2014 AUTOBACS SUPER GT ROUND1

開催地:岡山国際サーキット(岡山県)/3.703km

45日(予選)天候:晴れのち曇り

コースコンディション:ドライ 観客数:9,000

46日(決勝)天候:晴れ一時雨

コースコンディション:ドライ一時ウェット 観客数:18,000

 

大ベテラン影山選手を迎えた初戦。入賞も期待できるペースで走行も、

無念のリタイア

2014 年シリーズは、満開の桜が咲き誇るなか、4 月5・6 日に岡山国際サーキットで開幕戦を迎えた。今シーズンの30号車は、SUPER GT全シーズン参戦のベテラン影山正美選手を第2 ドライバーに迎え、昨年の第4 戦からGT-R GT3 を駆る岩崎祐貴選手と共にシリーズに臨むことになった。
3月に岡山国際サーキットと富士スピードウェイでテストを行った#30 IWASAKI apr GT-R。岡山国際サーキットで行われたテストの初日はエンジントラブルの為、僅か7 周しか走行できない不運に見舞われたが、2日目のテストと、富士スピードウェイのテストでメニューを着実にこなし、開幕戦に向けて準備を整えてきた。

岡山国際サーキットの特徴は、1周3.707 ㎞で2本の長いストレートと大小13のコーナーからなるテクニカルコースで、スタート直後の1 コーナー、ヘアピンからリボルバーコーナーの下り、W ヘアピンが迫力ある見所となっている。また、コース幅が狭く、混戦状態になった時にはマージンが一気に縮まることもあり、ドライバーにとっては非常に厳しいサーキットの一つと言えよう。
今シーズンのFIA-GT3車両のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス:性能調整)は、基本的にはブランパン耐久シリーズのBoPが採用されるが、バランス調整のためGTA 独自のBoPが特別に採用されることもあるという。CR-Z・PRIUS・BRZ のJAF-GT車両に関しては、昨年の結果を考慮し、GTAがBoPを設定している。

公式練習 4月5日(土)9:00

9時から行われた練習走行は曇り空のなか、気温13℃、路面温度15℃でスタートした。まず、初めにマシンに乗り込んだのは今季セッティングを担当する影山選手。入念にタイヤを温め、持ち込まれたマシンのチェックを行った。6 周を走行し、一旦ピットに戻ると、微調整を行い再びコースへ。
その状態を幾度となく繰り返し、予選に向けてマシンを仕上げていった。影山選手は約1 時間を走行し、岩崎選手に交代した。しかし、交代直後#67 STP タイサン GAIA POWER GT-Rがダブルヘアピンで単独クラッシュをした為、10分間の赤旗中断となった。セッション再開後、岩崎選手は影山選手が施した。セッティングの確認を行う為11周を走行。岩崎選手のフィーリングを基に、再び影山選手がステアリングを握り、Pit IN-OUTを繰り返しながら最終調整を行い、1時間50分の練習走行を終えた。

公式予選Q1 14:0014:15 Q2 14:4014:52 

今シーズンも公式予選は全戦ノックアウト方式で行われる。GT300クラスから始まりQ1が15分間、GT500クラスQ1を挟んで、GT300のQ2 が12 分間で行われる。Q1 では上位13 台がQ2 に進出することができ、Q1で敗退した場合、その時点の順位がグリッドに反映される。上位13 位以内に入ったマシンはQ2で再びアタックを行い、その結果で決勝グリッドが確定する。

14時から行われた公式予選は、雨に見舞われる可能性が報じられていたが、幸い曇りを保ったまま、セッションが開始された。
Q1に挑むのは影山選手。まずは13番手以内に入るのが目標となるが、午前の練習走行では、FIA-GTのBMW勢、JAF-GT 勢がベストタイムを更新する程の好調さをアピールしており、6台エントリーしているGT-R GT3勢は厳しい状態でのアタックとなった。

影山選手は、慎重に間合いを見極めコースイン。路面温度が低いこともあり、タイヤの温まりが悪く、計測4周目、5周目になりようやく1 分28 秒台後半を出し、渾身のアタックに臨んだが、唯一1分26 秒台を出した#7 studie BMW Z4 を除き、2 番手から16番手までの15台が1分27秒台という拮抗した状態の中、1’28.131のベストタイムを出した影山選手は、惜しくも19番手という結果となり、Q2 進出は叶わなかった。
また、このQ1では23台中、21台がコースレコードを更新するというマシン性能の進化を明確にする結果となった。チームは公式予選後、翌日に控えた決勝レースに向け、上位を獲得すべく入念なミーティングを行った。

