2013 AUTOBACS SUPER GT ROUND6
開催地:富士スピードウェイ/4.563km
9月7日(予選)天候:曇り
コースコンディション:ドライ 観客数:19,500人
9月8日(決勝)天候:曇り一時雨
コースコンディション:ドライ〜ウェット 観客数:32,800人
公式練習トップからの好発進も、天候に翻弄され入賞ならず
スーパーGTもいよいよ終盤戦に突入。シリーズ第6戦が、富士スピードウェイで開催された。前回の鈴鹿では、二度に渡るエキゾーストからの出火によって、完走扱いという結果に留まった「IWASAKI OGT Racing GT-R」ながら、この1か月前に行われた富士でのGT公式テストでは、2番手のタイムを記録。前回の無念を振り払い、岩崎祐貴選手もイゴール・スシュコ選手も、大いに期待を胸に抱いてコース入りしていたのは言うまでもない。
実際、GT-Rと富士の相性は良く、先に触れた公式練習でもトップは同じGT-R。またスシュコ選手は第2戦において、予選25番手から実に20台抜きとなる5位入賞を果たしている。前回のレースもトラブルに見舞われるまでは決勝で順位を上げ続け、内容そのものは決して悪くなかっただけに、今回は目標を高く掲げて表彰台獲得としていた。
公式練習 9月7日(土)9:00〜
天候の悪化が心配されたレースウィークだが、幸い土曜日の公式練習は雨に見舞われることなく、ドライコンディションから開始された。前回のレースで遭遇したトラブルによるダメージは、スタッフの努力によって修復されたが、その後走行の機会がなかったこともあり、最初に「IWASAKI OGT Racing GT-R」のステアリングを握った岩崎選手は、まずはチェックのため、序盤にピットイン〜アウトを繰り返す。それを入念に行って不具合のないことを確認したところで、スシュコ選手にバトンタッチ。
代わって間もなく、二度も赤旗が出されてセッションは中断されるが、セットアップが順調に進んでいることは、マシンを降りてきたスシュコ選手の明るい表情からも明らかだ。まずは1分41秒117をマーク。二度目の再開後は再び岩崎選手がマシンに乗り込み、2周後には40秒537をマークして、その時点での3番手につけたばかりか、さらに2周後には40秒322を出してトップに浮上!
その後も40秒台をコンスタントに記録する「IWASAKI OGT Racing GT-R」を上回る車両は最後まで現れず。セッションラストは再びスシュコ選手が乗り込み、最終チェックを行って終了。もちろん、ピットには笑顔が溢れていたのは言うまでもない。
公式予選Q1 14:00〜14:15
ノックアウト方式の予選Q1に、前回鈴鹿戦に引き続き挑んだのは岩崎選手。公式練習ではトップだったものの、まだまだタイムの伸び幅があるとの判断から、セットを変更して挑むことに。ところが、気温25度、路面温度は33度と、ここ数戦とは比較にならないほど低めだったことが影響したのか、このセット変更が裏目に出てしまう。
いつものようにアウトラップともう1周をタイヤのウォームアップ、そしてポジショニングに充てて、2周目からアタックを開始するも40秒513から40秒378へと、わずかな伸びに留まることに。そこで1周をクールダウンに充てて、チェッカー寸前に再度アタックをかけたものの、40秒822とタイムアップならず。それでも「IWASAKI OGT Racing GT-R」は12番手につけ、Q2進出に成功することとなった。
公式予選Q2 14:40〜14:52
今季初めてQ2に挑むこととなったスシュコ選手に対し、Q1の反省も踏まえてセッティングを公式練習との中間レベルに戻し、コースへと送り出すこととなった。この変更が大正解。岩崎選手同様、2周目からアタックを開始したスシュコ選手は、41秒577から40秒234へ、そして40秒191へと着実に短縮を果たしていったからだ。
さすがにもう一発……とは行かなかったものの、ターゲットは無事クリアなったこともあり、チェッカーが振られる前にスシュコ選手はピットに戻ってくる。Q1よりふたつポジションを上げたこともあり、「IWASAKI OGT Racing GT-R」は最上位となる10番手、5列目のグリッドから決勝に挑むことが決定した。
岩崎祐貴選手
「公式練習では最初のうち、前回のレースで燃えた修復の確認もあってピットアウト、インを繰り替えせざるを得なかったんですけど、そこから周回を重ねるごとに、どんどんタイムも上がっていって、トップで終えることができました。ただ、ちょっとだけセットで気になっていたところがあったんで、予選前に改めたんですが、それが裏目に出てしまい、ものすごいオーバーステアになってしまって。そんな状況においても何とかコントロールしてQ1突破できて、本当に良かったです。Q2でセットを直したら、イゴールがすごくいい感じで走ってくれたので、このセットでQ1を行っていたら、もっと違った結果もあったかもしれないというのはあるんですけど。ただ、決勝では順位も確かに必要なんですけど、前回は完走できていないので、リタイアせずに完走することを、まずは目指したいと思います。」
イゴール・スシュコ選手
「朝の走行で祐貴がトップタイムを出して、その勢いでQ1も初めて突破してくれました。セットを改めたQ2は悪くなかったですね。ちょっと悔しいのは、もうちょっと行けたって感触があるんですが、それでもベストリザルトなんでね。鈴鹿でも追い上げはできていたんで、今回はトップの方を狙っていきたいと思っています。最低でもGT3勢のトップはね、可能性があるのかと。ここでいちばん怖いのはタイヤのバースト。それを確実に防ぐため、正しく走って、ふたりともミスなく安定して走っていけば表彰台にも上がれるかもしれません。まぁ、まずは絶対にポイントを獲りにいこうと思っています。」
金曽裕人監督
