交代時に2回ともにスタートに手間取ったり、接触によってコース上でストップしたりと、トータルで47秒ものタイムロス。結果的にトップと33秒差でのチェッカーであることから、19周目にピットインが無くともこの47秒のロスが無ければ、この作戦でも表彰台は狙えた。どちらのパターンでも優勝が狙えたレースであった事は間違いない。我々はシリーズを狙う為にも今後のレースにおいてどの様な展開があっても最善の判断を行い、結果を出さなければならない。次戦オートポリスではその結果を出したいと思いますので応援よろしくお願いいたします。」