決勝日・フリー走行 46日(日)9:009:30

迎えた決勝日。前夜に降った雨が乾き始めたものの、9時から30分間で行われたフリー走行が近づくと暗雲が立ち込め、開始と同時に雹(ひょう)混じりの大粒の雨が降ってきた。それにより、路面はあっという間にウエット状態になっていったため、ウエット宣言が出された。
しかし、開始から6 分で雨はピタリと止み、厚く覆っていた雲も去り、陽が差していったことで、路面コンディションは好転へと向かって行った。

#30 IWASAKI apr GT-Rは、まず影山選手が決勝レースに向けてマシンの調整を行っていくが、刻々と変化する濡れた路面コンディションは、決勝レースに向けてのセッティングを行うには難しい条件となった。影山選手は徐々に路面状況が改善していくなか、決勝レースに適したセッティングを煮詰めて行った。
その後、フリー走行の後半と、サーキットサファリの時間には岩崎選手が搭乗して、セッティングの最終確認を行った。

決勝レース(82周)14:00

14時を迎え、82周の決勝レースがスタートした。今シーズンはGT500 クラスがカーボンブレーキになったことにより、1周のウォームアップ走行を行った後に、フォーメーションラップが行われた。通常ならば1周のフォーメーションラップでスタートするが、隊列が整わず更に1周が追加され、シグナルが青に変わり爆音と共に決勝の火蓋が切られた。19番手からスタートした影山選手はオープニングラップで17番手に浮上。翌ラップには同じGT-R GT3の#360をかわし16番手に。順調に順位を上げて行った#30 IWASAKI apr GT-Rだったが、ハイパーコーナー出口でギアを3速から4速に上げた瞬間、異音と挙動が乱れたため影山選手は駆動系トラブルと判断しマシンをコースサイドに止め、そのままレースを終えることになった。

この決勝に向けてマシンを合わせてきていただけに、トラブルに見舞われることは非常に残念でならないが、シリーズはまだ始まったばかりなので、今後の活躍に期待したい。

岩崎祐貴選手コメント

今回はあまり走る機会はありませんでしたが、3月の岡山で行った合同テストの状態から、富士テストで問題点がかなり改善されて、フロントとリアのタイヤのキャパシティが増えたので、乗りやすいマシンになって岡山に持ち込むことができました。
岡山はGT-R GT3にとって相性の悪いサーキットということもありますし、3月のテストと今回のレースでトラブルが出ているので、運に恵まれていなかったのかもしれませんね。まだ、ブレーキ面で問題が残っていますが、次戦の富士はテストの手応えも良かったし、セクター1、セクター2はGT-R GT3にとって有利に働くコースなので、確実なレース運びで表彰台に乗れるよう、全力を尽くしたいと思います。

影山正美選手コメント

予選では、足回りのパフォーマンスが十分に発揮できず、特にセクター2で僅かにタイムを伸ばすことが出来なかったことで、思ったよりもタイムが伸びませんでした。
決勝では、レース開始3周目になってギアを上げた瞬間、異音が出て挙動を乱し駆動が掛からなくなった為、急遽マシンを止めることになりました。結果は、駆動系トラブルということでしたが、着実に順位を上げていたので、今回のトラブルは残念でなりません。岩崎選手にステアリングを繋ぎたかったですね。
開幕戦をノーポイントで終えたことは残念ですが、まだまだ始まったばかりなので、今後のレースできっちりポイントを獲得していきたいと思っています。
3月の岡山テストと富士テストを通して、マシンの状態は確実に良い方向に向かっています。しかし、まだまだマシンパフォーマンスを引き出せるので、良い方向を見出せるよう努めていきます。

金曽裕人監督コメント

今回のレースでは、1ポイントでも多く獲得することを目標に掲げて臨みましたが、決勝がスタートしてまもなく、これまでGT-R GT3で起きたことのない駆動系トラブルに見舞われてしまったことは残念でなりません。
もともと、岡山はGT-R GT3にとって相性が良いサーキットとは言えない中で、影山選手はテストの段階から、先を見こしつつ効率の良いセッティングを模索して行ってくれていたので、今回は完走してデータを残したかったのですが…。
しかし、岩崎選手も影山選手の持っている多くの引き出しを少しでも盗んでいこうと努力しています。ドライバーコンビネーションは万全なので、今後のIWASAKI apr GT-R に期待して頂きたいと思います。