2013 AUTOBACS SUPER GT Round 2

開催地:富士スピードウェイ/4.563km

4月28日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:31,600人  4月29日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:48,500人

しまれるペナルティ。我慢の走りで完走果たし、次回につなぐ

ゴールデンウィークのスタートに改められ、従来は5月3日に決勝レースが行われていた富士スピードウェイでのスーパーGT第2戦は、4月28日 (日)〜29日(月・祝)の開催となった。本来なら、この後に初開催となる韓国での特別戦を控えていたのだが、これが急きょ延期の発表が。そのため、続い て行われるのは第3戦・マレーシア/セパンサーキットのレース。「IWASAKI apr R8」をドライブする岩崎祐貴選手にとって二度目の挑戦となるが、なによりパートナーのファイルーズ・ファウジー選手にとっては母国でのレースとなるだけ に、錦を飾ることを大いに望んでいるはず。その意味でもマシンをより理解し、手足のように扱うためにも、このレースは非常に重要な意味を持つこととなっ た。

また、今回のレースは500kmの長丁場とあって、2回のピットストップが義務づけられており、また第3ドライバーの登録が可能。そこで昨年の第5戦以来となる小林賢二選手が加わり、レギュラーのドライバーたちをバックアップすることとなった。

公式練習 4月28日(日)9:00〜

ゴールデンウィークのスタートは、爽やかな天候に恵まれることとなった。開幕戦は気まぐれな天候に翻弄され続けただけに、この穏やかな状態はドライ バーのみならず、チームにとってもありがたいもの。慌ただしく何か変更するようなこともなく、ドライビングやセッティングに集中できるからだ。実際、走り 出しとなる28日(日)の公式練習は、順調に進んでいった。最初に「IWASAKI apr R8」のステアリングを握ったのは岩崎祐貴選手。まずは1周、ゆっくりとコンディションを確認した後、本格的に走行を開始する。

まずは6周連続して走行した岩崎選手1分41秒326をマーク。続いてファイルーズ・ファウジー選手が乗り込むことに。8周を走行して41秒864 を記録し、微調整を施した後、再び岩崎選手をコースに送り出す。6周してピットに戻ってからは、少ない周回でのピットイン〜アウトを繰り返してセットを詰 め続けていく。1時間30分を経過したところで、コース上のデブリを回収するため、赤旗が出されて計測が中断。

再開後は再びファイルーズ選手が乗り込んで、41秒508を記録。自己ベストを更新した後、ラスト10分のGT300単独セッションでは、代わって 第3ドライバーの小林賢二選手がドライブする。久々の走行ではあったものの、しっかりと周回を重ねて基準タイムを難なくクリアする44秒618をマークし た後に、チェッカーが振られることとなった。

公式予選Q1 14:00〜14:15

ノックアウト方式の予選Q1には、今季初めて岩崎選手が挑むことになった。日曜日の開催ということもあって、普段の予選よりも明らかに多い 31,600人もの大観衆が見守る中だけに、モチベーションはいやが上にも高まるばかり。気温は18度、路面温度は33度と、この時期にしてはやや高めな がら路面状態は良く、アタックには最適な条件となっていた。

それでもウォームアップは入念に行った岩崎選手。アウトラップともう2周で、しっかりと確認を行なった後、本格的なアタックを開始する。まずは42 秒648を出した岩崎選手は、クリアラップを取るべく次の周はスローダウン。そして状態も整ったこともあり、40秒916をマーク、その次の周こそタイム アップならなかったが、最後のラップに集中してコースを激しく攻め立てた。その結果、40秒838にまで短縮を果たすも、Q2進出にはあと一歩及ばず。残 念ながら、決勝レースには23番グリッドからスタートすることが決定した。

岩崎祐貴選手コメント

「Q1突破ならず、予選は残念な結果に終わってしまいましたが、決勝に向けての状況は整ってきています。最初のフリー走行ではいつもと一緒でタイヤ チョイスから始めて、その後は硬いタイヤでずっと行きました。なかなかあと一歩というところがつかめず、ファイルーズ選手とドライバー交代しながら、『あ あでもない、こうでもない』とやって、少しずつですけどセッティングも詰め続けることができたので。攻めのセットとまでは行きませんでしたが、ロングをか けていたので、タイヤのライフは見えてきましたね」

ファイルーズ選手コメント

「マシンバランスは悪くないが、1.5kmのストレートでアウディーR8のエンジンパワーは誰にも勝てないほどのチープな出力。多分最高速は最下位だと思う。岩崎選手も頑張ったがストレートがあれではきついよ。R8はコーナーでのパフォーマンスが高いだけに残念」

小林賢二選手コメント

「今回、第3ドライバーとして走らせていただいて、少ない周回数の中でチェックのお手伝いをしただけなんですが、クルマの方向としては安定してい て、いい状態にあったと思います。以前よりもブレーキのフィーリングも良くなっているし、どんどん進化しているって感じはありますね。長いレースなので、 何が起こるか分からないので、いつでも行けるように準備は万全にして。ミスなくまとめてポイント圏内に入れるように頑張れれば、と」

金曽監督コメント

「想定ではQ2にぎりぎり残れるかも?と期待したが、少し残念な結果である。ファイルーズが言うみたいに劣勢な要因は完全に分析できている。今は技 術的な回答を待つしかない。素晴らしいマシンなのに結果だけを見ると伝えられないもどかしさがいっぱいです。決勝は長丁場なので確実なレース展開でポイン トを獲得したい。」

