2013 AUTOBACS SUPER GT Round 3
開催地:セパンインターナショナルサーキット/5.542km
6月15日(予選)天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:41,000人
6月16日(決勝)天候:曇り コースコンディション:ドライ 観客数:67,000人
イゴール・スシュコが新加入、今後に期待を抱かせ、しっかり完走果たす。
スーパーGT第3戦 は、毎年恒例の海外ラウンドとして、セパンサーキットで開催された。舞台となる赤道から近いマレーシアは、まさに南国。高温多湿で、常に暑さをもライバル としなくてはならぬことで知られているが、コースのレイアウトは魅力的とドライバーからの評価は高い。最終コーナーで折り返される2本のストレートの間には、低速から高速までさまざまなコーナーが組み合わされ、実にチャレンジングであるからだ。
さて、今回のレースから「IWASAKI apr R8」をドライブする、岩崎祐貴選手のパートナーが改められることとなった。同じaprから出場する「Panasonic apr PRIUS GT」のスポンサーのひとつである「OGT」、「フリースケール」社の強いバックアップアップにより、イゴール・スシュコ選手が起用されることが決定。急きょコンビを組むこととなった岩崎選手とスシュコ選手ながら、07年と08年にFCJをともに戦っていた経験があり、コミュニケーションはまったく問題はなさそうだ。
公式練習 6月15日(日)13:00〜
本来、前回のレースから今回のレースの間には、韓国での特別戦が予定されていたが、急きょ延期されたこともあり、2か月近いブランクに久しぶり……という印象を抱かせた。さて、普段ならば土曜日の午前中に行われる公式練習は、今回午後からのスタート。セッションの時間は変わらないが、予選までのインターバルは1時間30分と短いため、ここでのセットアップは通常より迅速、かつ入念に進められていった。
最初に「IWASAKI apr R8」に乗り込んだのは岩崎祐貴選手。1年ぶりのコースを復習する意味も込めて、2周を入念にタイヤの熱入れに充てる。そこから本格的に走行を開始。いきなり2分9秒403と、好タイムをマークする。その後、2度のイン・アウトを繰り返し、イゴール・スシュコ選手と交代。aprからスーパーGTに挑むのは初めてながら、アウディR8 LMS Ultraでのレース経験はあるため、最初は探りながらの走行だったが、周回を重ねるごとコンスタントにラップを刻むように交互にステアリングを握り、ディスカッションを重ねながら、セットアップを進めていった岩崎選手とスシュコ選手。
着実にメニューをこなしていく様子は、まるで長年のコンビのようでもあり、急きょ組まれたことに対する不安は早くも一掃された。岩崎選手が実に24周、スシュコ選手が16周も走行できたのは、いかにトラブルフリーだったか分かろうというもの。まずは上々のスタートを切ることとなった。
公式予選Q1 16:30〜16:45
ノックアウト方式の予選Q1には、前回に引き続き岩崎選手が挑むこととなった。スタート直前の気温は33度、路面温度が40度は前回に比べれば遥かに高いが、ことセパンではむしろ低め。そのことがどう影響を及ぼすか注目された。
計測開始と同時にコースインした岩崎選手は、アウトラップでタイヤには十分熱が入ったことを確認し、早速アタックを開始する。まず記された2分10秒565は予想どおりながら、そこからの伸びが明らかに欠けている。実はこの時、エンジンが不調を来しており、本来のペースで走れずにいたのだ。次の周に10秒043を記し、もう1周攻め続けたものの、タイムアップならず。Q2の走行を待ち望むスシュコ選手につなぐことなく、ここで予選を終えることに。その結果、「IWASAKI apr R8」は22番手から決勝レースに挑むこととなった。
岩崎祐貴選手
「フリー走行からタイヤのチョイスや足廻りのセッティングなど、いろいろ悩んでいたんですが、思い切って足廻りを硬めの方向に振って、予選に挑んでみたんです。ところが、エンジンが全然吹けなくなってしまい、最高速のモニター表示で10km/h遅 く、コーナーでは全然立ち上がらない、ストレートも伸びないという辛い状態になってしまって、何とか頑張ったんですけど、どうにもならなかったですね。た だ、クルマのフィーリングは徐々に良くなっているので、決勝はうまくポイント圏内に入れると思います。ただ、暑いのでトラブルが心配なんですけど、そこを 何とかうまくやっていけたらと思います。」
イゴール・スシュコ選手