「予選の組み立て方次第ではTOP3も確実であった。午前中TOPタイムのセットを予選に向けて変えなくてもよかったかも知れない。最前列グリッドを狙い少し欲を出しすぎたのも事実。「IWASAKI OGT Racing GT-R」のマシンパフォーマンスは折り紙つき、明日はどの様なレース展開でも上位は狙えると思う。炸裂する岩崎選手、イゴール選手とチームにご期待ください。OGTとaprは1番しか狙いませんので!」
決勝日・フリー走行 7月9日(日) 9:00〜9:30
決勝レースが行われる日曜日は、ついに天気が崩れて早朝のフリー走行は完全にウェットコンディションとなってしまう。気温も23度、路面温度にいたっては24度にまで下がっていたこともあり、それまでとはすべての状況が改められていた。まずは岩崎選手から走行し、ブレーキパッドの慣らしを行なった後、ウェットタイヤの選定へ。
理想とするグリップレベルが得られず、後半を担当したスシュコ選手が54秒464をマークするに留まったが、続けて行われたサーキットサファリでは雨も弱まり、またスタビライザーの設定変更が功を奏し、バスと一緒に走り続ける状態の中でも53秒台をマーク。わずかなウェットコンディションでの不安も解消し、あとは「IWASAKI OGT Racing GT-R」が決勝レースに挑むのみとなった。
決勝レース(66周)14:00〜
スタート進行と同時に行われる8分間のウォームアップでは、今回もスタートを担当する岩崎選手がアウト、インだけを行うことに。タイヤが十分に温まっていないにもかかわらず、「グリップし過ぎる感があった」というのは、予想以上に温度が上がっていたからだ。フリー走行の後、雨は完全に止んだのはいいものの、併せて気温を29度、路面温度を35度まで高めていた。
そういった一抹の不安は残していたものの、「IWASAKI OGT Racing GT-R」はベストとなる10番手からレースを開始することもあり、そこからどこまで順位を上げていくか、大いに期待されたもの。オープニングラップこそポジションキープに留めたものの、先行するチームメイトの「Panasonic apr PRIUS GT」に離れず食らいついていき、6周目には逆転。さらに先行車両の相次ぐ後退もあって、12周目には7番手に浮上する。レースはまだまだ序盤、このまま順調に順位を上げてくれることが期待されたのだが……。
「IWASAKI OGT Racing GT-R」にとって運命の分かれ道となったのは、19周目からのセーフティカーラン。GT500の車両がストレートでのバーストによってクラッシュ、パーツが路面に散乱したためだ。残り周回は40周前後あるため、燃費を考えれば本来は入れたくないタイミングではある。第2スティントを1周でも短く、との判断からピットレーンオープンとなった21周目に入れず、もう1周待つことにするも、非情にもSCランは次の22周で終了となってしまう!
そのため、ルーティンのタイミングでドライバー交代を行うことに、再び作戦を変更。先行車両の多くがピットに入ってドライバー交代を行っていたこともあり、「IWASAKI OGT Racing GT-R」は3番手に浮上していた。もし、この後に雨が降ってきたら、上位入賞は確実だ。実際、雨は降ってきた。ところが、スリックタイヤのままで走れるほどの勢いでしかなかった。
36周目に「IWASAKI OGT Racing GT-R」はスシュコ選手と交代。SCランのタイミングでドライバー交代を行ったチームの先行を許し、なんと順位は19番手にまで。その後、全車がドライバー交代を済ませると14番手にまで上がってはいた。諦めることなく走り続けたスシュコ選手は、55周目に一台を、そして60周目にはもう一台をパス。結果としては12位に甘んじたものの、アクシデントが生じなければ、そして天候が著しく変化していれば……。そんな「タラレバ」が許されるなら、確実に表彰台、上位入賞を果たしていただろう。この悔しさはラスト2戦、そして2週間後に挑むアジアン・ル・マシンシリーズ、JAF GPにぶつけられることとなる。
岩崎祐貴選手
「ちょっとピットのタイミングがね……。ただ、僕が乗っていたタイミングでは、決して良くはなかったですね。予定よりもタイヤのタレが早かったんで、堪えながら走っていたんですが、途中でSCが入ったことでタイヤの熱ダレが解消されたので、その後は悪くないペースで走れたんですが。やっぱり最終のリザルトを見るとSCでピットインして、ドライバー交代した方が良かったのかな、と今は思っています。ただ、あの後天候が大幅に変われば、違った結果になっていたでしょうし、そういった運によって順位が左右されたので、決して全部がマイナスではなかったと思います。そのあたり、気持ちをしっかり切り換えて、今後のレースに臨みたいですね。」
イゴール・スシュコ選手
「SCラン中にピットインしなかったことで、損しちゃったね。1周近くロスしちゃったし。もし、雨が激しく降ってきてウェットタイヤを使えるような状況になっていたら、また上位を争えていただろうけど、それがなかった限り、もう無理でしたね。この後の富士のレースに向けて、クルマのパフォーマンスの高さは確認できたけど、やっぱり悔しいね……。」
金曽裕人監督
「天気だけはコントロールできなかった……。ドライバー2人もチームも最善を尽くし、ミスは無かっただけに、もし天気予報通りに雨が降れば確実に表彰台は狙える展開だった。それだけに悔しさをぶつける先が無い。今回のレースを考察すると、速さに自信のあるチーム、雨タイヤに自信のあるチーム、シリーズポイント上位のチームが20周めのSCランでピットインせず守りに入った。反面、捨て身が可能な状況を持つチームがそのタイミングでピットインし勝利した。要するに挑戦無き者に勝利は無いと言うレースであった。残り4回のレースがある。我々は必ず挑戦する。1番を獲る為に。」