決勝日・フリー走行 4月29日 8:30〜9:00

決勝日もどうやら予報で告げられていたとおり、天気の心配はなさそう。スピードウェイの背景には青空と威風堂々と富士山が映り、まるで気持ち良く レースをしてくださいと語っているかのように。もちろんスタンドの観客はさらに増えて、48,500人をおさめるまでとなっていた。早朝から開始のフリー 走行は、まずファイルーズ選手からとなり、「IWASAKI apr R8」は8周の連続周回をこなした後、ピットイン。ファイルーズ選手はセッションベストとなる、1分41秒323をマークする。

続いて岩崎選手がコースイン。サーキットサファリを間に挟み、合計7周を走って、その間にトラブルは一切発生せず。スケジュールを完璧にこなして、あとは決勝のスタートを待つだけとなった。

決勝レース(110周)14:00〜

今回のスタート担当はファイルーズ選手。決勝セットも決まっていたこともあり、スタート進行中のウォームアップではタイヤのスクラブのみ行い、万全の状態で「IWASAKI apr R8」はスターティンググリッドに送り出された。

気温は18度、路面温度は29度と、予選とほぼ変わらぬ状況の中、決勝レースのスタートが切られることになった。素早くひとつポジションを上げたファイ ルーズ選手は、集団の中でさらなるポジションアップを狙う。レースは序盤からやや波乱含みの展開で、上位にハプニングが続く中、6周目には19番手に躍り 出る。今回は長丁場のレース、無理は禁物とばかりにコンスタントな周回を心掛けていたファイルーズ選手。そして、予定どおり35周目には岩崎選手と交代し たのだが……。

全車、最初のドライバー交代を済ませると「IWASAKI apr R8」は17番手に。すでに6台をかわした計算だ。ストレートパフォーマンスではどうしてもライバルに引けを取るため、あらかじめ我慢のレースとなるのは 想定内。周囲にタイヤのバーストが続いていただけに、今のいたわりが最後に結果をつかむ要素となるものと予想されたものの、そんな矢先にドライビングスルーペナルティを命じるフラッグが。ファイルーズ選手がピットストップの際、エンジンをすぐ停止させていなかったのが原因だ。やむなく49周目に岩崎選手 はピットロードに。

ポジションはそのままだったが、先行車両との差が広がってしまい、前も後ろも離れた状態で周回を重ね続けた岩崎選手。そして75周目にファイルーズ 選手と再びバトンタッチする。バースト等で遅れた車両もあって15番手で最終スティントに突入したファウジー選手は、次回につなげるため、そして何よりク ルマを理解するためという、当初からの目的を遂行するため、1周1周を大事に走行していく。そして100周目にチェッカーが。15位という結果に満足は決 して行くものではないが、2戦連続の完走はデータの蓄積ともなって、必ず今後に活かされるはず。

次回のレースは冒頭でも触れたとおり、ファウジー選手のホームコース、セパンサーキットが舞台。きっとここまでの我慢を実らせてくれることだろう。

岩崎祐貴選手コメント

「ファイルーズ選手にはさんざん注意していたんですけど、やっぱりやらかしましたね。ちゃんとピットではエンジン切りなさいとチームからは伝えられ ていたはずなんですが。まぁ、これは仕方ないですね。僕らは最善を尽くしましたが、ここ富士ではストレートだけでなく、コーナーですら万遍なく遅いという 感じでした。これはもう、クルマ側ではどうしようもないですし、ドライバー側もミスをなくするぐらいしかなくて……。ただ、今回は500kmという長距離 のレースだったんで、多少の望みもあったんですが、やっぱりピットストップの件もあって、結果的には残念なレースになってしまいました。でも、得るものは たくさんありましたし、次のセパンはファイルーズ選手のホームコースでもあるので、彼には今度こそ頑張ってもらって、僕も全力でサポートしますから、応援 よろしくお願いします!」

ファイルーズ選手コメント

「ピットでのミスは素直に皆様にごめんなさい。まだSUPER GTに慣れてない事もあり、全てを早く習得します。レースはバトルすることは少なかった。やはりエンジンパワーが厳しく何台も何回もストレート区間で抜か れた。SUPER GTのレースはエキサイトであり非常に難しく楽しいレースだがGT3の中でも性能差があるままは良くない。同じエンジン形式のランボルギニにも軽くパスさ れるほどR8のエンジンはパワーが乏しい。次はホームコースのセパンRd3であり、それまでに何かしらの改善があってほしいと望むばかりだ。もちろん僕も 全開で攻めるつもりだ」

金曽監督コメント

「やはり辛いレースになった。ピットでのペナルティは残念だが、それ以上の残念な車両部分を早くTEAMは改善できるように急がなければならない。 不具合ならば良いが2013年モデルも同じく劣勢を免れていない事からも考えづらい。荒れるレースを淡々と走行し、その環境下で最善は尽くし決勝15番手 はドライバーの両名は良く頑張ったと思う。次はファイルーズ選手の母国レース。今日みたいなレースは見せられないので、最善を尽くし上位が狙えるパフォー マンスを手に入れたいと思う。」