「このチームとレースするのは初めてなんですけど、金曽監督とは何年もつき合いがあって、思った通り居心地のいいチームでした。これからが楽しみです。マレーシアもセパンも初めてで、練習で走らせてもらった印象では、前戦まで乗っていたGT-Rと比較すると、BOPの違いをすごく感じますね(笑)祐貴が言っていた通り、どうもエンジンの調子が悪いのもあって、あまりレースでは上位を狙えないかもしれませんが、その分レースをエンジョイしますよ!」
金曽監督
「岩崎選手、イゴール選手の相性は良くバランスが取れている。特にイゴール選手は入門カテゴリー参戦の時代から知った仲であり、我々とのコミニケー ションは全く問題ない。彼の潜在能力は高く、早い時期に表彰台も獲得できると思う。その為に彼を迎え入れたのだから期待をしている。それに反し、今期のア ウディーは性能調整の問題から非常に辛い状態であり、全くコンペディションの中には居ない。早期にこの問題をクリアーしなければ岩崎選手、イゴール選手を 組み合わせた意味がなされないとTEAMは強く認識している。」
決勝日・フリー走行 6月16日(日) 11:00〜11:30
決勝当日の午前中に行われたフリー走行は、もちろんドライコンディション。強烈な日差しが、まさにマレーシアを感じさせた。最初に「IWASAKI apr R8」に乗り込んだのは岩崎選手。まずは3周走行し、2周目に10秒604を記録した後、ピットに戻る。
その後はサーキットサファリも含め、スシュコ選手がドライブし、決勝に向けて合わせ込みを入念に行うことに。そのコンスタントな走りを見る限り、マシンに対する違和感はなさそう。徐々に順位を上げていくことが、大いに期待された。
決勝レース(54周)16:00〜
強烈な日差しを避けるため、セパンでのレースはスタートが以前から遅めだったが、今年はさらに1時間ずらされ、スタート進行が2時50分から、そしてスタートは4時に改められた。8分間のウォームアップ走行ではタイヤのスクラブのみ行い、最終チェックの後、「IWASAKI apr R8」はスターティンググリッドへ。今回のスタートは岩崎選手が担当する。
やや雲も出て、陽もだいぶ傾いたとはいえ、気温は33度、路面温度は42度と、セパンらしい状況の中、決勝レースのスタートが切られる。オープニングラップのうちに岩崎選手は、ふたつポジションを上げて20番手に浮上。やがて前を走る2台とバトルを繰り広げるように。7周目に1台をかわし、その次の周にはリタイアした車両もあって18番手に浮上。20周目を境にドライバー交代を行う車両が出始めるが、あえて岩崎選手は交代を遅らせ、29周目にスシュコ選手にバトンを託すことになる。
レースが折り返すと、「IWASAKI apr R8」は16番手に。素早いピットワークも後押しした格好だ。その後もポジションを保ち続けて走行するスシュコ選手だったが、40周目のS字でコースアウト。幸い、マシンにダメージはなかったものの、これでひとつポジションを落としてしまう。再逆転を目指して、残り周回を必死に攻め続けたスシュコ選手だったものの、あと2秒及ばずチェッカーが。その結果、17位でレースを終えることとなった。
次回のレースはスポーツランドSUGOが舞台。引き続き岩崎選手とスシュコ選手のコンビで挑む予定となっている。もはや完走を果たすだけでは飽き足らなくなっているだけに、そろそろ大躍進を期待したいものだ。
岩崎祐貴選手
「予選のペースが遅かったのは、エンジントラブルのせいだったんですけど、決勝ではそういうトラブルは一切なく、クルマなりに走ったという感じでし た。僕らのクルマはストレートが遅い分、コーナーで頑張ってもストレートで離されてしまうので、ポジションを上げるのは正直、大変でしたね。決勝の距離が 長ければ、いいペースで走れるんですが、今回のような長さですと、どうしても中途半端で……。順位を上げることができなかったのが残念です。」
イゴール・スシュコ選手
「40周目に順位を落としたのは、S字 で攻め過ぎてしまい、出口で右側のリヤタイヤがコース上のゴミを踏んでしまったことによるものです。そのままスピンしそうになったので、右に逃がしちゃっ たからロスしてしまって。残念な展開になってしまい、チームには本当に申し訳なく思います。このチームで初めて走りましたけど、とてもリラックスできる環 境を作って頂きました。最高です。祐貴のペースは悪くなかったけど、僕はGT-Rから乗り換えているんで、このクルマのパフォーマンスを実感して、FIAのBOPのつけ方って何かおかしいな、と思ってしまいました(笑)。同じクラスで5秒も6秒も遅いなんてあり得ない。ここは直線がたくさんあるので……。悔しいですね。」
金曽監督
「セパンレースの意味合いとして、予行練習は終わり!!と締めます。本当の実力を次戦の菅生から見せ付けますので皆様、ご期待ください。#30の台風シーズン到来です!」